【篠原信一の柔道一本】平成最後の全日本選手権を観戦…井上康生監督が挙げた平成のベストバウトは?

29日の全日本選手権で、井上康生監督と大会プログラムを手に天地無用の白熱の議論を交わした篠原氏
29日の全日本選手権で、井上康生監督と大会プログラムを手に天地無用の白熱の議論を交わした篠原氏

 「平成31年 全日本選手権大会」は29日に日本武道館で行われました。昭和の最後の大会で斉藤仁先生が優勝され、平成に入ってからは小川直也先輩、そして、あの偉大な篠原信一が、日本柔道史の輝かしい歴史を紡いできました!

 では、2020年東京五輪、今夏の東京世界選手権(8月25日~9月1日、日本武道館)を控えて、全日本男子の仕上がり具合はどうなのでしょうか? はい! 井上康生監督に話を聞いてきましたよ~!

 篠原「監督! 少しお話いいですか?」

 井上監督「いいですよ」

 篠原「2020東京五輪まであと1年ちょいですが、今年の東京世界選手権大会に向けて選手はどうですか?」

【世界選手権男子代表】

 ▼60キロ級=高藤直寿(パーク24)、永山竜樹(了徳寺学園職) 

 ▼66キロ級=丸山城志郎(ミキハウス)、阿部一二三(日体大4年)

 ▼73キロ級=大野将平(旭化成)

 ▼81キロ級=藤原崇太郎(日体大3年)

 ▼90キロ級=向翔一郎(ALSOK)

 ▼100キロ級=ウルフ・アロン(了徳寺学園職)

 ▼100キロ超級=原沢久喜(百五銀行) 

 ▼団体戦=90キロ超級・影浦心(日本中央競馬会)、90キロ級・村尾三四郎(東海大1年)、73キロ級・橋本壮市(パーク24)

 井上監督「そうですね、世界選手の選手に関しては、いい選手がそろっていますよ! 60キロ級は高藤と永山、66キロ級は丸山と阿部、73級大野で橋本もいます。この階級はこの1年でしっかりと見極めていきたいです。100キロ級はウルフと全体的にいい選手が揃っていますので!」

 篠原「夏の世界選手権の対策や指導方針は?」

 井上監督「東京五輪に向けてこの1年が大切になってくるので、この1年間のスケジューリングが大切になってきます」

 篠原「ふむふむ」

 井上監督「ルール的に4分という試合時間の中で指導3つを与えられると反則負けになるので、スピード感、技の出し方などの対応や対策をしっかりとしていきたいですね」

 篠原「技術的には?」

 井上監督「ルール的に変わってきてますから、立ち技と寝技の境界線が微妙になってきています。畳に両手をついていても、そこから返したりするとポイントを取られるんです! レスリング的になってきているので、その辺の対策、対応をしっかりとしていきたいです」

 篠原の心「さすが康生! 東京五輪に向けての対策をしっかりと考えているな!」

【平成の全日本決勝と言えば!】

 篠原「平成最後の全日本になりましたね! 平成の中で一番印象に残る大会は?」

 井上監督「やはり1998年の全日本ですよ!」

 篠原「そうなの? 誰が優勝したの?」

 井上監督「篠原先輩と私が決勝戦で戦った時の全日本ですよ!」(※注:篠原信一が初優勝。巻末の◆昭和~平成の全日本選手権・決勝戦◆参照)

 篠原「あっ! 覚えてますがな(汗)」

 井上監督「私が柔道人生で何もできなかった決勝戦です! 組んだ時に何もできずに終わりましたから!」

 篠原の満足度MAXの心の声「そんなことはないでしょ! ほかにも素晴らしい試合はあったでしょ」

 井上監督「本当に私の中での平成の全日本柔道選手権大会での一番の思い出です!」

 篠原の心の声「まぁな! 俺って強かったからな!(笑い)」

 井上監督「そこからです!打倒篠原でやってきましたから! 篠原先輩と練習すればするほど、篠原先輩は全てを見せてくれたので、対策はできました。また話せば話すほど勝てるチャンスはあると思いました!」

 篠原の心の声「んっ? なんか微妙…」

 篠原「この全日本柔道選手権大会の価値は?」

 井上監督「私が篠原先輩に勝ちたいと思い頑張ってきました大会でしたから。私が全日本柔道選手権大会で優勝して、今度はその下の選手が打倒井上となるからこそ、日本柔道の発展であったり、日本柔道の強みじゃないかと思います」

