相手守備もカメラマンをも翻弄する久保建英 被写体としても異彩を放つ17歳

4月28日の松本戦。F東京の久保は永井(手前右)のゴールをアシストする(カメラ・宮崎 亮太)
4月28日の松本戦。F東京の久保は永井(手前右)のゴールをアシストする(カメラ・宮崎 亮太)

 カメラマンは日々、バズーカ砲のような望遠レンズをピッチに向ける。ゴール裏で歓喜する選手には、広角レンズに持ち替え、至近距離で“突撃”する。スタンド上部に位置する記者席とは違い、詳しい戦術や選手の位置取りまでは把握しきれない。だがサポーターのチャント(応援歌)を背中に受け、選手同士が激しくぶつかる音や荒々しい怒声、天然芝のにおいまでを肌で感じ、誰よりも近くで戦いを見ている。

 F東京のMF久保建英は、撮っていて面白い。バルセロナ育ちのレフティーは、予想外のプレーの連続で、相手守備陣もカメラマンをも翻弄する。背中に目がついているかのようなパスの選択肢の多さ。「そこ行くか!」と思うような、狭い守備網をスルスルと抜けていくドリブルの突破力。ペナルティーエリア深くまで持ち込めば、どんなに角度がなくてもシュートを打つものだから、絶対に最後まで目を離せない。

 かと思えば、今度は鋭いスルーパスを通し決定機を演出。裏をかくプレーが多いことに対して尋ねると「意識というか、もう染みついているので。意識はしていますけど、ファーストチョイスという感じです」とさらり。こちらはもう、息つく間さえない。

 4月10日のルヴァン杯鳥栖戦では、角度がない右サイド深い位置で獲得したFKを直接突き刺した。誰もがセンタリングだろうと推測するような場面。久保の目にはゴールネットしか映っていなかったようで、またしても、その射程圏の広さに驚かされた。

 先入観は、時にカメラマンにとって大敵となる。望遠レンズ越しに大きく写る、選手の速い動きを画角内で追いかけ、一瞬一瞬のプレーを切り取っていく。サッカー撮影において、ある程度プレーを予測しファインダーをのぞく時間は多い。ボールだけを追いかけていると、時に選手の速い動きにピントが追いつかないためだ。ただその予測を、プレーでことごとく裏切るのが久保なのだ。

 久保を撮影していると、ある意味、相手選手の気持ちが分かるような気がする。意外性のある動き、豊富なアイデア―。これは対峙するディフェンダーは手を焼くはずだ、と。

 シャッターチャンスを逃し、現に何度も冷や汗をかかされてきた。今季のリーグ戦では、まだゴールこそない。だが数値化できない貢献度が、ファインダー越しにヒシヒシと伝わってくるのだ。10節を終え、首位を走るF東京。その中心には間違いなく「15番」がいる。

 6月には南米選手権(ブラジル)、そして来夏には東京五輪が控える。アルゼンチン・メッシ、ブラジル・ネイマール、ウルグアイ・スアレス…。そして“赤青”のユニホームが実に似合う日本の17歳。令和元年の今夏は、ガチな南米勢をも凌駕する、そんなセンセーショナルな輝きを見たい。日本サッカー界に新風が吹き込む瞬間を。(記者コラム・宮崎 亮太)

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