テレ東社長が早くも続編熱望…「きのう何食べた?」の勢いが止まらない

「きのう何食べた?」でゲイ・カップルを演じる内野聖陽(左)と西島秀俊。絶妙のキャスティングが大ヒットを生んだ
「きのう何食べた?」でゲイ・カップルを演じる内野聖陽(左)と西島秀俊。絶妙のキャスティングが大ヒットを生んだ
深夜ドラマで4月クール最大の話題作「きのう何食べた?」を生んだテレビ東京
深夜ドラマで4月クール最大の話題作「きのう何食べた?」を生んだテレビ東京

 令和最初の「バズっている」(口コミで人気が広く拡散する)ドラマの勢いが止まらない。

 テレビ東京系で放送中の西島秀俊(48)と内野聖陽(50)のW主演ドラマ「きのう何食べた?」(金曜・深夜0時20分)が深夜帯にも関わらず、平均視聴率3%台、北海道地区では6%超も記録する大ヒット(数字はビデオリサーチ調べ)。TVerやGYAO!などの広告付き動画配信でも合計再生回数420万回と、4月クールの民放全テレビ番組の中でトップという人気を呼んでいる。

 24日深夜放送の第8話の最後に「来週の放送はテニス全仏オープン放送のため休止します」というテロップが流れたとたん、番組ツイッターには「来週休止…。この世の絶望を見た」「マジか…。来週1週間、何を楽しみに働いたらいいのか」という視聴者からの悲嘆の声があふれた。

 「大奥」などで知られるよしながふみさんの累計500万部突破の人気コミックが原作。2LDKのマンションで月2万5000円の食費で暮らす弁護士のシロさんこと筧史郎(西島)と美容師のケンジこと矢吹賢二(内野)というアラフォーのゲイ・カップルの日常を描く原作コミックは、我が家でも大人気。コミックス1巻の発売時から家族で回し読み。まだ同性愛者であることを職場でカミングアウトしていないシロさんと、まさに中身は“乙女”そのもののケンジの悩み多き恋愛模様。さらにシロさんが毎回作る、いかにもおいしそうな料理の数々をあれやこれやと話題にしてきた。

 そして、5か月前の西島と内野というドンピシャのキャスト決定で世間の話題は「何食べ」一色に―。第1話の放送直後に「きのう何食べた?」がツイッターの世界トレンド1位になったというニュースにも私は「当然でしょう」とドヤ顔で納得していた。

 4月25日のテレ東の社長定例会見でも小孫茂社長(67)自らが初回の見逃し配信の再生回数が155万超だったことを発表。これまでの同局の記録「孤独のグルメ 大晦日SP」(18年12月31日放送)の95万回を大きく上回る史上最高記録となったことを称賛した。

 私も「原作段階から期待していた」と明かした小孫社長に、その場であれこれ質問。そのやり取りをリポートした「社長も『こういうセンスがテレ東を変えていく』と絶賛…『きのう何食べた?』再生回数155万回超の秘密」と題したコラムを報知webにアップした。

 「何食べ」人気の元、このコラム自体が随分読まれたが、1か月たっても、その勢いは増すばかりだ。

 まず、4月25日に発売された「公式ガイド&レシピ きのう何食べた? ~シロさんの簡単レシピ~」(講談社刊)が発売2週間で10万部を突破。5月3日放送の第5話でケンジが袋ラーメン「サッポロ一番」を加工、絶品メニューに昇華させたエピソードの放送直後にはドラマに登場した「サッポロ一番みそ味」が売り切れとなる社会現象まで起きた。

 さらに同ドラマの舞台セットの再現や使用された小道具、名シーンの場面写真や原作コミックの複製原画などを展示する「きのう何食べた?」展が6月13日から7月7日まで東京・渋谷のGALLERY X BY PARCOで開催されることが発表されるや、時間帯によっては早くもチケット売り切れが続出。30分入れ替え制の同展覧会。午前11時の回や夕方の回から売り切れていく様子に主婦を中心とした抜群の女性人気がうかがえる。

 4月クールの平均視聴率で全日(午前6時~深夜0時)2・5%、ゴールデン帯(午後7時~同10時)5・9%、プライム帯(午後7時~同11時)5・4%と、全て民放最下位にあえぐテレ東にとって、まさに救世主的存在になりつつあるのが「何食べ」だ。

 実際、30日の定例会見の冒頭、今クールを振り返り、「思い通りにはなかなか回復してくれない。視聴率は0・1%上げるのも大変、苦労する。私どもだけの力でどうなるものではないが、我々自身もさらに一層の努力をしていきたい」と渋い表情で話した小孫社長の表情が、このドラマの話題になったとたんに一変。「深夜帯としては本当に高い視聴率をいただいている。本当に手応えがあると考えています。主演お二人の力のある演技が主因と思いますが、女性層に高い人気をいただいています。私どもとしては大変、うれしいことです」と一気に話した。

 さらに人気の秘密について、「男性より女性にうけるだろうなと思ったのと、献立の数が多く、すごくヒントになると思う。原作のすごさ、人を惹きつけるものを原作自体が持っていた。それを主演の2人が非常にうまく演じている。好循環が続いていて、見ている方に妙な抵抗感を与えないというか、自然に見ていただける、これぞプロ。原作もプロ、撮る方もプロ、演じる方もプロという妙に飾るのでなく、自然な表現力はこういうことなんだろうなと。それが深夜の枠にも収まって、原作とのコラボレーションになっています」と激賞した。

 驚きの一幕は、その後に起こった。4月の定例会見で「これだけ人気のある作品だけに続編は?」と前のめり気味に聞いた私に、長田隆編成局長は「そういう声もいただいていますが、まずは残りの放送回を全力でお届けするだけです」と冷静に答えていた。

 しかし、1か月を経た今回の会見では社長自らが「ネットの世界でもいろいろな再生回数の記録を依然として続けております。そういう皆さんのご要望に応えるためにも、パート2とかスペシャルとか新たなコンテンツ、次のシリーズを作っていけらと思っております」と話した上で「個人的には続編ができたらいいなあと。スペシャルであれ、続編ができたらいいなあと熱望しております」と、それこそ前のめり気味に熱く語った。

 そう、4月の会見でも「こういうセンスがテレビ東京を支えていくんだなと思っています」と「何食べ」制作チームを絶賛したのが、小孫社長だった。

 私自身も「何食べ」の魅力をいくつも上げることができる。原作ファンも納得の絶妙のキャスティング(特に『かわいくて、乙女チックなゲイ男性』に完璧になりきった内野の抜群の演技力)と劇中音楽などの総合的センス。さらに、時に差別されることもあるゲイ・カップルの日常を淡々と、しかし、幸福感いっぱいに描いた脚本の力。そして、もちろん「飯テロ」とまで言われるおいしそうな「ご飯」の数々。今のドラマに欠けていた「見ていて幸せになる」ポイントが「何食べ」には確かにあふれているのだ。

 その魅力に原作段階から気づいていた小孫社長の「先見の明」にも感服するが、そんな、いつもは冷静沈着なキー局トップまで興奮させる「何食べ」の残り放送回も、あと4回。昨年4月クールに放送され、大人気を呼んだテレビ朝日系「おっさんずラブ」にも負けない勢いで拡散する、その「バズりぶり」は驚異そのもの。例え深夜の放送でも、令和最初の人気ドラマから一瞬も目が離せない―。私は、そう思っている。(記者コラム・中村 健吾)

「きのう何食べた?」でゲイ・カップルを演じる内野聖陽(左)と西島秀俊。絶妙のキャスティングが大ヒットを生んだ
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