【桜の軌跡】試合前“魂注入パズル”ジョセフHC発案だった…田中史朗、15年大会を語る

田中史朗
田中史朗

◆第8回W杯(2015年9月18日~10月31日、イングランド)

 日本代表のW杯の戦いを振り返る連載のラストは、歴史的3勝を挙げた前回2015年大会で、31人の代表らが絆を深め、試合前に闘魂を注入した情熱の「ジグソーパズル」を取り上げる。選手らがピースを組み、チームスローガン「JAPAN WAY」(日本流)を完成させて、試合に臨んだ。SH田中史朗(34)=キヤノン、当時はパナソニック=は9月開幕のW杯で指揮を執るジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(49)が実は発案者だったと明かす。(取材・構成=小河原 俊哉)

 日本代表が、試合前の総仕上げとしたのが団結力を高める「魂」注入の儀式だった。ジグソーパズル。試合前に選手全員とスタッフがピースをはめ込み、桜を背景にした日の丸に、筆で描かれた力強い文字「JAPAN WAY」が浮かび上がった。縦10個、横14個のピースを組み上げると60センチ×84センチのサイズに。試合数日前にリーチが配り、最後の1ピースをリーチが選手の前で組み完成させた。

 ジョセフHCがスーパーラグビー・ハイランダーズHC時代に選手を鼓舞したアイデアから「ヒントを得た」(田中)。当時、同チーム所属の田中によると、ジョセフ式は「100円均一のような安っぽい鍵」を渡し、試合当日に集めてひもで束ねる。「これで勝利への箱が開くと。一人では何もできないけど全員の力が集まれば何でもできるということだった」。

 前回大会を指揮したエディー・ジョーンズは「まず軸となる15人。次に選んだのが、30人目の湯原と31人目の広瀬だった。ともにベンチ外だが、振る舞いや練習態度で大きな影響を与える。チームカルチャーに影響するから入れた」と31人の最終登録選手の選び方にも団結へのアイデアがあったことを明かす。

 イメージビデオも作成。BGMは「聴けば心がざわざわする」(堀江翔太)という英ロックバンド「コールドプレイ」の「Viva La Vida」。映像には4年間代表活動しながら、最終登録に残れなかった選手が登場し「誰もが彼らの分まで頑張ろうという気持ちになった」(堀江)

 「最後に大事なのは戦術よりも情熱の部分。(ジョセフには)指揮官に必要な人を巻き込み、鼓舞する力がある」と田中。今回も闘魂注入儀式はありそうだ。悲願の8強入りへ、前回大会3勝の立役者・五郎丸歩は「ベスト8というのは日本の誰も見たことがない景色。達成して、ラグビー界、スポーツ界が大きく発展していってほしい」と心からエールを送った。(敬称略、おわり)

 ◆15年W杯大会の日本 2大会連続の1分け3敗から、大躍進の3勝を挙げた。1次リーグ(L)初戦でW杯2度優勝の南アに歴史的金星。中3日で迎えたスコットランドには敗れたが、サモア、米国に勝ち、南ア、スコットランドと3勝1敗で並んだ。しかし、4トライ以上で得られるボーナス勝ち点の差で敗退が決定。1次Lで3勝して決勝トーナメントに進めない史上初のチームになった。

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