昭和は米国、平成はカリブ諸国…令和のプロ野球助っ人トレンドは?

キューバ出身の巨人・ゲレーロ
キューバ出身の巨人・ゲレーロ

 天皇陛下ご即位おめでとうございます。スポーツ報知ウェブサイトで令和第1号の記者コラムを任されました。連休中にふさわしい軽い読み物ですので、最後までおつきあいください。

 さて、皆さんにとって昭和ってどんな時代でした? 平成じゃなくて、まず昭和。記者は昭和49年(1974年)生まれの44歳。巨人と阪急の子供向けファンクラブに入会し、西宮球場から自転車で20分程度の町に住み、甲子園球場にも足しげく通った野球少年にとって、昭和とは、3冠王のブーマー(阪急=オリックス→ダイエー)とバース(阪神)の時代でした。

 という訳で、当コラムでは、昭和と平成のプロ野球助っ人をサラッと振り返り、令和の新たな外国人像をサラッと占います。

 昭和助っ人、まだまだ思い出は尽きない。万歳三唱と“右ストレート”のクロマティ(巨人)、「ランスにゴン」こと最低打率の本塁打王・ランス(広島)、赤鬼・ホーナー(ヤクルト)にもシビレた。呂明賜(巨人)、ブライアント(中日→近鉄)の衝撃的な日本デビューもギリ昭和(63年=1988年)。ネコにルー(呂の現地語読み)と名づけるほど心酔した。

 野球と直接関係のない「応援曲」で、レオン(ロッテ→大洋→ヤクルト)とマルカーノ(阪急→ヤクルト)も思い出深い。レオンのテーマは「賛美歌445番」。キリスト教系の私立中学生だった記者は「♪御神とともにレ~オ~ン~」と歌っては先生に怒られたっけ。マルカーノは、まさかのベネズエラ国歌。ボクシング担当時代の2007年(平成19年)、WBA世界スーパーフェザー級王者だったエドゥイン・バレロの世界戦を取材した際、初めて同国国歌を耳にして「どっかで聞いたことあるな。あ、マルカーノ!」と…。日本人が「君が代」で応援されるようなもんでしょ。どんな気分だったんだろうか。

 さて、ここから平成。本塁打王に限っても、デストラーデ(西武)=キューバ=、ペタジーニ(ヤクルト→巨人→ソフトバンク)=ベネズエラ=、カブレラ(西武→オリックス→ソフトバンク)=同=、セギノール(オリックス→日本ハム→楽天→オリックス)=パナマ=、ラミレス(ヤクルト→巨人→DeNA)=ベネズエラ=、ブランコ(中日→DeNA→オリックス)=ドミニカ共和国=、バレンティン(ヤクルト)=オランダ領キュラソー=、アブレイユ(日本ハム)=キューバ=、メヒア(西武)=ベネズエラ=、デスパイネ(ロッテ→ソフトバンク)=キューバ=、ゲレーロ(中日→巨人)=同=、ソト(DeNA)=米領プエルトリコ=と、カリブ海諸国出身者の名が挙がる。

 特に21世紀(平成13年)以降は顕著で、両リーグで本塁打王に輝いた外国人のべ22人のうち、カリブ海諸国以外の出身者は、ローズ(近鉄→巨人→オリックス)=3回(20世紀にも1回)、ウッズ(横浜→中日)=3回、エルドレッド(広島)、レアード(日本ハム→ロッテ)と、いずれも米国人の、のべ8人。カリビアン全盛の時代だったと言える。

 前述の「昭和助っ人」も(恣意的なチョイスではあるが)呂(台湾)とマルカーノ(ベネズエラ)以外、すべて米国人。大きく時代が変遷した。

 「そりゃ、カネだよ、カネ」―。プロ野球助っ人の主役が米国人からカリビアンに移り変わった理由を、身も蓋もなく喝破するのは中日前監督の森繁和SDだ。1985年(昭和60年)に37万ドル(当時のレートで約7400万円)だったメジャーリーガーの平均年俸は、2015年(平成27年)には412万ドル(同約4億5000万円)に高騰した。米国人はメジャー指向が強い上、球団数のエクスパンション(拡張)もあり、人材難は顕著。平成の世では、ホーナーやクロマティのような現役バリバリのメジャーを獲得するのは夢物語になった。

 そこでNPB各球団が目をつけたのがカリブ海諸国だ。広島は1990年(平成2年)、ドミニカ共和国に「カープアカデミー」を設立。自前で同国人選手を育て、戦力として供給している。森SDも中日コーチに就任した2004年(平成16年)から毎年同国などに渡航して、現地の選手を獲得している。

 ここで、森SDが連れてきた我がアミーゴ(友達)たるキューバ人の近況をお知らせする。まずは巨人のアレックス・ゲレーロ。3月30、31日の広島戦(マツダ)で計6打点。「単純計算で400打点はいくんじゃないか?」とジョークで祝福したところ、いつもの「ヒャッハー!」という笑い声ですきっ歯を光らせた。そして急に真顔になり「400もいらない。100でいい。そしたらオフにはビッグ・マネーだ」。2年契約最終年の今季、ゲレ砲はやりそうだ。

 続いて中日から阪神に移籍したオネルキ・ガルシア。昨オフには帰国の途の名古屋駅で「僕にはドラゴンズブルーの血が流れている。何ならここで腕を切ってみようか」とタンカを切った。ところが、今年4月上旬の広島遠征中に「キミの血は何色だっけ?」と聞いてみたところ「見ての通りだ。黄色と黒さ」。腕を切らなくて良かったね。

 閑話休題。昭和は堀尾“ジミー”文人(巨人→阪急→大阪=阪神)をはじめプロ野球黎明期の日系人から連なる米国人助っ人の時代。平成はカリビアン助っ人。では令和の助っ人像は?

 かつて森SDは、こんなことを話していた。「2軍は半分くらいキューバ人にしてもいい。その中から1軍で通用するのは1人か2人か。それでもOKだ。選手として使えないヤツはルイス(通訳)みたいに裏方にでもすればいいんだからな」。漁業にたとえれば遠洋漁業から養殖へ。つまり、安い年俸でスカウトした海外の若い選手を、国内で時間をかけて大きく育てるというのだ。

 育成出身の、メルセデス、アダメス、マルティネス(以上巨人=ドミニカ共和国)、バティスタ、フランスア、メヒア(以上広島=同)、モイネロ(ソフトバンク=キューバ)、R・マルティネス(中日=同)らがフロントランナーとなるだろうか。

 また、独立リーグにはアフリカ・ブルキナファソ出身のサンフォ・ラシィナ(四国IL高知)、ミャンマー出身のゾーゾー・ウー(前四国IL徳島)らが在籍している。Jリーグには提携国(タイ、ベトナム、ミャンマーほか)の国籍保有者を外国籍選手に含めない制度があり、札幌MFチャナティップ=タイ=らが活躍。東南アジア諸国でJ人気が高まるという相乗効果も生んでいる。ファン層拡大などマーケティングの観点からも、野球の盛んではない国から選手を獲得することも、令和のトレンドになるのではないだろうか。(記者コラム・田中 昌宏)

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