昨シーズンから、メンタルコーチの東篤志先生にコーチング指導を受けています。17―18年シーズンは目標だった八王子W杯とアジア大会で優勝。自分自身でメンタルやピーキングをコントロールできた証拠で、一番大きく成長したなと感じています。
東先生には自分の話を聞いてもらうだけで、アドバイスなどはありません。「勝ったらその先の自分にどうプラスになるの?」「なんで活躍したい?」など“自分会議”と呼んでいる質問形式で会話が進んでいきます。自分の根本的なところに触れる機会が増え、懐疑する時間も多く取れるようになった。何が競技へのエネルギーになっているかが分かるようになり、日々の練習のモチベーションにもなっています。
昔は練習中に「すごい疲れているからしたくない」「後回しでいいか」と、自分に甘くなっちゃう部分もあったけど、言動もコントロールできるようになったと思います。調子の善しあしもありますが、今の状態を納得して進めていける感じです。東先生との会話の中で、五輪に関する質問はとても重要。五輪の舞台が未経験だからこそ言葉にしづらいところも多いですが、大切なことだからこそ、慎重に自問自答しながら考えられています。
東先生からは「そこを掘り下げていったら、まだ経験したことのない自分の力を知ることができるよ」と言われます。五輪開催まで500日を切り、ここから先はフィジカルだけでなく、メンタルや勝負どころでの覚悟などダイレクトに成績に響いてきます。自分をコントロールして、高いモチベーションを維持することの大切さを、さらに研ぎ澄ませていきたいです。
◆野口 啓代(のぐち・あきよ)1989年5月30日、茨城・龍ケ崎市生まれ。29歳。11歳の時にグアム島でフリークライミングを体験。2002年に小学6年で全日本ユース選手権制覇。08年ボルダリングW杯で日本女子初優勝。同W杯年間優勝は4回(09、10、14、15年)。18年ジャカルタ・アジア大会複合で優勝。165センチ。