風間俊介の“道”倉本聰氏から受けた言葉とターニングポイント

 
 

 俳優の風間俊介(35)が、テレビ朝日系の通年ドラマ「やすらぎの刻(とき)~道」(月~金曜・後0時半)で好演を見せている。劇中劇「道」のメインキャストを務める。昨年10月から日本テレビ系「ZIP!」(月~金曜・前5時50分)の月曜メインパーソナリティーを務めるなど活躍の幅を広げる。ジャニーズきっての演技派として異色のキャリアを歩んできた。風間にとって今後、思い描く自身の“道”とは何か。「現状維持を重ねて、いつか、それが山になれば」と語った。(畑中 祐司)

 「俺は根来公平、13歳」―。風間が手にした台本に記されていた一言目のセリフ。実年齢よりも20歳以上も若い設定だ。

 「若い頃から演じるというお話は聞いていたけど、13歳…衝撃的ではありました。戦時中の時代を駆け抜けた長い物語。もちろん13歳を演じるということに構えたりはしたけど、続いていく物語のために大事なこと。ドキドキはしましたけど、楽しめましたね」

 丸坊主になり、他の子役の中に違和感なく溶け込む様子は、放送開始から反響を呼んだ。撮影開始から半年以上が経過した。撮影にもさらに力がこもる。

 「我々も完パケのDVDを渡されるけど、オンエアされたものを見ると、また格別の思いがありました」

 今作は、17年に放送された帯ドラマ「やすらぎの郷(さと)」の続編。風間らは、石坂浩二(77)演じる主人公の脚本家・菊村栄の執筆したシナリオ「道」の世界を作り上げる。自身の晩年を演じる橋爪功(77)、浅丘ルリ子(78)ら大先輩と現場をともにすることは、何より心待ちにしていた。

 「お話をいただいた時は『大先輩方の胸を借りて、勉強させていただきたい』という気持ちだったんですけど、台本をいただいて読んで、おやおや…と。大先輩方と全く絡まないぞ、って。面白いですよね。1つのドラマを撮ってるんですけど、2つのドラマがある。近くのスタジオで撮っている別作品みたいな感覚になったりもします」

 ドラマは、テレビ人だけが入居できる老人ホーム「やすらぎの郷」のその後が描かれる物語の中で、劇中劇「道」が並行して展開する。風間が登場するのは「道」の昭和パート。現場で石坂らと顔を合わせることは、ほとんどない。だが、それが逆に風間の芝居心をくすぐった。

 「先輩方が前に立ってくれているから僕らは自由奔放に、ということではない。これは一つの作品を我々は背負ったんだ、と。先輩方の胸を借りるというより、先輩方の物語と肩を並べなければいけない。期待していた環境とは違ったけど、こんなに託してもらえるんだと、覚悟みたいなものが必要でした。ある種お互い同格に流れていく。先輩方に恥じないものを作ろうと」

 放送は来年3月までの通年ドラマ。時代は令和へと移り変わる中で、戦時中を舞台にした演技に取り組む。昭和から平成にかけて名作を送り出してきた倉本聰氏(84)が脚本を手掛ける。改めて平成という時代を振り返るきっかけにもなった。

 「自分が演じた戦争の時代は『生きたい』と願った人たちがたくさんいた。でも、平成という戦争がない幸せな時間を過ごしたと同時に自殺率が高かったり『死にたい』と思う人が増えた。倉本さんは『僕個人の見解だけど、土に触れなくなったからじゃないか。何かが育ち、何かに命を与えてもらっているという感覚が薄れたからじゃないか』と。僕自身、東京で育って全然触ってきていなかった。それからの撮影は、土に触れる感覚で。この経験が今後いろんなものに芽生えていくのかなと思っています」

 俳優として、99~00年に2クール放送されたTBS系「3年B組金八先生」で本格的にデビューしてから、ジャニーズ事務所の中でも異色のキャリアをたどってきた。歌って踊るアイドルの道ではなく、風間が選んだのは俳優の道だ。

 「いろんな人に『ターニングポイントは金八先生』みたいなことを言われるけど、あれはスタート地点。その後も、実は『俺は芝居をやるんだ!』って決意表明みたいなものはしたことはなく、何ていうか流れ流れての今。『この仕事をあなたに託したい』って言ってくれる人と一緒に進んできたら今の形になりましたという感じなんです」

