◆広島3―1中日(22日・マツダスタジアム)
広島が2年ぶりの9連勝を飾った。緒方監督の父・義雄さんが84歳で死去したため、高ヘッドコーチが監督代行を務めた特別な一戦。エース・大瀬良はアクシデントにも動揺せず、6者連続を含む8奪三振を奪い、今季2度目の無四球完投で4勝目。今季本拠地最多3万2137人の大歓声の中、3安打1点に抑える91球の省エネ投球だった。緒方監督は24日の巨人戦(東京D)から復帰する。
不在の指揮官に弔いの9連勝を贈った。大瀬良が両リーグトップの3度目の完投で4勝目。「まだまだ連勝を伸ばしていけるよう頑張りたい」と、お立ち台で締めのセリフを吐いた直後、スポンサーボードの裏に潜んでいた鈴木と西川からバケツ2杯の“洗礼”を浴びた。ズブぬれのエースは「アイシング完了です」とボヤいて笑わせた。
この日、緒方監督は父・義雄さんが84歳で死去し、急きょ佐賀県の実家に駆けつけた。高ヘッドコーチが代行として指揮する中、大瀬良は「監督が掲げる野球をやることが、僕たちにできること」。動じることなく、投手中心に守り切る野球を体現してみせた。
2回先頭のビシエドから6者連続奪三振。88年6月7日の阪神戦で長冨浩志、同年8月12日の大洋戦で紀藤真琴がマークした球団記録の「7」に迫る快投で、6回1死まで完全投球を続けた。8奪三振で今季66三振はリーグトップ。今季の中日戦は3戦オール完投で3勝目。3安打1点に封じ「先発として最後まで投げ切ることは最高の形」と胸を張った。少年時代から憧れた巨人・上原が引退した直後の登板。その上原さんをほうふつさせる、わずか91球、今季最速2時間31分の“時短投球”だったが「完全にたまたまですね」と笑った。
17年9月の9連勝以来となる大型連勝で、2位・巨人とのゲーム差は1・5に開いた。高ヘッドも「大瀬良に尽きる。素晴らしい投球をしてくれた」と絶賛。エースがエースらしい投球を見せた鯉が、一気に首位の座を固める。(田中 昌宏)