◆巨人8―4DeNA(5日・東京ドーム)
久々の感覚が、若林の全身を覆い尽くした。両手に最高の感触を残した打球は、大きな放物線を描きながら左翼席へ吸い込まれた。
2点を追う5回1死一塁。今永の直球を捉えた。3号同点2ラン。右打席では初の1軍アーチが貴重な一打となり、お立ち台では「力がないので入るかな、どうかなと思って見てました。入ってくれてよかったです」と笑みを浮かべた。
5回1死まで、打線は今永の前に無安打無得点の7Kと完璧に封じられていた。それでも直前のビヤヌエバが四球で出塁すると、最後は内角直球を力強く振り抜いた。原監督も「手も足もでないような状況の中、四球、本塁打とね。非常に苦しんでいる状況でしたから、勢いをつけたと思うね」と最敬礼した。
2年目の今季は交流戦の序盤からアピールを続け、二塁の定位置をつかんだ。だが、終盤にさしかかるにつれ、慣れない1軍の重圧や疲れもあり、3戦連続無安打を経験するなど調子を落とした。
「出塁することを考えすぎていた」と四球を重視しすぎたあまり、バットが出なくなっていた。そんな時、頭をよぎったのは村田ファーム打撃兼内野守備コーチの言葉だった。
「おまえは何のために打席に立ってるんだ。バット持ってるだろ。振るためだ」
スイングしなければ何も始まらない―。当たり前のことを再確認し「消極的になって四球―という考えはもう、ないです」との言葉通り、7球粘った末、フルカウントから強振した。
「どんな打者でも波があると思う。その波が激しくならないように」。息を吹き返した背番号60が、好調のチームをさらに押し上げていく。(河原崎 功治)