【巨人】「DASH村」生んだ新社長内定の今村司氏「アンチ巨人を作りたい」素顔に迫った

色紙に記した座右の銘を見せる今村新社長
色紙に記した座右の銘を見せる今村新社長

 巨人は28日、都内で決算取締役会を開き、6月11日付で、今村司氏(59)=日本テレビ放送網執行役員事業局長=が代表取締役社長兼編成本部長に就任するなどの役員人事を内定した。今村新社長はインタビューに応じ、抱負として掲げた常勝巨人軍の復活を「死語になりつつある『アンチ巨人』を作りたい」という言葉で表現。日本テレビでドラマやバラエティーでヒット作を連発したアイデアマンの素顔に迫る。

 ■令和元年「絶対V」

 今村社長の言葉は当然のように、高揚していた。幼少期から熱烈なG党。そんな憧れの球団に迎えられた。長く球団と密接な関係を築いている日本テレビ出身者として初となる社長就任でもある。率直な胸の内は。

 「この話をお伺いした時は、正直言って驚きました。ジャイアンツに対しても人一倍興味を持っていたし。僕は文字まで、幼少期から読んでいた報知新聞で覚えたんです。本当にジャイアンツの一員になれるということが、喜びとともに重圧を感じますよね。僕に何ができるのだろう、と。ましてや今年は節目の年だし、絶対優勝しなければならない。自分のキャリアを生かして、素晴らしいジャイアンツというコンテンツの力に少しでもなれればいい」

 担う業務は多岐に渡る。事業拡大、ファンサービス充実の責任者となり、さらには編成本部長の肩書も付いたことで、原監督の意向を受けた強化の最終決定権も握ることになる。目指すはただ一つ、常勝巨人軍の復活。今村社長は逆説的な言葉で“公約”を掲げた。

 「誤解を恐れずに言うと、すごく強いジャイアンツを恒久的に作って、今はもう死語になりつつある『アンチ巨人』を作りたいんです。今、言われないですよね。それは絶対に復活させたい」

 ■「ミタ」も手掛けた

 V9時代(1965~73年)がそうであったように、長きにわたって勝ち続け、憎たらしくなるほどの強さを誇示していく。他球団が「とにかく巨人に勝つ」という目標を掲げるまで。そのために、フロントとしてできることとは何か。

 「選手たちがジャイアンツの一員だということを、今までよりプライドを持てるような環境は整えたい。例えば、収入とか待遇面、トレーニング環境だったり、保障とか。少しでも選手たちが安心して野球に打ち込めるような環境を作ることで、より多くの才能を持った人、物、お金が入ってくるような組織になってくれたらすごくすてきだと思う」

 これまで制作に携わった「鉄腕!DASH!」では「DASH村」、制作局ドラマセンター長を務めていた際には「家政婦のミタ」などヒット企画を連発。奇抜なアイデアの根底は、物事の裏を見ることだという。

 「普通のことを普通にやったら、普通で終わっちゃう。DASH村の時も農業をゴールデンでやるなんて発想、アイドルが畑仕事をやるなんて発想はみんな、なかったわけですよ。めちゃくちゃ反対されたんです。会社でも、番組内でも。当然、ジャニーズ事務所からも怒られたし。でも、自分の中ではロジックは完成はしていた。ないからやるし、ないから新鮮。驚きがなければ話題にもならない」

 “スポーツの日テレ”の屋台骨を支えてきた。口癖は「野球が最大のスポーツ文化」。野球人口の減少も叫ばれる中、野球の持つ力をどう捉えるか。

 「プロ野球というのは毎日、(計)143試合、4万、5万というお客が来る。こんな競技、イベントは他にないですよね。僕は事業局長もやっているので、お客さんからお金をいただくのがどんなに大変か、身に染みて分かっている。85年かけて先輩たちが作ってきたコンテンツ。やっぱりこれを大きくしていくというのが我々残された人たちの責務」