 自身が俳優として活動を重ねる一方で、かつてユニットを組んだ山下智久(34)を始め、同世代が次々とCDデビューしていった。

 「よく『周りがデビューしていく中、悔しい思いをして…』みたいなことを言われたりするけど、頑張れって普通に見ちゃってました。もしかしたらジャニーさんが、そこの競争心のなさを見ていて『おっ、これ違えぞ』って思ったのかもしれないんですけど。悔しさという言葉でいうと、めちゃくちゃうまい同世代の役者を見たとか、そっちの方がよっぽど、のたうち回っていました」

 自身が考えるターニングポイントには、11年7月期のフジテレビ系「それでも、生きてゆく」を挙げた。“金八”から、ほぼ10年ぶりといえる連ドラ出演だった。それまでにも深夜帯や単発など数々のドラマ、舞台出演を重ねてきた。

 「『それでも―』に出会っていなかったら今、何をやっていたか分からない。もちろん連続ドラマのレギュラーが久しぶりだったのもあるけど、それまでいろんな仕事があって、もちろん全部ムダじゃなかったけど、それがスーッて線になった瞬間だったかなと」

 翌年度下半期のNHK連続テレビ小説「純と愛」の脚本を手掛けた遊川和彦氏との出会い、出演のきっかけにもなった。

 「遊川さんから『この前のドラマ、すごくステキだったから会ってみたかった』というところからスタートして。今までやってきたことが芽吹きだしたみたいな感じがしたのも『それでも―』があったから」

 5日には、NHK BSプレミアムの主演ドラマ「おしい刑事」(日曜・後10時=全4回)もスタート。昨年10月からは「ZIP!」の月曜パーソナリティーを務めるなど、キャリアで最も多忙な日々を送る。

 「『ZIP!』も、とにかく楽しい。それをやりたかったというよりは、お話をいただいて、僕でいいんですか?っていう思いが強かった。世の中の出来事だったり、丁寧に取り上げる番組。あまり見てこなかったスポーツも。視野が広がって、どんどん自分の世界が広がっていくような感覚です」

 身をもって感じている日々の充実が、今後の俳優業の糧にもなる。その一方、右肩上がりの状況にも、今後については「現状維持」を掲げる。

 「目標を立てると行き先が決まっちゃう気がする。行き先が分からない中で歩いて、たまに、こんなところに着いた!って、自分もそれにワクワク、ドキドキできたらいい。現状維持っていうと変わらないみたいに思われるけど、例えば今年に10を頑張って、次の年に10を頑張れば20になる。それを繰り返したら、いつか山になる」

 理想を語ることも、抱くこともない。そのスタイルが、今の風間を作り上げてきた。その胸に、親交のある笑福亭鶴瓶(67)の言葉がある。

 「『お前は分かっているからアレだけど、高さじゃなく長さなんだ』と。自然と淘汰(とうた)されていく世界。続けていくってことが、周りの評価。僕が理想を描くのであれば、続けていくこと。芸能界って、誰かが一緒にやろうと言ってくれないと動かないもの。ずっと、その誰かが現れる自分で居続けようという感じです」

 長く続けていった先に、風間が見ているものは何なのか。

 「人生を全うした時に、もちろんZIP!が番組として続いていたらいいなと思うけど、そういう番組で『俳優』として紹介されたらいいなと。結局、人の心に残せるか残せないか。それの積み重ね。誰かが振り返るみたいな時に、あの作品があった、あの作品もあったってポンポン出てきたら、そんな幸せなことはない。だから大前提、これからも、やり続けることなんだなと」

 ◆風間 俊介(かざま・しゅんすけ)1983年6月17日、東京都生まれ。35歳。97年ジャニーズ事務所入所。99~2000年のTBS系「3年B組金八先生」で脚光を浴び、Jr.時代に山下智久、生田斗真、長谷川純とユニット「4TOPS」としても活動。リオパラリンピック(16年)、平昌パラリンピック(18年)ではNHK現地リポーターを務めた。俳優業のほか、ナレーションなど幅広い活動を展開。現在はフジテレビ系「林修のニッポンドリル」(水曜・後8時)に出演中。

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