楽天好調の訳…失敗から学ばせる39歳、楽天・平石監督の手腕と応える選手の絆

辰己涼介(左)と平石洋介監督
辰己涼介(左)と平石洋介監督

 遊軍記者として、日替わりや遠征の3連戦単位で様々な球団を取材している。プロの真剣勝負を「雰囲気」とか「ムード」といった言葉で語るのは失礼だろうが、調子のいいチームは選手たちの表情も明るいし、逆に負けがこんでいるチームには覇気のなさを感じることが多い。

 先週末(10~12日)、神戸での楽天―オリックス3連戦に楽天担当として帯同した。12球団最年少の39歳・平石洋介監督の下、開幕前の下馬評を覆して同率2位(13日現在)と健闘している楽天。試合前の練習でも選手の間で大きなかけ声が飛び交い、やっぱり雰囲気がいい。ただ、繰り返しになるが雰囲気だけで勝てるほどプロの世界は甘くない。今季最多の20安打と打線が爆発して勝利した12日の試合で、今の楽天の強さの一端を垣間見るプレーがあった。2回にルーキーの辰己涼介外野手が決めたスクイズ(記録は内野安打)だ。

 この回、同点に追いついてなお1死一、三塁で打席に立った辰己は、オリックスの先発アルバースの初球スライダーを100点満点のバントで三塁方向に転がした。あわてたアルバースが間に合わない一塁に悪送球して、勝ち越しの2点が入った。

 絶妙なバントを決めた辰己だが、前日の試合では1点を追う8回無死一塁で2球続けて送りバントを失敗していた。最終的には二ゴロで何とか走者を進めたが、反省材料の残る打席だった。

 12日の試合前、平石監督は前日の辰己のバント失敗について「得意じゃないのは分かってる。(打線の主軸だった)学生時代にバントはあまり経験してないだろうから。失敗からいろいろと学んでくれたらいい」と話していた。そして、試合ではその辰己に送りバント以上に責任が重いスクイズのサインを、いきなり初球から出して成功させた。失敗した選手にすぐチャンスを与えて挽回させる―。「監督と選手」を職場の「上司と部下」に置き換えても、簡単なようで難しいことだ。

 一方の辰己も「昨日失敗したんで、試合前にバント練習を多めにやりました」と、ミスを取り返すための努力を怠っていなかった。出身地・神戸での試合。観戦した母・洋子さんに母の日のプレゼントとしてプロ初本塁打(6日・西武戦)のボールを渡したという。勝ち試合を見せることができたが「活躍、というところまでいかなかった。勝利に貢献できるように、もっとがんばります」と話す引き締まった表情が印象的だった。

 選手を巧みに導く指揮官と、それに応える選手がそろえば、チームは必然的に強くなる。ちなみに平石監督は12日の試合で、前日に続き8回を託されながら失点したハーマンには「サインに首を振りすぎ。もっと捕手を信じて投げてほしい」と苦言を呈した。同じ失敗を繰り返すことは許さない厳しさも持つ若き指揮官。今後の手綱さばきにも注目していきたい。(専門委員・星野和明)

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