サニブラウン、追い風参考も9秒96 元日本記録保持者・青戸氏が注目「脚の回転」

サニブラウン・ハキーム
サニブラウン・ハキーム

 陸上の全米大学選手権は5日、米テキサス州オースティンで行われ、男子100メートル準決勝でサニブラウン・ハキーム(20)=フロリダ大=が追い風2・4メートルの参考記録ながら9秒96をマーク。3組2着で7日(日本時間8日午前)の決勝に進んだ。

 スポーツ報知で評論を担当する元日本記録保持者の青戸慎司氏(52)は、躍進の背景に脚の回転の速さを挙げ、今後は9秒9台前半まで記録を伸ばせると期待。200メートル準決勝も20秒44(追い風0・6メートル)の2組2着で決勝に進んだ。

 魅力と可能性にあふれていた。サニブラウンはスタートで号砲への反応が遅れたが、焦ることなく上体を起こして加速した。「後半にかけては悪くはなかった」。持ち前のストライドを生かしながら伸びやかに加速し、9秒96でゴールに飛び込んだ。追い風が2・0メートルを超えたため参考記録扱いだが、力を示す指標なのは間違いない。桐生が持つ日本記録9秒98の更新を期待させる走りにも「スタートが全然できてなかったのがもったいない」と悔しがった姿に、伸びしろが詰まっていた。

 元日本記録保持者の青戸氏は、20歳の両脚の動きに目を見張った。

 青戸氏「中盤以降は本当にいい走りだった。サニブラウン君の持ち味は、スピードの乗り方。地面を蹴って後ろに行った脚が、前に出てくるのが速い。それだけ脚がよく回転しているということで、188センチと身長が高くストライドが広いのに、ピッチの速さまで手にしている。これが好記録に直結している」

 隣を走ったディバイン・オドゥドゥル(ナイジェリア)は100メートルで9秒94、200メートルも19秒76の自己ベストを持つ実力者。今秋のドーハ世界陸上に向けても強敵の一人と目されるライバルと0秒004、わずか4センチ差まで競り合ったこと自体も、大きな価値がある。

 青戸氏「終盤も力まずに競れたのは、彼自身の精神面の成長を示している。着実に、世界大会でのメダルへ力を伸ばしている。ここ1~2年の成長は本当に目覚ましい」

 先月11日に自己記録を9秒99に伸ばし、桐生に続く日本勢2人目の9秒台突入を果たした。17年ロンドン世陸で7位入賞した200メートルに加え、100メートルでも存在感を増す20歳は、どこまで伸びていくのだろうか。

 青戸氏「追い風参考でも脚が回って走れているということは、風がなくても走れる能力があるということ。(大舞台での決勝など)気持ちの限界を超えた時、9秒9台前半のタイムが見えてくると思う。他選手の記録から言っても今大会のレベルは高く、世陸の準決勝と同じくらいの水準と言っても過言ではない。勝ちに特化する今大会決勝のレースで、どういう心理状態でやれるか、真価が問われることになる」

 サニブラウンは同日の200メートル、400メートルリレーでも決勝進出。約2時間の間で3レースをこなし、最後の200メートルは自己記録に0秒3以上及ばない20秒44。「さすがにガス欠」と苦笑いした。ただ、7日の決勝も同様に約2時間で3レースを戦う日程。王者となるにはタフさも求められる。「もうちょっと動くように(レースの間に)体をほぐして」。準決勝で爪痕は残した。今季序盤最大目標の全米学生王座へ、完全燃焼するだけだ。

 ◆100メートルと追い風の影響 計算法は諸説あるが、風速が1メートル強くなると約0秒08速くなるとされる。追い風2.4メートルで9秒96だったサニブラウンは0秒19前後の助力を受けたことになり、公認上限の追い風2.0メートルだった場合は自己記録と同じ9秒99前後。無風なら10秒15前後だった計算になる。

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