レンズ越しに見た成長曲線 コパアメリカを経て、久保建英はまた段階を踏んだ

チリ戦の後半20分、シュートを外し悔しがる久保(カメラ・宮崎 亮太)
チリ戦の後半20分、シュートを外し悔しがる久保(カメラ・宮崎 亮太)

 サッカー日本代表が20年ぶりに招待参加したコパアメリカ(南米選手権)において、どうしても注目はMF久保建英に集まった。

 代表チームがブラジル・サンパウロに到着して間もなく、F東京に所属していた久保のRマドリード移籍を両クラブが発表。エル・ブランコ(同クラブの愛称)に入団する初のアジア人となり、チームに帯同していた私は、そこから毎日、久保の一挙手一投足を写真に切り取った。

 大会期間中の個人的ハイライトは、チリとの初戦だった。2点を追う後半20分。MF中山雄太とのパス交換でボックス内に進入すると、細かいタッチのドリブルでチリ守備網を突破。DF3人を置き去りにし、得意の左足でシュートまで持ち込んだ。

 「決まった」。正直、そう思った。画角いっぱいに写る久保が、力一杯に吠えたのだ。鮮やかな個人突破から、最後は完全にフリー。だが、ボールはわずかにポスト左に外れた。思い切り両手を地面にたたき付け、顔をゆがめる。こんなに悔しがる久保を見たのは初めてだった。同時に、どこか物静かな印象の日本代表の中で、「自分が引っ張っていくんだ」という気概を感じた気がした。

 サッカー担当カメラマンの私は、今季Jリーグで10試合近くF東京戦を撮影してきた。FW永井謙佑やMF橋本拳人ら代表クラスがそろう集団の中では、淡々とプレーする印象が強かったが、コパアメリカでは随所に勝利への執念をのぞかせた。

 チリ・ビダルやウルグアイ・ゴディンら、一流選手と対峙しても気後れせず、ボールを持てば積極的に仕掛けた。時には流暢なスペイン語で審判や相手選手に抗議することも。東京五輪世代中心で臨んだ今大会では、18歳の背中が大きく見えた。

 Jリーグで首位を走るF東京は開幕から好調で、その中心にいた久保は、毎試合のように新しい残像を残してきた。角度のない位置から意表を突くFK弾や、鮮烈ボレー弾。ボールを持てば、次元の違う突破力で何人ものDFを翻弄し、予測不能のプレーの数々は、撮影者の読みまでをも惑わせた。左利きの久保が正面からよく見えるよう、対角線上にあたる左サイドに陣取るカメラマンが日に日に増える“珍現象”まで起きた。

 クラブで結果を残し、6月の国際親善試合ではA代表初招集。テレビ局は久保専用カメラを設置し、エルサルバドル戦で後半途中から出場すると、スタジアムの雰囲気は一変した。コパアメリカを経て、今となっては攻撃の核である。

 望遠レンズを構え、表情やプレーの一つ一つを“至近距離”で見てきたからこそ感じる、異次元の成長スピード。今度はRマドリードのトップチームに合流し、プレシーズンツアーに帯同する予定で、9月にはカタールW杯アジア2次予選も始まる。撮影していて、こんなにも心躍る選手は、国内にはいなかった。世界屈指のビッグクラブで、どのようなキャリアを積んでいくのか。秋の“再会”が待ち遠しい。(記者コラム・宮崎 亮太)

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