【巨人】ガンコで偏屈な上原浩治から初めて聞いた弱音…担当記者が見た

高橋由伸(左)を手荒い祝福する上原浩治
高橋由伸(左)を手荒い祝福する上原浩治

 巨人の上原浩治投手(44)が20日、都内のホテルで会見し、現役引退を表明した。

 ガンコというか、偏屈というか。上原浩治との会話は大変だった。彼の発言に「それはちょっと違うのでは?」と言えば「違わへん」だの「オレはこれでええねん」と返される。これまで何度、衝突したことか。

 ただ5月のある日の会話は違った。「もう気力が続かへん。もう通用せえへん」。初めて聞いた弱音だった。思わず「1軍が必要としてくれる時は必ず来るのでは」と返したが、いつもと違う、落ち着いた、優しい声が返ってきた。「時が来たら、スパッと身を引くだけやねん」。掛ける言葉は見つからなかった。

 雑草魂が代名詞でも、その人間性は雑草というより、手厚く育てられたバラ。かまってもらいたいタイプだし、自分にもトゲがあるくせに、傷つきやすく、繊細。そして、その花の香りのように、優しい心もある。

 「野球の考えはすごくしっかりしてる」「今からフォークを覚えれば数年のうちにクローザーになれる」「毎週きっちり投げていけば将来のエースになる楽しみな存在」「あれだけしっかり練習してるんだから、心配ない」…。これまでいろいろな選手についてのコメントを聞いてきた。それぞれにそう言ってあげればいいのに「大きなお世話だから」と変に気を使っていた。

 「うまい、うまい」と、東京ドームで食堂の菓子パンをほおばり「明日の朝食用に」と持ち帰る姿を見られた後輩に、イタズラされ続けた。「亀ちゃん(亀井)や(坂本)勇人が、知らない間にオレのカバンに菓子パン入れとったりするねん」。いじられるのがうれしそうだった。

 「今、セクハラやパワハラが騒がれてるけど、最上級は“ウエハラ”やで~」とグラウンドでしょうもないことを言って後輩を笑わせていた。だが「やっぱり世代やな。野球のことオレに聞いてくる子はおらん」と、自分は近付いているつもりでも、縮まらない他の選手との距離にさみしそうな顔も見せた。

 「トリプル100とかいうけど、オレって何もかも中途半端な選手だよなあ」と言っていた。そんなことはないですよ。取材も一筋縄ではいかなかった一流選手でした。お疲れさまでした。(メディア局編集委員・柳田寧子=02~03年巨人担当、04~12年大リーグ担当)

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