U―20W杯、ポーランドの「田舎町」開催で感じたサッカー発展への“熱”

ビドゴシチでU-20W杯のPR広告が掲載されたレンタサイクル
ビドゴシチでU-20W杯のPR広告が掲載されたレンタサイクル
U-20W杯決勝トーナメント1回戦、韓国戦のゴール裏で応援する日本人サポーター
U-20W杯決勝トーナメント1回戦、韓国戦のゴール裏で応援する日本人サポーター
5月27日、U-20W杯でメキシコに勝利した日本の活躍を伝えるポーランド地元紙「PRZEGLAD SPORTOWY」
5月27日、U-20W杯でメキシコに勝利した日本の活躍を伝えるポーランド地元紙「PRZEGLAD SPORTOWY」

 ポーランドで行われているU―20W杯を取材した。日本は決勝トーナメント1回戦で韓国に0―1で敗れ、16年ぶりの8強入りを逃した。

 大会は佳境に入り、8日には4強の顔ぶれがそろった。1次リーグB組でそれぞれ日本と引き分けた同組1位のイタリアと同3位のエクアドル、日本に勝利した韓国、欧州3位のウクライナ。優勝未経験の4国が準決勝に進み、大きな盛り上がりを見せている。

 記者は先月23日から4日にかけてU―20日本代表を取材した。FW田川亨介(F東京)とMF斉藤光毅(横浜C)が負傷離脱。ほかにも故障者が続出し、一時は全体練習に参加したフィールド選手が12人になったことも。チーム状況と比例して、記者の原稿執筆も悩まされるピンチの連続だった。

 そんな中、選手・スタッフ、報道陣が手を焼いたのは「移動」だった。ポーランドは広い。ワルシャワから、日本の初戦の舞台・ビドゴシチへは電車で約4時間。都市と都市の間は果てしない田園風景が続く、頭の中では「世界の車窓から」の音楽が鳴った。

 初戦を終えて、第2戦のグディニアへは電車で3時間半。第3戦はまたビドゴシチへ戻り、7日間で3試合を戦った。ハードなスケジュールに、影山監督も思わず「バス移動で『腰が痛い』という選手もいるので…」と練習をオフにするほどだった。その後、決勝T1回戦の舞台・ルブリンへは南東へ450キロ、約8時間の電車旅…。仮に韓国戦に勝っていれば、ルブリンから準々決勝の舞台ビエルスコ・ビャワへ電車で8時間超えの大移動となっていた。

 今大会、首都・ワルシャワも第2の都市・クラクフでも試合開催はない。いわゆる「田舎町」で行われた印象が強い。その上、各地の練習場はスタジアムがある中心地から遠く、最大で車で1時間かかる場所もあった。

 なぜ、「田舎町」ばかりで開催するのか。そこにはサッカーを通じた「町おこし」の狙いがある。

 大会ボランティアスタッフは「今、地方都市は急速に発展している途上にある」と言う。事実、2004年に加盟したEUから多額の助成金を受け、近隣諸国より多くの割合を占める若年層の労働力を武器に、道路や建築物などインフラ整備を進めている。会場となったルブリンスタジアムは2014年に完成。「EUの助成金で作られました」と看板が張ってある練習場もあった。

 メインストリートには大会フラッグが数100メートルに渡りこれでもかと飾られ、街中のレンタサイクルには「U―20W杯」とデザインされた広告がズラリ。韓国戦ではポーランド人サポーターが、日本のゴール裏で日本人サポーターに交じって「ニッポン、ニッポン!」と片言の日本語で応援する場面も目立った。試合会場では平日開催でも100人以上のボランティアスタッフがサポートするなど、国をあげて大会を盛り上げようという気概を感じた。

 大会期間中にポーランドリーグの試合はなかったが、開催時はスタジアムだけでなく、スポーツバーでビールとソーセージを食べながら地元クラブを応援するサポーターでごった返すという。ポーランド代表FWレバンドフスキの広告が街の至るところに張られ、国の英雄へのリスペクトが感じられた。

 一方で、ポーランド出身の有力選手はレバンドフスキ(バイエルン)、GKシュチェスニ(ユベントス)ら海外に渡る選手が多い。W杯では74、82年に3位に入るなど黄金時代を築いたが、90年代は予選敗退が続くなど低迷。ポーランドリーグはドイツなど欧州諸国に比べてレベルは劣り、「Jリーグの方がレベルは上」と語るポーランド出身選手もいるほどだ。

 来年5月には欧州リーグ決勝がグダニスクで行われる予定。だが、街中には工事中の道路や建物が多く、ホテルのスタッフやタクシーの運転手で英語を話せる人が極端に少ないなど、国際大会を開催する“土壌”が整っていない街が多い。

 まだまだ途上だが、地方都市の発展はこれから。サッカー大国復活への“熱”は少しずつ上がっているのを感じた。(星野 浩司)

ビドゴシチでU-20W杯のPR広告が掲載されたレンタサイクル
U-20W杯決勝トーナメント1回戦、韓国戦のゴール裏で応援する日本人サポーター
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