ご意見番、美川憲一の疑問。芸能人に「忘れられる権利はないのか」

美川憲一
美川憲一

 「ちょっと、何とかならないのかしら。あたし、納得できないのよ」。声の主は歌手で芸能界のご意見番、美川憲一(76)だった。

 最近、スマートフォンで読んだというあるコラムのことを指していた。その記事には、何十年も前に薬物などで逮捕されて騒動となった有名人の名前が10人くらい挙がっていた。

 そこには美川の名前も含まれていた。しかし疑問を含んだ憤りの感情は、自分のことを言っているのではなかった。

 「私のことはいくら叩かれても構わないの。でも、〇〇さんも〇〇さんも〇〇さんも、いまちゃんと更正しているじゃない。ずいぶん時間がたって忘れている人も多いのよ。過去の過ちを事細かに書いて知らしめないといけないかしら?」というものだった。

 ネット社会の発達は、便利さと引き替えに、半永久的に情報が消えない地獄の一面も生み出した。正しい情報もフェイクニュースも何もかも。いまプライバシー保護を巡って「忘れられる権利」の必要性が叫ばれている。

 それも、芸能人には関係のない話なのか。美川のやるせない思いは、記憶の彼方にあるような情報を、ことさら呼び起こして若い世代にまで知らせる必要があるのか、というもの。すぐに答が出るような話ではない。しかし出ないからこそ「ご意見番」として言わずにおれないのだろう。

 麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)の有罪が先日確定した。初公判の直前、美川の歌手活動55周年会見があった。めでたい記念の会見だったが、美川はクスリの過ちから立ち直った者としての考えを聞かれた。

 明るいムードから一転。一瞬、微妙な間が流れた。しかし、美川は「会見してさらし者になりなさい」と厳しいエールを送った。55周年の内容がかすんでしまうのも承知だった。立ち直れた背景に「バッシングされたマスコミのおかげもあって、いまがあるから。私、マスコミの人たちが好きなの」。そして「でも一口に芸能人といってもいろんな人がいるのを分かってほしい。更正を阻むようなことは、やっぱり納得できないわ」と話すのだった。(記者コラム)

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