【富山英明の目】川井梨紗子が持久力で伊調馨を上回った

女子57キロ級プレーオフで伊調(右)に勝利した川井梨(カメラ・相川 和寛)
女子57キロ級プレーオフで伊調(右)に勝利した川井梨(カメラ・相川 和寛)

◆レスリング 世界選手権代表決定プレーオフ ▽女子57キロ級 ○川井梨紗子3(内容勝ち)伊調馨●(6日、埼玉・和光市総合体育館)

 男女6階級が行われ、女子57キロ級は史上初の五輪5連覇を目指す伊調馨(35)=ALSOK=が、16年リオデジャネイロ五輪63キロ級覇者の川井梨紗子(24)=ジャパンビバレッジ=に競り負け、自力での五輪切符取りが消滅。五輪全競技の個人種目で女子唯一4連覇のレジェンドは涙を浮かべ「後悔はない」と言い切った。川井梨は世界選手権(9月、カザフスタン)でメダル獲得なら20年東京五輪代表に決まる。

 川井梨と伊調は全力を出し尽くした。第2ピリオドの攻防で注目したのが、伊調のタックルと川井の返し技だ。ともに普段は仕掛けない技だから意外だった。伊調は川井のタックルを左にかわし、すぐに右足首を取りに行ったが、川井が伊調の左肩から首を固めるクオーターネルソンホールド(変形羽交い締め)の返し技を出した。結果的に川井のネルソンが勝利を決めるビッグポイントとなったが、自らのお株を奪う返し技には、伊調も驚いたはずだ。

 際どい内容で川井が勝ったのは持久力の差だ。タックルを仕掛けた後、相手の片足を持った状態で粘られると腕がパンパンになり一気に疲労がくるが、乗り越える若さがあった。伊調は以前だったらタックルをキャッチした後、バックに回る返し技でほぼ確実に得点を取れていたが失敗した。試合終盤は肩で息をしており、35歳と年齢的な衰えも見えた。

 川井の実力なら世界選手権で優勝して五輪代表はほぼ確実。修羅場をかいくぐり、自信も相当ついただろう。長らく吉田沙保里と日本を引っ張ってくれた伊調には、感謝しかない。(日本協会副会長、84年ロサンゼルス五輪男子フリー57キロ級金メダリスト)

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