 ■野球新たな可能性

 かつては地上波中継が唯一とも言える視聴の手段だった。今では多様な形で試合に触れることができ、そこにも可能性を感じている。

 「今は、BS、CSなど色んなプラットフォームが広がって、お客さんにとってはものすごくいい。プロ野球の人気が下がったということではなく、タッチポイントがすごく増えて、それもそれぞれにニーズがある。すべて商売として成立するというコンテンツはなかなかないですよ」

 ■一般の方の声大事

 今季から巨人は、スポーツ専門の動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」と、主催試合をインターネットでライブ配信することなど包括提携を締結。スマートフォンでも手軽に試合が視聴できる時代となった今、新たなファン拡大への方針は。

 「巨人軍から発信していく、ニュースを作っていくというしたたかさが絶対に必要。野球界以外の方の価値観、例えばそれは広告だったり、マスコミだったりとか、テレビ局の話も聞いて、こうしたらもっと輝くのになというところを真摯(しんし)に外部の意見を聞いた方がいい。人気を決めるのは絶対に民意なので。極力、一般の方に接している方たちの声を球団に生かしていく」

 野球という競技、巨人という球団の魅力は絶対的だと確信する一方で、まだまだその全てを引き出せていないとも感じている。他球団の取り組み方にも学ぶべき点は多い。

 「野球でいえば広島ですよ。24日の巨人対広島戦。日本テレビ、ゴールデンでやりました。でも、東京エリア、関東エリアの視聴率は5・5%ですよ、世帯(視聴率)で。広島テレビではいくつか知っています? 同じものが流れていて、40・5%です。それぐらい広島のお客さんが熱くなっている。この差ですよ。やっぱりきちっと足元固めなきゃと思いましたね。ちょっとショックでした」

 パーソナルな面に迫る。性格は楽天的で「典型的なB型」と分析する。座右の銘とするのは何か。

 「自分を戒めるために、なんですけど。『失意泰然』。心が落ち込んだ時でも堂々としていようと。それで、いい時でも心を平らかにしようよと。『得意平然』。どっちかというと気性が激しいもので」

 ■原さんは憧れの人

 ほぼ同世代の原監督とも、今後はタッグを組んでいくことになる。

 「原さんは憧れの人で、東海大相模が大好きで、原さんが高校1年の時から見ていました。その頃のスタメンも全部言えるくらいで、東海大相模の校歌をいつも歌っていました(笑い)。原さんは天才ですから。言葉に力があるし、原さんが言ったことをちゃんと、そしゃくして世の中に伝えていくのが僕の役目かなと。超名将ですよ」

 アイデアマンから見た巨人軍は、これからも、日本の人気コンテンツで居続けられるか。

 「巨人は、絶えず憧れのモノですよ。僕はジャイアンツの社長に就任予定という情報が出た時点で、問い合わせがものすごい来た。それだけやっぱり注目される存在だし、関心事だと思うんです。日本中の子供たちがみんなジャイアンツの選手になりたい、球団で仕事がしたいというような憧れの存在にしたい。そういうジャイアンツであってほしい」

 ◆ザ!鉄腕!DASH! 95年に「鉄腕!DASH!」として放送開始した日テレ系バラエティー番組。TOKIOが出演。「DASH村」「DASH0円食堂」などで農業や様々な実験にチャレンジする企画が人気を呼んでいる。

 ◆家政婦のミタ 2011年10月から12月にかけて日テレ系で放送されたテレビドラマ。主演は松嶋菜々子。最終回の平均視聴率は40.0%を記録。ドラマで40%以上は約12年ぶりで、21世紀の日本のテレビドラマでは初の快挙に。

 ◆今村 司(いまむら・つかさ)神奈川県生まれ、59歳。東大文学部を卒業後、85年4月に日本テレビに入社。スポーツ・情報局チーフプロデューサーとして巨人戦などのプロ野球中継を担当。15年1月1日付で野球日本代表・侍ジャパン事業を手がける「NPBエンタープライズ」社長に就任。17年5月1日に日本テレビへ帰任した。

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