長州力引退で藤波との“名勝負数え唄”総選挙を…金曜8時のプロレスコラム

引退試合で藤波辰爾(右)に掟破りの逆ドラゴンスクリューを見舞った長州力
引退試合で藤波辰爾(右)に掟破りの逆ドラゴンスクリューを見舞った長州力

 “革命戦士”長州力(67)が26日、東京・後楽園ホールで行われた「POWER HALL2019~New Journey Begins」で21年ぶり2度目の引退試合を行った。

 引退試合は、維新の後継者・越中詩郎(60)=平成維震軍=、最後の愛弟子・石井智宏(43)=新日本プロレス=と組んで、永遠のライバル・藤波辰爾(65)=ドラディション=、両膝人工関節設置手術から1年3か月ぶりの復帰戦となった武藤敬司(56)、付け人だった真壁刀義(46)=新日本プロレス=と対戦した。

 試合は、真壁のキングコングニードロップ4連発を受けて長州は散ったが、先発は長州と藤波のロックアップで始まり、ここが一番興奮した。やはり、長州と藤波の名勝負数え唄の終焉は見届けたかった。ロックアップでロープへ押し込んだ長州に、藤波がキックを見舞うと、長州は蹴り足をつかんで、まさかのドラゴンスクリュー。まさに掟破りの逆ドラゴンスクリューだ。そこから流れるように足をたたんでサソリ固めの態勢に。ステップオーバーにいくまでのこの間がいい。

 この間にプロレスファンはいろんな想像を働かせる。ここで前田日明が後ろから顔面を蹴ったんだったなぁ…などと思い巡らせたりする。長州と藤波の試合は、ハイスパートレスリングと呼ばれ、ノンストップのめまぐるしい攻防と思われがちだが、サソリ固めに苦しむ藤波の苦悶の表情や、掟破りの逆サソリとの攻防など、ハイスパートだけではない、緩急の機微があった。

 引退試合は6人タッグで、いろんな人間模様がめまぐるしく展開されたため、両雄のからみは、冒頭の攻防がすべてだったが、十分な味わいがあった。これ以上攻防を続けても、どうしても若きあの時代と比べられて、ファンをがっかりさせてしまうということを両者が肌で感じていたのだろう。長州が引退から復帰後の2011年1月10日に後楽園ホールでのレジェンド興行で13年5か月ぶりの一騎打ちを取材した時、無理して長い試合をしなくてもいい、と思ったものだ。

 長州が1982年10月8日に後楽園ホールで藤波に反旗を翻し、長州と藤波の名勝負数え唄が始まった。「俺はお前のかませ犬じゃない」という名言は“後付け”とも言われるが、その真偽はどうでもよくなるほど、名勝負は説得力があった。

 長州の革命以降、最初の引退試合(1998年1月4日・東京ドーム)までに、藤波とのシングルは20試合戦って7勝7敗2引き分け、4無効試合とイーブンだ。長州が1度目の引退から復帰後のレジェンド興行で4試合を行っており、藤波の3勝1敗。こちらは現役と出戻りという立場が色濃く出ている。

 やはり長州が藤波に初勝利し、WWF認定インターナショナルヘビー級王座を奪取した1983年4月3日の東京・蔵前国技館決戦が印象深い。

 1992年1月4日、東京ドームでのIWGPヘビー級&グレーテスト18クラブのダブルタイトル戦は、ゴールデン生特番で、試合が最後まで入らず、途中で切れてしまう興奮の生中継だった。おそらく、これが“尻切れプロレス生中継”の最後ではなかっただろうか。

 個人的には、1983年9月21日の大阪府立体育会館大会で、両者リングアウトの後に、ミスター高橋レフェリーが去った後も試合を続行し、キラー・カーンが3カウントを数えて長州の手を挙げた維新軍全盛を象徴するシーンが思い出に残っている。生観戦や地域によって、思い入れは違うだろう。末尾に試合リストを付けるので、“名勝負数え唄総選挙”をやってみてください。(酒井 隆之)

 ◆長州の革命後の藤波とのシングルマッチ一覧

 <1>1982年10月22日・広島県立体育館

 藤波(20分34秒、ノーコンテスト)長州

 <2>1982年11月4日・蔵前国技館

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 ○藤波(12分8秒、フェンスアウト→反則)長州●

 <3>1983年4月3日・蔵前国技館

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 ○長州(16分39秒、リキラリアット→体固め)藤波●

 ※王座奪取

 <4>1983年4月21日・蔵前国技館

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 ○長州(12分8秒、リングアウト)藤波●

 <5>1983年7月7日・大阪府立体育会館

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 ○長州(16分29秒、反則)藤波●

 <6>1983年8月4日・蔵前国技館

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 ○藤波(19分24秒、リングアウト)長州●

 ※王座奪回

 <7>1983年9月2日・福岡スポーツセンター

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 藤波(12分51秒、両者リングアウト)長州

 <8>1983年9月21日・大阪府立体育会館

 藤波(19分24秒、両者リングアウト)長州

 <9>1984年2月3日・札幌中島体育センター

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 藤波(試合不成立)長州

 ※藤原喜明が乱入

 <10>1984年6月10日・静岡産業館

 ▽IWGP公式リーグ戦

 ○長州(14分42秒、リングアウト)藤波●

 <11>1984年7月5日・大阪府立体育会館

 ○藤波(9分46秒、反則勝ち)長州●

 ※藤波はエル・カネック戦と2連戦。

 <12>1984年7月20日・札幌中島体育センター

 ▽WWF認定インターナショナルヘビー級選手権試合

 ○藤波(15分8秒、バックドロップ→体固め)長州●

 <13>1987年10月5日・後楽園ホール

 藤波(35分5秒、ノーコンテスト)長州

 <14>1987年10月25日・両国国技館

 ○長州(2-1)藤波●

 1本目・長州がリキラリアット→体固め、2本目・藤波が回転足折り固め、3本目・長州リングアウト勝ち

 <15>1988年5月27日・宮城県スポーツセンター

 ▽IWGPヘビー級選手権試合

 藤波(22分55秒、ノーコンテスト)長州

 <16>1988年6月24日・大阪府立体育会館

 ▽IWGPヘビー級王座決定戦

 ○藤波(18分46秒、首固め)長州●

 <17>1990年12月26日・浜松アリーナ

 ▽IWGPヘビー級選手権試合

 ○藤波(11分18秒、回転足折り固め)長州●

 ※藤波が奪取。

 <18>1992年1月4日・東京ドーム

 ▽IWGPヘビー級&グレーテスト18クラブ両選手権試合

 ○長州(12分11秒、力ラリアット→体固め)藤波●

 <19>1994年12月13日・大阪府立体育会館

 ○藤波(5分39秒、グラウンドコブラツイスト)長州●

 <20>1997年8月10日・ナゴヤドーム

 ○藤波(6分48秒、ドラゴンスリーパー)長州●

 <21>2011年1月10日・後楽園ホール

 ○藤波(9分29秒、エビ固め)長州●

 <22>2011年5月4日・大阪府立体育会館第2競技場

 ○藤波(10分52秒、逆さ押さえ込み)長州●

 <23>2011年9月23日・名古屋国際展示会議場イベントホール

 ○長州(10分57秒、体固め)藤波●

 <24>2011年9月30日・札幌テイセンホール

 ○藤波(6分45秒、逆さ押さえ込み)長州●

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