交流戦開幕!巨人打線に立ちはだかる2人の剛腕…「お股ニキ」が注目投手を分析

オリックス・山本(左)とソフトバンク・千賀
オリックス・山本(左)とソフトバンク・千賀

 ダルビッシュも認めるソーシャルメディア「ツイッター」発の野球評論家「お股ニキ」(@omatacom)が、スポーツ報知に初寄稿する。著書「セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論」(光文社、994円)が注目を集めており、プロ野球選手ともひそかにやりとりをしているという謎の人物。著者の野球経験は「中学野球部を途中で辞めたレベル」ながら的確な指摘でファンが多い。今回は4日から始まるセ・パ交流戦を前に、ソフトバンク・千賀オリックス・山本というパの注目投手を分析してもらった。

* * *

 今年も4日からセ・パ交流戦が始まる。各地で本塁打が乱れ飛び、打高投低が叫ばれるプロ野球。だが、リーグ平均防御率は実は昨年より良くなっており(セ18年3.90、19年3.77。パ18年4.10、19年3.95)、投手も球速上昇と共にレベルの上昇が著しく、昨年1人もいなかった防御率1点台の投手が両リーグを合わせて3日時点で4人(DeNA・今永オリックス・山本ソフトバンク・千賀日本ハム・有原)もいる。そうした「打高投高」の「投高」を支える投手達の中でも、歴史的な快投を見せているパ・リーグの2人のエース、千賀と山本を紹介したい。

 千賀は腰の高さからホームベースまで一気に落下するような「お化けフォーク」が代名詞。ワールドベースボールクラシック(WBC)やソフトバンクでのリリーフ、先発での大車輪の活躍、育成出身から開幕投手にまで上り詰めたストーリーやキャラクターから知名度も高く、実力も折り紙つきである。だが、昨年まではやや不安定さも残り、沢村賞の候補に挙がるまでには至らなかった。

 ところが今季の千賀は、はっきり言って昨年までとは別人だ。異次元の投球を披露している。開幕戦では初球からいきなり自己最速の161キロを連発。フォーシームの平均球速153.4キロは平均球速93.7マイル(約150.8キロ)のメジャーリーグの先発投手でもトップ10に迫り、サイ・ヤング賞投手のあのバーランダーやシャーザーすら上回る。

 このスピードを生んでいるのは、育成時代から師事するスポーツトレーナーの鴻江寿治氏の指導ではないかと思っている。オフにはダルビッシュと面会し、トップ選手でありながら貪欲かつ柔軟に新しいトレーニングなどを取り入れる姿勢に感銘を受け、上半身のトレーニングも積むようになったのだという。千賀の前にソフトバンクの5年連続開幕投手を務めていた摂津正が昨年限りで引退し、今シーズンは投手陣のリーダーとしての自覚も芽生えたに違いない。パワーアップしてその圧倒的なスピードとお化けフォークで三振の山を築き、奪三振率11.96は石井一久や野茂英雄、大谷翔平といった海を渡った選手を上回り、史上最高ペースである。このまま故障なく投げ抜けば、2011年のダルビッシュの276奪三振に近い数字を残すだろう。開幕から全登板の10試合連続QS(クオリティ・スタート)を達成しており、現在1.60の防御率も1点前半が期待できる。

 ◇シーズン奪三振率 歴代ランキング◇

2019 千賀滉大(ソ) 11.96(6/3現在)

1998 石井一久(ヤ) 11.05

1990 野茂英雄(近) 10.99

2015 大谷翔平(日) 10.98

 千賀以下、全員海を渡った。千賀はどうなるだろうか?

* * *

 その千賀に次いでストレートの平均球速151.2キロを記録するのが、オリックスのエースに成長した山本由伸である。昨年中継ぎとして54試合に登板し1軍に定着すると、今季は先発に転向し両リーグ最高の防御率1.38を記録している。

 150キロを超える豪腕でありながら、打たせて取る投球術は三振を量産する千賀とは対照的。20歳ながらすでに完成の域に達しており、奪三振率は7.67にとどまるものの被打率.165とP/IP(1イニングあたりの投球数)14.4は両リーグを通じてトップ。豪腕投手が打たせて取る境地に到達していて、この年齢でこの完成度の高さには度肝を抜かれる。

 その打たせて取る投球を支えているのがカッター(カットボール)である。その平均球速は145キロを超え、必要に応じて横に曲げたり、斜め下に曲げたりと自在に操っている。スライダーやカーブ、フォークなど大きな変化球ばかりだと常に相手を上回る完璧な投球が必要であり、相手打者も簡単に振ってはくれず体の負担も大きいことから覚えたのだという。スプリットやツーシームも140キロを超えるスピードでストレートに偽装して制球よく鋭く程よく変化。打者はバットには当てることが出来てもハードヒットするのが難しく凡打の山を築いており、時折織り交ぜるカーブの緩急も素晴らしい。投球や打者ごとにフォームの間合いを変えるといった細かな技術や駆け引きも卓越している。山本を打ち崩すにはバットに当てた打球が間を抜いたり、野手のエラーを招くなどの「運」も必要となるだろう。

 そうした山本の武器であるカットボールは千賀も取り入れている。昨年まではたまに織り交ぜる程度だったが、今季はその質が大きく上昇。指標では「お化けフォーク」をも上回り、メジャーで最高クラスの指標を誇るバーランダーのスライダーとも遜色ない。フォークを武器としていて2ストライク後の被打率が.107、三振率が60%近い圧倒的な投球となっている一方でやや四球や球数が多い千賀が、中間球であるカットボール、私が評価する縦のカッター、スラッターを操ることが出来たら無敵だろう。そうなると、四球や球数の多さを狙って待球作戦をとったり、カウントをとるストレートを狙い打つことも難しくなる。

 このような圧倒的な投球をする千賀と山本は、もはや運も味方につけない限りは打ち崩すことが難しい。ローテーション通りいくならば千賀は交流戦で昨年の日本シリーズの再戦となる広島、セ・リーグ最高の投手の今永との投げ合いとなるDeNA、そしてセ・リーグ最多得点の強力巨人打線と対戦することになる。山本も巨人戦登板が濃厚だ。

 山本と千賀と相次いで当たる巨人の6月第4週は巨人ファンも注目だ。

 ◆お股ニキ(おまたにき)生年月日、出身地は非公表。ニキはネット用語で「兄貴」の意。野球経験は、中学部活動の退部レベル。でも、どちらかと言えば、変化球に自信アリ?フォロワー約2万人超がいるツイッターでは、プロ野球や大リーグのプレーを解説する。野球アナリストでもあり、評論家でもある。サッカー・スペインのレアル・マドリードなども詳しい。ダルビッシュ以外に、プロ野球選手ともひそかにやり取りしているらしい。

野球

報知ブログ(最新更新分)

一覧へ
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請