NHKホール「ブラバン!甲子園ライブ」にファン熱狂 横浜、東海大相模、日大三、習志野が熱演を披露

「ブラバン!甲子園ライブ」では約500人の出演者に/よって熱演が繰り広げられた
「ブラバン!甲子園ライブ」では約500人の出演者に/よって熱演が繰り広げられた

 球児の夏、到来である。それは同時にスタンドで「ともに闘う」吹奏楽部、応援団、チアリーダーにも熱いシーズンが訪れたことを意味する。

 都心の気温が30度を超えた6月16日。NHKホールには熱き青春のパッションが充満していた。高校野球の強豪4校の吹奏楽部と応援団が一堂に会するコンサート「ブラバン!甲子園ライブ2019」が開催されたのだ。ともに2度目の参加となる日大三(東京)、横浜(神奈川)に加え、東海大相模(神奈川)と習志野(千葉)が初出場。高校野球ファンにとって人気の高い4校の熱演が繰り広げられるということで、チケットはソールドアウト。3600人が手に汗握り、開演の瞬間を待った。

 オープニングは4校による「栄冠は君に輝く」の合同演奏だ。学校は違えど、吹奏楽と野球応援に青春を燃やす約500人の強い音に場内が「できあがっていく」のが分かる。指揮者は習志野の吹奏楽部顧問・石津谷治法先生。主催者側から「正装で」との依頼を受け、石津谷先生が選んだ「勝負服」は何と習志野のユニホームに短パンだった。このライブが単なる吹奏楽のコンサートではない、特別なものであることを感じさせた。

 さあ、第1試合。神奈川の、いや全国の高校野球シーンを牽引してきた永遠の好敵手「東海大相模対横浜」のマッチアップだ。灼熱のハマスタさながらに、東海大相模の「Tのマーチ」と横浜の「第一応援歌」「第五応援歌」が激突した。

 華やかな女子応援団とチアリーダーが牽引する東海大相模は、硬式野球部のスローガン「アグレッシブ・ベースボール」を想起させるアゲアゲなステージで盛り上げていく。一方の横浜は男子校ならではのバンカラな応援団とともに、少数精鋭ながらも強力なグルーヴで熱狂をもたらした。

 その横浜吹奏楽部を率いるのが立石洋介先生だ。ユニークなタクトに魅了されるファンも多いが、ステージ上で立石先生の二人のお嬢さんはともに東海大相模の吹奏楽部で部長を務めたことが明かされると、超満員の観衆から驚きの声が挙がった。「横高と相模が対戦するときには、ウチの家族は私以外、相模を応援しています」との告白に、場内の誰もが笑顔になった。

 高校野球における横浜高校のレジェンド指導者といえば、監督と部長として一時代を築いた渡辺元智氏と小倉清一郎氏が有名だが、「立石洋介」の名も心に刻んでおきたい。松坂や涌井、筒香や近藤らの名勝負を彩った思い出のメロディーは、この御方抜きには考えられないからだ。

 第2試合の「日大三対習志野」も熱戦となった。両校ともに、広く全国の高校野球マニアに愛されるオリジナルのチャンステーマを有することでも知られる。

 日大三は同校吹奏楽部OBで、NHK交響楽団で打楽器奏者を務める竹島悟史氏が作曲した「Come on!!」を繰り出し、ステージを三高カラーに染め上げていった。さらにはツインドラムが強烈なビートを刻む「三高ドラム」は球場で聴くものとはひと味違ったど迫力。洗練されたチアリーダーも彩りを添え、明るく楽しいステージでオーディエンスを魅了した。

 なお、日大三の吹奏楽部の定期演奏会は野球部員が会場の設営を手伝い、名将・小倉全由監督は演奏会の前日ミーティングから参加して、準備に協力するという。グラウンドとスタンドの一体感は、日常のそんな気配りから醸成されるのだろう。

 対する習志野は言わずと知れた「美爆音」をNHKホールに響かせた。習志野市民のソウルミュージックとしてもおなじみ、大迫力の「レッツゴー習志野」を中心に、サザンオールスターズの名曲「気分しだいで責めないで」や「モンキーターン」、嵐の「One Love」ではステージ上に掲げられた「NARASHINO」との表記を「ARASHI」にする粋な演出で、ファンを笑顔にしていった。

 中でも「レッツゴー習志野」の底力は、やはり別格だ。完成したのは同校が小川淳司投手(現ヤクルト監督)を擁して夏2度目の全国制覇を成し遂げた1975年。44年間の歴史の中で代々、大事に継承されてきた。歴史の重みを痛感した。

 MCは高校野球ブラバン応援研究家の梅津有希子氏と、高校野球大好き芸人のいけだてつや氏が担当。各校の吹奏楽部カルチャーや演奏曲の背景に精通した梅津氏の解説と、各校グラウンドの「土感」が随所に感じられるいけだ氏の軽妙なトークが場内の緊張を和らげ、アットホームなムードを醸成していった。

 なお、2試合とも熱戦の末、判定はドロー。結びは4校の合同演奏による「アフリカンシンフォニー」に続き、DA PUMPの「U.S.A」が軽快に奏でられた。ダンスを披露するのは各校の選抜された男子ダンサー20名だ。普段は球場の一塁側と三塁側に分かれ、切磋琢磨する4校が一体となっての熱いステージに、万雷の拍手は最後まで鳴りやまなかった。

 灼熱のスタジアムではもちろん、高校球児が主役だ。しかし、吹奏楽部や応援団、チアリーダーが流した汗にも、同等の尊い価値がある。「もう一つの主役」にスポットライトが当たる、素晴らしいイベントだった。この夏が高校野球に関わる全ての人々にとって、最高の季節になりますように。(野球デスク・加藤 弘士)

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