【箱根への道】東洋大・酒井俊幸監督&瑞穂コーチ、夫婦で「けずり出す1秒」

東洋大の酒井俊幸監督を「補佐」する妻の瑞穂コーチ。競歩も指導し、今や陸上部全体を支える存在だ(カメラ・橘田 あかり)
東洋大の酒井俊幸監督を「補佐」する妻の瑞穂コーチ。競歩も指導し、今や陸上部全体を支える存在だ(カメラ・橘田 あかり)
東洋大のスローガン「その1秒をけずりだせ」は駅伝にも競歩にも通ずる
東洋大のスローガン「その1秒をけずりだせ」は駅伝にも競歩にも通ずる
酒井俊幸監督&瑞穂コーチの経歴
酒井俊幸監督&瑞穂コーチの経歴

 大学駅伝界で「知将」と呼ばれる東洋大の酒井俊幸監督(42)が就任して10年。妻の瑞穂さん(42)は「監督補佐」として夫とチームを支え続けてきた。昨年4月から「競歩担当コーチ」の役割が加わり、ドーハ世界陸上男子20キロ競歩代表の池田向希(3年)ら多くの好選手を育てている。瑞穂コーチが酒井監督と初めて夫婦同時インタビューに応じ、競歩の指導方針や陸上部全体をサポートする心構えなどを明かした。

 この春、酒井監督が就任し、ちょうど10年となった。2009年4月、福島・学法石川高の教員だった酒井監督が新たな挑戦をしたことは、妻・瑞穂さんにとっても大きな転機となった。福島の県立高教員だった瑞穂さんは充実した職と住み慣れた故郷から離れ、夫とともに埼玉・川越市へ移った。今では「監督補佐」としてチームに欠かせない存在となった瑞穂さんに昨年4月、新たな役割が加わった。学生時代は競歩選手で、高校教員時代にその指導をしていた経験が買われ「競歩担当コーチ」に就任した。

 瑞穂コーチ「今、日本の競歩はレベルが上がり、来年の東京五輪ではメダル獲得が期待されています。東洋大からも世界で戦える選手が育つように、少しでも力になりたいですね」

 東洋大は今年の箱根駅伝で2年連続で往路優勝し、総合3位。“戦国時代”において11年連続3位以内という驚異的な安定感を誇る。駅伝チームと同じ選手寮で生活し、同じ環境で練習を重ねる競歩チームも絶好調。池田は2月に20キロで世界ランク1位となり、ドーハ世界陸上代表に選出された。川野将虎(3年)は4月に50キロで従来の日本記録を上回る日本歴代2位の好記録をマーク(同じ試合で鈴木雄介が日本新を樹立)。長山達彦(2年)は昨年12月に1万メートルで20歳以下シーズン世界最高記録をたたき出した。目覚ましい活躍の裏には瑞穂コーチの指導力があった。

 瑞穂コーチ「選手ひとりひとりに合った指導を心がけています。首や手足の長さが違えば、最も適したフォームも変わります。それぞれの選手の体格に合ったフォームを身につけるようにしています」

 競歩のルールは「常にどちらかの足が地面に接していること」「前足は接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝を伸ばすこと」。違反した場合、警告を受け、累計3回で失格となる。

 瑞穂コーチ「私は競歩審判の資格を持っているので『その歩型では警告を受けるよ』と審判の目線で指導することも重要視しています。例えば、池田は歩きが柔らかくなって警告が格段に減りました」

 同じ指導者として酒井監督と瑞穂コーチは互いに尊重し、刺激し合っている。

 酒井監督「妻は選手のちょっとした、しぐさの違いに気付くなど目配りができる。参考になっています」

 瑞穂コーチ「夫には指導者として大きな影響を受けています。私も学生には親のつもりで接しています。競技力に関係なくダメなものはダメと注意し、時には嫌われ役にもならなければなりません」

 7月のユニバーシアードには、ハーフマラソンで相沢晃主将(4年)、競歩で池田と川野が日本学生代表として内定している。今後、さらに増える可能性もある。

 酒井監督「チームスローガンの『その1秒をけずりだせ』は駅伝も競歩も同じ。長距離選手と競歩選手が競い合い、融合することで大きな相乗効果が生まれる」

 瑞穂コーチ「池田と川野は大学4年で東京五輪を迎えます。代表になり、メダルを獲得してほしい」

 就任から10年。日々、夫婦として協力し、チームと家族を守る。現在、酒井家は選手寮内にある監督部屋と近所の自宅を行き来しながら生活している。小学生の男の子2人は学校が終わると寮へ“帰宅”。監督部屋で宿題をして夕食をとる。酒井監督と瑞穂コーチの仕事が終了する午後9時過ぎに一緒に自宅へ。そして、翌朝5時から朝練習が始まる。重要な大会の前には家族で監督部屋に泊まり込み、部員と24時間を共に過ごす。

 瑞穂コーチ「朝練習だけは子供の世話があるので、監督に任せています。大変なこともありますが、それ以上に楽しいことがたくさんある。選手が自己ベストを出した時はうれしいし、故障していた選手が復帰した時は一緒に喜んでいます」

 酒井監督と瑞穂さんは同じ福島県出身で同い年。大学1年から交際し、2003年に結婚した。

 酒井監督「10年前に一緒に福島から埼玉に来てくれて感謝しています」

 瑞穂コーチ「高校生の頃からお互い知っていました。思えば長い付き合いですよね。これからも一緒に頑張っていきたい」

 学生とともに生きる酒井監督&コーチ夫妻は、今も青春真っただ中にいる。(取材、構成・竹内 達朗)

 ◆花粉症の種類も把握

 瑞穂コーチに対し、選手たちは厚い信頼を寄せている。競歩チームのエース・池田は「レースから逆算した練習メニューを組み立ててくれるので、レースで実力が最大限に発揮できるようになった」と明かす。

 駅伝チームの相沢主将は「監督補佐」としての瑞穂コーチのサポートに感謝する。「生活面で選手ひとりひとり細かいところまで見てくれている。例えば誰がどの種類の花粉症で、どれだけの症状か把握し、それぞれ適切なアドバイスを受けています」と話す。学生トップランナーとなった相沢は酒井監督への感謝も忘れない。「ここまで成長できたのは酒井監督のお陰。僕たちが入学後、箱根駅伝で勝っていないので、最後は必ず優勝して恩返ししたい」と表情を引き締めて語った。

東洋大の酒井俊幸監督を「補佐」する妻の瑞穂コーチ。競歩も指導し、今や陸上部全体を支える存在だ(カメラ・橘田 あかり)
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