【箱根への道】実業団・コモディイイダから東農大へ…21歳の1年生 山上りは山田!!

東農大の“遅れてきたルーキー”山田雄喜(中央)。上りの強さを武器に箱根の山を目指す
東農大の“遅れてきたルーキー”山田雄喜(中央)。上りの強さを武器に箱根の山を目指す

 異色のオールドルーキーが高みを目指す。実業団・コモディイイダから山田雄喜(21)が東農大に入学。トラックでは目立った成績こそないが、その真骨頂は山上りだ。昨年の富士登山競走5合目コースを初出場で制すと一気にU23日本代表まで駆け上がり、今夏のスカイランニングユース世界選手権(8月2日開幕、イタリア)への出場も決定。6年ぶりの箱根路復帰を目指す名門に現れた“スカイランナー”に迫った。

 空に向かって走る。山田は「あの景色は普通に走っていても見られない。山の頂上で、その景色を一番早く見られるのが楽しい」とスカイランニングの魅力を語る。157センチ、41キロの小さな体にはすさまじいパワーが秘められていた。

 山岳スポーツであるスカイランニングは、水平距離よりも垂直距離や標高差が重視され、競技会では急峻(きゅうしゅん)でテクニカルな斜面や標高2000メートル以上の高山をコースにする場合が多い。「上りは高校時代から得意だった。なぜかほかの選手よりも楽に走れるんです」。軽快なピッチとぶれない体幹。実業団時代も、他チームとの合同合宿では、箱根経験者らを寄せ付けない上りの強さをみせた。

 公式戦デビューとなった昨年の「尾瀬岩鞍バーティカルキロメーター」は距離こそ5キロと短いが、その間に標高1000メートルを駆け上がった。箱根5区ですら小田原中継所から国道1号最高点まで16・3キロをかけて840メートル上っていることを考えると、もはや“壁”だ。「想像を絶する角度でした。本当に走れるのか、不安に思ったこともある」と振り返る。

 当時のチームメートで、東洋大4年時に箱根5区3位の五郎谷俊(26)からのアドバイスも受け、スカイランニングに特化したフォームを身に付け進化。今夏の世界選手権は3・5キロで標高1000メートルを駆けるコース。より急斜面となるが「技術や経験はないが、気持ちで負けないように。入賞したい」と意気込む。

 もちろん、名門・東農大の門を叩いたのも、“天下の険”5区への憧れがあったからだ。「初めて『すごい選手だな』と思ったのが、柏原竜二さんでした」。2代目・山の神の激走に衝撃を受けたが、経済的理由で大学進学は断念。千葉・流山南高からコモディイイダに進んだ。「大学に行けず、『あそこで自分が走ることはないんだな』と悔しさを抱えていた」と夢は胸にしまい込んだはずだった。

 しかし、実業団で過ごした3年間が山田の心身を変えた。ニューイヤー駅伝初出場を目指すチームの一員として練習する傍ら、仕事もきっちりこなした。会沢陽之介監督の下で「ただ走るだけじゃなく、体との対話や練習の意味をよく考えるようになった」と成長。時には深夜に一人で30キロを走破した。地道に走力をつけ、山への適性も評価されて東農大に入学。再び夢へと近づいた。

 今季の目標は「まず予選会を突破することが大事。今の4年生は自分と同世代なので、勝負できる最初で最後のチャンス。特に5区は今年区間賞の浦野(雄平、国学院大4年)や区間2位の西田(壮志、東海大3年)、前回区間賞の青木(涼真、法大4年)などタレントぞろいなのでわくわくする」と熱く語る。6年ぶり70回目の出場を果たせば、東農大初の5区区間賞も見える。21歳のオールドルーキーが、新たな山へと上り始めた。(太田 涼)

 ◆山田 雄喜(やまだ・ゆうき)1997年12月3日、神奈川・藤沢市生まれ。21歳。小6から陸上を始める。2016年に千葉・流山南高から実業団・コモディイイダに進む。今春、東農大国際バイオビジネス学科に進学。自己記録は5000メートル14分38秒78、1万メートル29分40秒。家族は両親と兄2人。リフレッシュ法はアニメ観賞で、おすすめは「Fate」シリーズ。157センチ、41キロ。

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