朝乃山V、トランプ劇場だけじゃない 夏場所をアツくしたものとは

夏場所を盛り上げた炎鵬
夏場所を盛り上げた炎鵬

 濃い、夏場所の15日間だった。令和初の大相撲本場所。西前頭8枚目の朝乃山(25)=高砂が、三役経験の無い力士として58年ぶりに優勝した。富山出身では元横綱・太刀山以来103年ぶりのV。ニュースターの誕生と共に、夏は幕を閉じた。思い返すと、実にいろいろなことがあった。そしてまた、新たな風が吹いた場所でもあった。

 新大関・貴景勝(22)=千賀ノ浦=の途中休場は全く予測していなかった。令和で最初の綱取り。夏はその足がかりの場所と、期待が集まっていた。だが4日目の御嶽海(26)=出羽海=戦で右膝を負傷。「嫌な経験が自分を強くしてくれる」と中日から再出場したが敗れ、9日目から再休場した。思わぬ形で、場所を折り返した。

 場所後半に目を移すと、トランプ米大統領が観戦した千秋楽は強烈だった。安全のため、ペットボトルなどの飲料の持ち込みが大幅に制限。力士も例外ではなく「エナジードリンクをチルドパックに詰めて持って来た」と、ある若手力士は教えてくれた。大統領入場のため取組の進行も止まり、力士からも不満の声が出た。それでもトランプ効果か、千秋楽の前日は、当日券を買い求めるファンの列が20時ころ既に50メートルほど出来ていた。

 大きな出来事が続いた中で、もうひとつ特筆すべきことがある。若手・中堅力士の奮闘だ。夏場所新入幕の炎鵬(24)=宮城野=は連日、満員御礼の国技館を沸かせた。幕内最小の168センチ、99キロ。それでも「コンプレックスは全然無い。自分の体。これが自分だと思っている」と様々な技を駆使して、9日目までに7勝。結果勝ち越しはならなかったが、平均体重163キロの幕内の土俵で暴れる小兵力士の姿に、ファンは熱狂した。

 取組だけでなく、言葉でファンを楽しませたのは10勝を挙げ2度目の敢闘賞を獲得した阿炎(25)=錣山=だ。「令和の相撲は俺が一番盛り上げる」と、序盤から“絶口調”。様々な“阿炎語録”の中でも夏の傑作は、4日目の一言。大栄翔(25)=追手風=との一番。押し込まれた土俵際、左に飛んでかわして投げを打った。埼玉出身ダービーを制し、取組後の支度部屋で人気映画「翔んで埼玉」にかけて一言放った。「飛んだ埼玉、飛ばれた埼玉っすね(笑い)」。

 今場所は23歳の明生(立浪)も、前頭7枚目で2桁白星を挙げた。昨年九州での再入幕から4場所連続で勝ち越し、自己最高位を更新し続ける。名古屋場所(7月7日初日・ドルフィンズアリーナ)は、まずはカド番の貴景勝に注目が集まる。出場に向けて治療に励むが、たとえ休場して大関陥落となっても秋場所10勝以上で復帰できる。右膝の状態次第では、休む選択肢もある。右上腕の負傷で夏を休場した横綱・白鵬(33)=宮城野=が出場すれば、両横綱がそろう。ベテラン上位陣と若手、中堅世代の闘いは激しさを増す。(大谷 翔太)

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