ハイライトは吉本興業への怒り…テレ朝新社長の初会見に泥を塗った闇営業問題

闇営業問題で吉本興業から謹慎処分を受けた宮迫博之(左)と田村亮
闇営業問題で吉本興業から謹慎処分を受けた宮迫博之(左)と田村亮

 新社長にとって、ほろ苦い船出となった。

 2日、東京・六本木のテレビ朝日で行われた定例社長会見。長机の左から2番目に座ったのが、6月27日の株主総会で角南源五前社長(62)に代わり、社長・COO(最高執行責任者)に就任したばかりの亀山慶二氏(60)だった。

 これまで編成担当の専務として、視聴率動向、営業成績などを淡々と報告、記者の質問にも冷静に答えてきた亀山氏だったが、トップとしての定例会見への出席は初めて。これまでとイメージを一新、メガネをかけたその表情には、明らかに緊張の色がにじんでいた。

 「幸い角南前社長から視聴率、広告売り上げともに民放第2位という状態でバトンを受けた形であります。国民共通の財産である電波を使用させていただいている事業者ですので、コンテンツを最重視して参ります。社として人材、資金を最大限投入して、視聴者の皆様の喜怒哀楽に資する多様な番組をお届けすることに努めていきます。テレビはまだまだ努力次第でできることがあり、やっていないこともあるのではないかと思っています。社長として様々なトライアルをしていきます」と、まずは決意表明。

 続いて、「V6」井ノ原快彦主演の「特捜9 season2」(水曜・後9時)が6月26日の最終回で平均視聴率13・8%をマーク。4月クールの民放連続ドラマで天海祐希主演「緊急取調室」、2位「特捜9」、3位「科捜研の女」と平均視聴率トップ3を同局のドラマが独占したことについて、「3作品が平均視聴率でトップ3となりました。そのこともあり、全日帯(午前6時~午前0時)が2クールぶりの1位になりました」と話したまでは良かった。

 しかし、“修羅場”がその後に待っていた。

 私をはじめ、集まった約50人の記者がこの日のメインテーマと定めていたのが、先月上旬発売の写真誌「フライデー」の報道に端を発し、この1か月間、芸能界を揺るがし続けるお笑い芸人による闇営業問題だった。

 振り込め詐欺グループの忘年会に出席していた「雨上がり決死隊」の宮迫博之(49)や「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮(47)ら吉本興業所属の芸人たちが軒並み謹慎処分となった問題で、最も激震に見舞われたのがテレ朝だった。

 宮迫がMCを務める「アメトーーク!」(木曜・後11時20分)と田村がMCを務める「ロンドンハーツ」(火曜・後11時20分)。2つの人気番組を抱えているだけに、この1週間、両者の出演シーンのカット、再編集など、緊急対応に追われ続けた。その上、CMスポンサーも次々と放送を自粛。広告収入面でも手痛い打撃を受けた。

 当然、35分間に及んだこの日の会見の後半はこの問題一色となった。亀山社長はまず「視聴者の方々、番組を応援して下さっている皆様に大変、ご心配をかけることになりまして、誠に申し訳なく思っております」と頭を下げた。

 「当該出演者に関しましては今後の出演を見合わせることに致しました。収録済みの番組については当該出演者の出演部分をカットするなど、再編集して放送しております」と喫緊の対応を明かした上で「反社会的勢力との接触はあってはならないことであり、所属事務所には、改めてコンプライアンス遵守の徹底を求めているところでございます」と、タレント及び吉本への強い怒りを表明した。

 続けて「今後の番組について現状では打ち切り等は考えておりません。今後の状況を見ながら慎重に判断をしていきたいと思います」と淡々と答えた新社長。

 総合編成担当の西新取締役も「アメトーーク!」について「番組タイトルの変更は考えていません。MCはあくまで蛍原(徹)さんで、企画によってはゲストの方の中から蛍原さんの隣に座っていただいて番組を進めていくことも考えています」とした。

 今回の騒動での吉本興業などに対する損害賠償について、西取締役は「取引に関することなので、コメントは差し控えさせていただきます」とだけ答えたが、その瞬間、私の頭に一つの疑問が浮かんだ。

 なぜ、この場でテレ朝の幹部2人が謝罪しているのだろう―。特に新任早々の亀山社長が「所属事務所には、改めてコンプライアンス遵守の徹底を求めている」と口にした際、メガネの奥の目がギラリと光ったように見えたからこそ重ねて、こう思った。「なぜ、吉本は説明、謝罪会見を開かないのか」と―。

 今回の問題を取り上げた「フライデー」第2弾が出た後の6月24日、宮迫、田村ら11人の謹慎処分を発表した吉本。さらに暴力団関係者の会合への出演が明らかになった「スリムクラブ」、「2700」の無期限謹慎処分を発表した27日に「決意表明」と題した文書を各マスコミに送付。そこには「社員・タレントが一丸となってコンプライアンスの徹底を図ります」と、したためられていた。

 しかし、待ってほしい。今、吉本に求められているのは、トップが早々に会見を開いて事の真相を説明することではないか。6000人のタレントを抱える大企業だけに「反社会的勢力とは付き合わない」というコンプライアンスは当たり前のこと過ぎて、いわずもがな。きちんと説明責任を果たすことこそが最大の危機管理なのではないか。

 今週は各民放キー局社長の定例会見が毎日続く1週間となる。あらゆるテレビ番組にタレントを供給している吉本が、供給先のテレビ局のトップに先に謝罪されてしまう―。それは順番が違うし、恥ずかしいことなのではないか。

 もちろん、テレビ局側にもタレントの裏の顔を知らずに起用、放送してしまった“使用責任”があるのは確かだが、まずは宮迫らを“供給”した吉本がきちんと事実を説明し、謝罪すべきではないのか。この日の亀山社長のどこか悲しげな表情を間近で見た私は、心の底からそう思った。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆亀山 慶二(かめやま・けいじ) 1959年1月18日、東京都出身。60歳。82年、早大法学部卒業後、テレビ朝日入社。05年、テレビ朝日ホールディングス編成制作局長、09年、同コンテンツビジネス局長、10年に取締役。14年、テレビ朝日取締役、同年、同常務取締役に。営業、編成畑で活躍し、世界水泳選手権放映権の独占契約にこぎつけた実績を持つ。19年6月27日付でテレビ朝日代表取締役社長・COO(最高執行責任者)に就任。早大時代はゴルフ部所属で腕前はプロ級。1ラウンド70台で回ることも珍しくない。

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