メインキャスターも消耗品?…TBS「NEWS23」抜てきの小川彩佳アナの未来は 

4月にテレビ朝日を退社。3日からTBS系「NEWS23」のメインキャスターに就任する小川彩佳アナウンサー
4月にテレビ朝日を退社。3日からTBS系「NEWS23」のメインキャスターに就任する小川彩佳アナウンサー
小川彩佳アナのメインキャスター就任で「NEWS23」を去ることになった雨宮塔子アナ
小川彩佳アナのメインキャスター就任で「NEWS23」を去ることになった雨宮塔子アナ

 1人の女性アナウンサーを巡って水面下でバトルを展開した二つのテレビ局の社長会見を連日、取材した。

 まずは5月28日に行われたテレビ朝日・角南源五社長(62)の定例会見。焦点は昨年9月まで同局の看板ニュース番組「報道ステーション」のキャスターを務めたものの4月に電撃退社。フリーに転身した小川彩佳アナウンサー(34)が3日からライバル局・TBSの「NEWS23」のメインキャスターに就任することだった。

 早速、小川キャスター誕生について聞かれた亀山慶二専務(60)は「他局に関することでございますので、コメントは控えたいと思います」とだけ答えた。亀山氏は6月の株主総会を経て角南社長に代わって新社長に就任する予定。いつも通り表情を全く変えずに話す、その口調に「ああ、もう、小川アナは他局の人なんだな」と心の底から感じた。

 その翌日に行われたTBS・佐々木卓社長(59)の定例会見でも早速、小川アナに関する質問が出た。

 まず「『NEWS23』は来週から小川彩佳さんを迎えて、一新します。新しい取り組みで夜の視聴者を獲得したいと思います」と歯切れ良く話した同社長。起用の理由についても「私からは期待しかありません。小川さんはジャーナリストとして、しっかりしている。『NEWS23』の顔になっていただいて、夜のニュースゾーンを引っ張っていただくのに、ふさわしい方だなというふうに思っています」と絶賛した。

 「ジャーナリズムへの確かな視点を持っている方。時代の共感者として確かな伝え手として幅広い層から支持されている方です。ニュースを人ごとでなく、自分のものとして感じ取って伝えるという力に長けた方と思っています」と本田史弘報道局長も期待を寄せた。

 小川アナは「報ステ」降板後、メインキャスターを務めていたテレ朝系インターネット放送「Abema TV」の「Abema Prime」を3月29日に卒業。そして、残務整理後の4月に退社。わずか2か月でライバル局の看板ニュース番組のキャスターとなる。

 退社して間もなく他局の帯番組のキャスターを担当すること自体が極めて異例。現在、「NEWS23」メインキャスターの星浩氏(63)は6月以降も引き続き担当し、新たに同局の石井大裕アナ(33)がスポーツコーナーを担当することが内定しているが、16年7月からメインキャスターを務めてきた元TBSの雨宮塔子アナ(48)は降板となる。

 合田隆信編成局長は改編期とも無関係な今回の番組刷新について、「5月に時代が平成から令和に変わる、この時期に平成元年に始まった『NEWS23』をリニューアルする。まさに、ここがタイミングだということで、5、6月の2か月でリニューアルということになったのです」と説明した。

 雨宮アナが番組を去ることについて聞いた私に、佐々木社長は「雨宮さんはずっと長くやってきた仲間。番組はリニューアルされますけど、また、番組に関わっていただくこともあるのかなと思っています。引き続き、しっかりとお付き合いしていきたいです」と、しんみりした口調で答えた。

 だが、3年前に“三顧の礼”を持って番組に迎えたはずの雨宮アナを降板させてまで、ほんの1年前までテレ朝の、それも同時間帯ニュースのキャスターを務めていた小川アナを抜てきする―。そのこと自体に、やや違和感を覚えたから続けて聞いてみた。