 篠原「それから数年。監督、指導者になって、康生的なリフレッシュはどうしてるの?」

 井上監督「コーチと食事したり飲んだりしながらコミニケーションを取ってることですよ!」

 篠原「……。ノミニュケーションですか…」

 篠原の心の声「アカン! 康生はオレを警戒している!」

 篠原「いや、そう言うことではなくて…。昔の様に今日いっちゃう?」

 素の康生「うふふふ(ニヤニヤ)」

 篠原「いや~ん、康生さんたら[ハート]」

 【篠原の全日本柔道選手権大会の総括」

 重量級はちょっと厳しかったかな! 全体を通して、物足りなさを感じましたね。今大会は一本勝ちの数は多いけど、ほとんどが延長戦。試合時間が4分と短くなったこともあるでしょうが、序盤からダイナミックに攻める選手が減ったように思いましたね~! 普段の稽古で打ち込みがしっかりできてない選手が多いのではと思いました。

 自ら動く→相手が動く→足技をかける→大技かけるの繰り返しが、試合だと思うのですが、できてない。根本的に地力をつけるためには、組まれてもこの流れをやっていれば勝てる、そういう努力が必要なのでは!

 若手に希望を託すのもいいけど、一番手、二番手は負けられないという覚悟が必要です。ただ、決勝に勝ち上がったウルフ・アロン選手と加藤博剛選手は素晴らしい試合を見せてくれました。ウルフ選手は本当に強かった! 優勝おめでとございます!

 篠原の心の声「オレの現役時代にウルフ、いなくてよかった!」

 それぐらい素晴らしい試合内容でした。

 ◆篠原信一(しのはら・しんいち)1973年1月23日、神戸市出身。46歳。中学1年で柔道を始め、育英高、天理大を経て旭化成に入社。98~00年まで全日本選手権3連覇。99年世界選手権で2階級(100キロ超級、無差別級)制覇。2000年シドニー五輪100キロ超級銀メダル。03年に引退。08年に男子日本代表監督に就任し、12年ロンドン五輪で金メダル0の責任を取る形で辞任。

 

 ◆昭和~平成の全日本選手権・決勝戦◆

 昭和63(1988)年 ○斉藤仁―正木嘉美●

 平成元(1989)年  ○小川直也―関根英之●

 平成2(1990)年  ○小川直也―古賀稔彦●

 平成3(1991)年  ○小川直也―金野潤●

 平成4(1992)年  ○小川直也―大漉賢司●

 平成5(1993)年  ○小川直也―金野潤●

 平成6(1994)年  ○金野潤―吉田秀彦●

 平成7(1995)年  ○小川直也―篠原信一●

 平成8(1996)年 ○小川直也―三谷浩一郎●

 平成9(1997)年  ○金野潤―村元辰寛●

 平成10(1998)年 ○篠原信一―井上康生●

 平成11(1999)年 ○篠原信一―棟田康幸●

 平成12(2000)年 ○篠原信一―井上康生●

 平成13(2001)年 ○井上康生―篠原信一●

 平成14(2002)年 ○井上康生―棟田康幸●

 平成15(2003)年 ○井上康生―鈴木桂司●

 平成16(2004)年 ○鈴木桂司―井上康生●

 平成17(2005)年 ○鈴木桂司―村元辰寛●

 平成18(2006)年 ○石井慧―鈴木桂司●

 平成19(2007)年 ○鈴木桂司―石井慧●

 平成20(2008)年 ○石井慧―鈴木桂司●

 平成21(2009)年 ○穴井隆将―棟田康幸●

 平成22(2010)年 ○高橋和彦―立山広喜●

 平成23(2011)年 ○鈴木桂司―穴井隆将●

 平成24(2012)年 ○加藤博剛―石井竜太●

 平成25(2013)年 ○穴井隆将―原沢久喜●

 平成26(2014)年○王子谷剛志―上川大樹●

 平成27(2015)年 ○原沢久喜―七戸龍●

 平成28(2016)年○王子谷剛志―上川大樹●

 平成29(2017)年○王子谷剛志―ウルフ アロン●

 平成30(2018)年○原沢久喜―王子谷剛志●

 平成31(2019)年○ウルフ アロン―加藤博剛●

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