阪神・原口の次は池江璃花子 「七転八起」する令和のアスリート

阪神・原口(左)と池江璃花子
阪神・原口(左)と池江璃花子

 囲碁に励む息子の影響で、これまで全く興味のなかった囲碁将棋関連の記事や書籍に目がいくようになった。恥ずかしながら、羽生善治九段に塗り替えられるまで歴代最多の1433勝を誇った大山康晴十五世名人が、20代後半に太平洋戦争に招集されていたことも、最近知ったばかりだ。

 大山十五世名人は自著「勝負のこころ」(PHPブックス)で将棋盤から引き離された無念を嘆くどころか、前向きにとらえている。「大切な青春を戦地で過ごした人たちは、出征前よりも将棋が強くなっていた。(中略)大事なことは、将棋は技術ばかりでなく、結局は人間が物を言うことの証明ではなかろうか」。復員後に次々とタイトルを総なめにした強さの源に触れた気がした。

 名人の言葉を目にして思い出したのが、鉄人の言葉だった。プロ野球・元広島の衣笠祥雄さんは存命中だった2年前のインタビューで、昭和の野球人の底力を明かしてくれた。連続出場を続け、飯田徳治さん(元南海)の日本記録(1246試合)を上回った時、「こんなに素晴らしい人の記録を超えていいのか」と思い悩んだそうだ。

 「本当に野球がむちゃくちゃ好きでね。飯田さんも戦争で野球ができない時期があったから。僕は戦争を知らないけど、先輩から聞いている。野球がしたくても、できないつらさは分かっているんだよね」

 昭和から平成、そして令和へと時代は移り、並外れたハングリー精神を持つプロ選手、プロ棋士を探すことは難しいだろう。恵まれた時代になったことは間違いない。だが、一線を離れざるを得ない境遇に置かれたアスリートは今も存在する。

 9日の阪神―日本ハム戦(甲子園)。大腸がんから復帰した原口文仁捕手がサヨナラ安打を放ち、聖地のファンだけでなく、矢野監督をも泣かせた。

 絶望に突き落とされても、歯を食いしばり、立ち上がる姿に周囲は涙するのだと思う。

 大山十五世名人の座右の銘は「七転八起」だった。気安くエールを送ることすら失礼に思えるが、白血病と闘う水泳の池江璃花子選手も必ず起き上がってくると信じている。(記者コラム・表 洋介)

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