西武・秋山翔吾は「続ける人」…元・番記者が見た「凄味」

西武・秋山
西武・秋山

 デスク業務中、所沢から届いた1枚の写真に心が温かくなった。子供たちはみんな、いい笑顔をしていた。

 5月5日、こどもの日。西武の秋山翔吾外野手は「一人親家庭の親子」14組39人を球場に招待し、試合前には記念撮影に応じるなどして、交流した。自身も12歳の時に父を亡くしている。多感な中学時代、母・順子さんの優しさに育まれ、野球に打ち込めた感謝の思いが根底にあるのだと、かつて話してくれた。

 試合では初回に先制ソロを放つなど、4打数3安打と暴れまくった。招待された子供たちの喜びは、いかばかりだろうか。最高の一日となったと拝察する。

 あらためて記したいのは、秋山がこの活動を2015年から始め、今年で5年目を迎えることだ。今季も5度の実施が予定されている。

 素晴らしいことだと思う。

 地道に、コツコツと。グラウンド内の姿もそうだ。秋山翔吾というプレーヤーの魅力は多岐に及ぶが、ルーキーイヤーから3年間、所沢で取材させていただいた立場から「続ける力」を挙げたい。とにかく「続ける人」だった。

 まだプロ入り間もない頃の話だ。シーズン中は原則、月曜日は野手陣にとってオフ。当然、スポーツ紙の記者はネタ不足の危機に陥る。西武ドームに隣接した2軍本拠地、西武第二球場にたたずんでいると、室内練習場には必ず、若き日の秋山の姿があった。たったひとりで、打撃マシンを打ち返している。バットとボールがぶつかる乾いた音だけが、響き渡っていた。

 「いつも熱心だねえ」

 「自分、下手くそなんで、練習しないとうまくならないんですよ」

 春先も、夏場も、オフも、いつもそう。まるで朝起きたら歯磨きをするかのように、鍛錬に没頭していた。

 もともと入団時から、走攻守3拍子そろう好選手と評判だったが、秋山はもう一つ、大きな才能に恵まれていた。それは努力を「続ける力」だった。

 15年には216安打でシーズン最多安打記録を更新。17年には首位打者。最多安打3度、ベストナイン2度、ゴールデン・グラブ賞5度、17年WBC日本代表…と、その後の球歴は華やかの一言だ。しかし、私の心の中にいる秋山翔吾は、昭和の薫り漂う建物の中で必死に汗を流し、懸命にスパイクを磨く、あの姿である。

 ペナントレースは長い。山あり、谷ありだ。好不調の波はどんな選手でもあるが、「続ける力」にはスランプがない。不断の努力で研ぎ澄まされた技術は今後も、所沢を訪れた子供たちを笑顔にするに違いない。(野球デスク・加藤 弘士)

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