5月1日から元号が令和に変わり、新時代が始まる。秀光中等教育学校で全国準優勝した仙台育英(宮城)の笹倉世凪(せな)と伊藤樹両投手(1年)は、共に150キロ超の直球を投げる意欲を示す。3年間すくすく成長し、“令和の怪物”と言われる最速163キロ右腕・大船渡(岩手)の佐々木朗希投手(3年)に続く。
140キロを超える直球を持ち、平成から令和に変わるタイミングで高校野球の門をたたいたスーパー1年生投手2人が、仙台育英でさらに腕を磨く。最速144キロ右腕の伊藤が「直球と変化球がうまくかみ合った、勝ち続ける投手になりたい」と意気込めば、最速147キロ左腕の笹倉は「堂々とした投球で、正面から向かっていくところをみせたい」と宣言した。
秀光中でも左右のエースとして、昨夏は全国大会準優勝に貢献した。仙台育英では既に4月29日の春季宮城県中部地区予選準々決勝・宮城工戦で、伊藤が先発、笹倉が2番手で登板し、公式戦デビューした。投げるたびに、これまでとの“違い”を感じているという。
「今までは、ほぼ直球中心で抑えられたけど、それでは難しい」(笹倉)、「打ち取った、と思った当たりも安打になる」(伊藤)と高校レベルを体感。それでも自らの武器を最大限に生かそうと努めている。笹倉は直球を軸としながら、「(硬球になり)縫い目に指がかかるようになって今までよりいい」と感じるスライダーなどの変化球を決め球に勝負。伊藤は高い制球力を駆使しながら、「緩急が必要と思った」とカーブなど緩い変化球の習得に取り組む。
ライバルに負けない。高知中から高知に進んだ最速150キロ右腕・森木大智(1年)には、昨夏の全国大会決勝で敗れている。高校で森木と当たるのは全国舞台。笹倉は「(投手)1人で勝つことは難しい。2人、3人とチームで戦って勝ちたい」と雪辱を誓った。
1年生離れした球速の2人だが、「(高校)3年で155キロ」(笹倉)、「3年夏には150キロ台」(伊藤)と150キロ超を一つの目標に掲げている。ともに達成すれば、東北勢悲願の日本一も近づいてくるはず。スケールの大きい2人が成長を続け、令和のスターとなる。(有吉 広紀)