 「小川アナは昨夏までライバル局の看板ニュース番組でキャスターを務めていた。退社から抜てきまでの、このスパンの短さが気になります。そもそもTBSは、いつ白羽の矢を立て、オファーを出したのか?」―。

 マイクを持った合田局長は「交渉の細かい過程については説明を差し控えさせていただきたいと思います」とだけ答えた。それはそうだろう。もし、「報ステ」出演時、もしくは降板直後から狙いを定めていたのなら、人気アナの“引き抜き”にもつながるわけで、局の幹部が軽々に答えられる質問ではなかった。

 だが、疑問はもう一つあった。なぜ、わざわざ、ライバル局の元看板アナを抜てきするのか。前任の雨宮アナも99年にTBSを退社した“出戻り組”だったように、能力もあり、人気も高いTBSの現役女子アナの中から選抜して「NEWS23」のキャスターに据えるという手はなかったのか。

 同局は1月末で退社し、フリーとなった吉田明世アナウンサー(31)に続き、宇垣美里アナ(28)も3月末で退社と、このところ人気アナの早期退社が目立つ。そんな動きも気になっていただけに「TBSが自前で育て上げたアナウンサーこそが『NEWS23』の顔になるべきではないか?」と前のめり気味に聞いてみた。

 この質問に、こちらをじっと見つめた合田局長は「そのようなことが(小川アナのキャスター就任を巡る)報道などでもあるかと思いますが、私どもとしては新しくお迎えする小川アナで『NEWS23』をリニューアルして頑張っていく。それだけです」と答えた。

 口調こそ穏やかだが、確かに熱さが伝わってくる、その言葉を聞いた瞬間、私にはTBSの「どうしても夜のニュース戦争に勝ちたい」という闘志が、ストレートに伝わってきた。

 リニューアルして再出発を図る「NEWS23」のライバルは強力そのものだ。1時間早く始まり、常に10%超の視聴率を記録する「報ステ」。昨年10月にNHK随一の人気者だった有働由美子アナ(50)をメインキャスターに迎え、2ケタをうかがう日本テレビ系「news zero」。4月からコメント力への評価が高い三田友梨佳アナ(31)を抜てきし、攻めの姿勢に入ったフジテレビ系「Live Newsα」。

 番組表で隣に並ぶ競合番組に勝つためには、ほんの少し前までライバル局の看板ニュースの顔だった小川アナの登板も戦法として、当然、あり。キー局間の争いは、それこそ手段を選ばない“仁義なき戦い”に突入していると私は見る。

 だが、視聴率という、どこかあいまいな数字が全てを決めるのが、テレビの世界。実際、雨宮アナのわずか3年での降板を誰が予想できただろう。それほど、明日すら分からないのが、夜のニュース戦争の激烈な現場ではないだろうか。

 数字が上がらなかった場合、小川アナがその責任を背負わされ、あっさりと番組から去ることも考えられる。それが現実だ。1年前にどこか不本意な形で「報ステ」を卒業したかに見える小川アナ本人は、私などに言われなくても、そんなこと百も承知と思うが―。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆テレビ各局午後11時台のニュース番組の女性キャスターと年齢

 ▽NHK「ニュースきょう一日」 井上あさひ(37)

 ▽日本テレビ「news zero」 有働由美子(50)

 ▽テレビ朝日「報道ステーション」 徳永有美(43)

 ▽TBS「NEWS23」 小川彩佳(34)

 ▽テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」 大江麻理子(40)

 ▽フジテレビ「Live Newsα」 三田友梨佳(31)

 ※「ニュースきょう一日」は午後11時20分、「報道ステーション」は午後9時54分開始、「Live Newsα」は午後11時40分開始。

4月にテレビ朝日を退社。3日からTBS系「NEWS23」のメインキャスターに就任する小川彩佳アナウンサー
小川彩佳アナのメインキャスター就任で「NEWS23」を去ることになった雨宮塔子アナ
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