バイク事故で亡くなった青木篤志さんと山田邦子の925の絆…金曜8時のプロレスコラム

青木篤志追悼セレモニーを終えて青い鉄柱と記念写真に収まる山田邦子(左)と須藤公一
青木篤志追悼セレモニーを終えて青い鉄柱と記念写真に収まる山田邦子(左)と須藤公一

 今月3日にバイク事故のため41歳で亡くなった全日本プロレスの世界ジュニアヘビー級王者・青木篤志さんの追悼セレモニーが18日、東京・後楽園ホールで行われた。葬儀・告別式は、遺族の意向で家族、近親者のみの家族葬で執り行われたため、選手、ファンにとってのお別れの会となり、満員の観衆1374人が黙とうを捧げた。

 全試合終了後のセレモニーに駆け付けると、福田昌弘広報が喪章を用意して待ってくれていた。5月20日に同じ後楽園ホールで、青木さんは岩本煌史(29)を破り、第51代世界ジュニアヘビー級王者になったばかりだった。当日は2000年5月13日に49歳で無くなった初代三冠ヘビー級王者・ジャンボ鶴田さんのメモリアルマッチ(秋山準準組VS渕正信組)があり、たまたまバルコニーから青木さんの戴冠姿を写真に収めていた。それが死亡記事の遺影になるとは…。

 追悼式のリングサイドでは、“姉貴分”のタレント・山田邦子(59)がすでに泣いていた。隣には青木さんを邦子に紹介した同じ太田プロ所属の俳優・須藤公一(41)がいた。須藤はTBS系「天までとどけ」の子役や同局系「3年B組金八先生」で風間俊介の兄役を演じたぽっちゃりキャラ。プロレスラーの友だちが多い邦ちゃんの人脈は、子役時代からプロレスファンの須藤との縁に負うところが大きい。

 いずれこのコラムで須藤の熱いプロレス愛について書こうかと思っていた時に、こういう形で顔を合わせることになろうとは…。青木さんが仕組んでくれたと思わずにはいられない。青い紙テープで埋め尽くされたリング。その青い鉄柱を青木さんに見立てて、涙目の邦子と須藤の写真を撮った。「41歳で独身で、バイクに乗って勝手に死んでいくなんて。どんだけカッコいいのよ」と邦子はあきれるように涙をぬぐった。

 青木さんは、今月3日午後10時半ごろ、東京・北の丸公園の首都高トンネル内でバイクとともに倒れているのを発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。須藤は信じられなくて、事故の翌日に事故現場付近を車で見に行ったという。「青木に何が起きたのか、事故の痕跡を見たかったんですが、首都高の修復作業が素早いのか、何も見つけられなかった。だから信じられないんです」

 この日の後楽園大会も「いつも青木からチケットを買っていたから、買い方がわからなくて秋山社長に取ってもらった」(邦子)という。リングでは、青木さんが初防衛戦を戦う予定だった佐藤光留(38)が、メインイベントで、青木さんがかわいがっていた岡田佑介(26)とノンタイトルの特別試合を行った。佐藤が18分1秒、捕獲式腕ひしぎ逆十字固めで勝利。涙でマイクをつかんだ佐藤は「楽しみにしている人はたくさんいたんで、僕がへこんでるわけにはいかなかった。青木さんは『いいから、リングに上がってください』と言う人で、やっぱりそういう顔をしていました。でも、青木さんがいるはずだったリングに立ったら、青木さん、本当にさみしいよ。青木さーん! ベルトを持ったまま遠くへ行っちゃった。防衛期限の11月が終わるまで、そのベルトを絶対に誰にも渡さないでください」と絶叫した。

 10カウントゴングの後、木原文人リングアナウンサーが「世界ジュニアヘビー級チャンピオン、青木篤志!」とコールし、無数の青い紙テープがリングに投げ込まれた。佐藤は「青木さん、どこかにいるんだろ」と呼びかけていたが、邦子は「ここに来れば、青木に会えると思って来たけど、献花して、試合を見て、青木はどこにもいなかったわね」とつぶやき、片付けられていく青いテープの束をぼんやり見つめた。

 決して社交的ではなかった青木さんだが、初対面でいきなりハグしてきた邦子のことを姉のように慕った。邦子が主宰するチャリティー活動「スター混声合唱団」のメンバーに加わり、ハワイ公演にも同行した。「邦子さん、何で青木なんですか」と他のレスラーから言われるほど、邦子は青木に肩入れしてきた。

 邦子は、2015年に患っていた乳がんの治療が終わったことを記念して、9月25日を「山田邦子の日」(日本記念日協会認定)としてパーティーを開くようになった。誕生日である6月13日のパーティーを縮小して、9月25日を特別な日にした。

 プロレスリング・ノアの丸藤正道(39)の後援会が主催というアウェーの中、全日本所属の青木さんの姿が必ずあった。実は青木さんの誕生日が9月25日(1977年)だったことを、毎回、参加していながら私は知らなかった。邦ちゃんが主役のパーティーで、目立つことを嫌がった青木さんらしい事実だ。昨年は、ジョッキビールの早飲みを披露し、盛り上げ役に徹していたのを思い出す。

 須藤は「青木は初期のAKB48が大好きだったんです」とまた違った一面を知っていた。須藤が2015年に舞台「AZUMI 幕末編」に出演した時に、主演の川栄李奈(24)と記念写真を撮らせてもらい大喜びしていたという。プロレスリング・ノアでデビューした青木さんが、ノアを退団して、全日本に移籍しようかという渦中(2012年)に、レスラーを辞めて居酒屋を始めたいという夢を語っていたこともあったという。

 8月11日には全日本プロレスが、「青木篤志追悼大会」を後楽園ホールで開催することが決まったが、9月25日には、山田邦子と須藤公一らが、違った形で、青木さんをにぎやかにしのぶことになるのだろう。(酒井 隆之)

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