「イレブンスポーツ」が2軍戦を無料配信できるワケ…少数精鋭や機材変更で制作費大幅削減

スポーツ報知
ウエスタン・リーグ公式戦をネット配信する撮影スタッフ

 タダで根尾、藤原が見られてラッキー! 読者の「なぜ?」に答える企画「謎解き球&A」では、2軍戦を無料配信するインターネット中継「イレブンスポーツ」の謎に迫る。今季からイースタン、ウエスタンの約600試合がパソコンやタブレットで視聴可能となった。若手有望株を見放題のコンテンツは、どうして実現したのか。背景には低予算で高品質の中継をつくる精鋭部隊の存在があった。(取材・構成=表 洋介)

 オリックス2軍が本拠地を置く大阪・舞洲に1台のワンボックスカーがやってきた。バスやトラックではない。何を隠そう、これが2軍中継の根底を支える中継車なのだ。「イレブンスポーツ」の趙守顕(チョウ・スヒョン)代表取締役(40)は屈託のない笑顔で語る。

 「格段に制作費を下げていることが僕らの強みなんです。だいたい、カメラマン2人、ディレクター1人、CG(コンピューターグラフィック)を入れる役割が1人。4人でつくっていますね。制作会社にいた人とか、精鋭は集めています」

 今までは2軍戦でも20人前後のスタッフが現地を訪れ、数百万円単位の制作費が必要だったという。具体的な数字は企業秘密で明かせないというが、同社はこれを大幅に削減し、広告収入も確保した。カメラもスポーツ中継用ではなく、バラエティー用の中型タイプを使用。それでもフルHD、4Kに対応した高画質を届けている。「僕らの簡易中継システムは持ち運びができるので、地方球場も対応できる」と趙代表。実況も中継車の中でモニターを見たり、都内の同社スタジオで映像を確認しながら音声を乗せる。

 趙代表は金融会社、広告代理店勤務を経て、海外の放送局でスポーツ中継にかかわってきた。2軍放送のヒントになったのは、7年前。大谷(エンゼルス)、藤浪(阪神)らが出場した「18U世界野球選手権(韓国)」の中継に携わったことだ。

 「大谷選手、藤浪選手はすぐに出てきましたけど、それ以外の選手が1軍で出るには2~3年はかかる。当時で言えば田村選手(ロッテ)や北條選手(阪神)。その2~3年はすごく重要だけど、情報量は圧倒的に少ない。ファンに知られていない部分をもっと見せたいんです」

 思わぬ副産物も生まれた。昨季から中継を手がけるロッテ2軍の浦和球場には看板広告が現れた。他球団にも同じようなオファーが届き、球団と「ウィンウィン」の関係ができつつある。「まだまだ2軍のマーケットには潜在能力があります」と趙代表。今秋のドラフトも大船渡高・佐々木、星稜高・奥川ら好投手が目白押しで、プロでの実戦デビューに注目が集まることは間違いない。アマとプロをつなぐ懸け橋として、2軍中継はますます盛況となりそうだ。

 ◆イレブンスポーツ

 世界各国にあるスポーツ配信サイトで、日本版は趙氏が代表を務めるイージープロダクション株式会社が番組制作、配信を行っている。2軍戦は西武、ロッテ、楽天、ヤクルト、DeNA、阪神、オリックス、ソフトバンクの8球団の主催約600試合を無料でライブ配信。西武、ソフトバンクの2球団以外は番組制作も手がけている。試合後のハイライト動画やニュースなどもSNSを通じて発信。今年2月に始めた公式ツイッターのフォロワーも2万人に迫る勢いだ。

 ◆夏の猛暑が敵 戸田は死亡級

 2軍中継の最大の敵になりそうなのが猛暑だ。真夏でもデーゲームを行うため、7、8月の球場内の温度は40度を超える可能性が高い。少数精鋭のクルーの体調管理は今後の課題となる。趙代表は「夏になるとスタッフの体力はどうなるか。球団の方にも浦和はやばい、戸田は死にますよとか、暑い自慢を聞くんです」と苦笑いだった。

 ◆巨人の主催も

 巨人2軍の主催試合も一部、イージープロダクション株式会社が映像制作を手がけている。「イレブンスポーツ」では視聴できないが、「日テレジータス」、「ジャイアンツLIVEストリーム」で視聴可能だ。3月23日の交流試合・巨人―中日戦(G球場)では根尾がプロ初本塁打。趙代表は「名古屋のテレビ局にニュースで弊社の映像を使っていただきました」と説明した。

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