【箱根への道】“迷走”から新生・日体大を再建する…横山監督と小野木コーチの新体制のもと72回目の箱根路へ

選手に熱く語りかける横山順一部長兼任監督(中央)。右端は小野木俊コーチ
選手に熱く語りかける横山順一部長兼任監督(中央)。右端は小野木俊コーチ

 箱根駅伝優勝10回を誇る日体大は予選会(10月26日)からの出直しとなる今季、横山順一部長兼任監督(55)と小野木俊コーチ(25)の新たな指導体制で臨むことが決まった。昨年9月、渡辺正昭氏(56)がパワハラ問題で監督を解任された後、今年の箱根駅伝で4年ぶりにシード権を逃すなど低迷。新チームは、ほとんど指導歴がない横山監督と“超若手”の小野木コーチのもと再び走り始め、72年連続72回目の箱根路を目指す。

 昨季、日体大は文字通り“迷走”した。学生3大駅伝開幕直前の9月、当時の渡辺正昭監督がパワハラ問題で解任され、棒高跳びを専門とする小林史明監督(44)と大ベテランの渡辺公二総監督(81)が就任。ただ、実際にはチームは学生主体で運営され、出雲駅伝は9位(関東10校中8番)、全日本大学駅伝は12位(同15校中12番)と大苦戦。箱根駅伝は13位に沈み、4年ぶりに予選会に回った。

 今年に入っても名門の混迷は続いた。渡辺公二総監督は3月末で退任。関係者によると、OBを中心に複数の指導者と監督就任の下交渉を行ったが、不調に終わった。「新しい監督が来るのか来ないのか、選手の間では戸惑いはありました」と主将の小松力歩(4年)は正直に話す。

 新たな指導体制が正式に決まったのは5月7日。横山部長が駅伝監督を兼任し、2年前に卒業したばかりの小野木コーチが就任したことが発表された。横山監督は「陸上部全体の監督でもある小林は来年に東京五輪を控えていることもあり、専門種目の指導に専念してもらう。私が部長と兼任する方がいいという判断になりました」と説明した。

 横山監督は日体大時代は1500メートルが専門で箱根駅伝出場経験はない。卒業後は福祉関連の仕事を経て、大学で社会福祉学の教べんをとっている。駅伝の競技経験も指導経験もほとんどない異色の監督が名門を率いることになった。「学生とコミュニケーションを密に取っています。生活面も競技面も学生が自分で考え、しっかりできるようになっている」と手応えを明かす。横山監督は体育学部の教授として多忙な生活を送る中、連日、午前5時30分からの朝練習と午後4時20分からの本練習に駆けつけ、選手の動きを把握している。

 今の大学駅伝界では高校有力選手の勧誘活動が重要なポイント。横山監督は「日本全国で指導者として活躍している日体大OBに協力を得ている。私自身、時間が許す限り、多くの大会を回ります」と話す。

 横山監督をサポートするのが、小野木コーチだ。2年前に日体大を卒業後、実業団のセキノ興産で今年のニューイヤー全日本実業団駅伝まで競技を続けた。「日体大では1、2年時に別府健至監督、3、4年時に渡辺正昭監督の指導を受けた。セキノ興産では松宮祐行プレーイングコーチの練習がとても勉強になった。皆さんの指導のいいとこ取りで今の日体大の学生にあった練習メニューを考えています。それを横山監督に修正、確認をしてもらっています」と小野木コーチは充実した表情を見せる。

 まだ25歳になったばかりで、現4年生が1年生だった時の主将。まさに兄貴分の存在だ。横浜市内の選手寮で一緒に暮らしている。「意見があったら、とにかく言ってほしい。意見を必ず受け入れるとは約束できないが、納得できるまで話し合うことは約束する」と小野木コーチは学生に訴えている。「正直に言えば、渡辺正昭監督には意見を言いづらい雰囲気があったが、小野木コーチには何でも相談しています」と小松主将は明かした。

 戦後間もない1949年の第25回箱根駅伝に前身の日本体育専門学校が初参加して以来、今年まで71回連続71回の出場を誇る。その間、優勝は歴代5位の10回。連続出場記録は中大の87回(6~92回大会)に続く歴代2位。継続中としては最長だ。順調に出場を続ければ2036年大会で連続最長記録を更新する。10月26日の予選会は“絶対に負けられない戦い”だ。横山監督は「連続出場を継続し、さらに本戦で上位進出する。日体大としてこれは譲れない」と言い切る。ただ、4年ぶりとなる予選会は全選手が初体験となることもあり、決して甘くないことも承知している。「危機感と緊張感は持っている」と表情を引き締めた。

 新時代、令和の駅伝シーズン。新生・日体大の真価が問われる。(竹内 達朗)

 ◆日体大 日本体育大学(にっぽんたいいくだいがく)。1891年、体育会として創設。その後、日本体育会、日本体育専門学校などを経て1949年に現校名になった。陸上部は26年に創部。箱根駅伝には49年に初出場し、優勝10回。全日本大学駅伝は優勝11回。出雲駅伝は最高2位(2010年)。学生3大駅伝通算21勝は駒大と並んで最多。今季の長距離部員は選手58人、学生スタッフ8人。タスキの色は白。主な陸上部OBは91年東京世界陸上男子マラソン金メダルの谷口浩美ら。

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