新日復帰を決めた飯伏幸太、自由過ぎる「ゴールデン☆スター」は令和の時代にどこへ行く

鍛え抜かれた身体から繰り出される身体能力抜群のファイトが魅力の飯伏幸太
鍛え抜かれた身体から繰り出される身体能力抜群のファイトが魅力の飯伏幸太
昨年2月「スポーツ報知」のインタビューに応え「プロレス界の歴史を変えていきたい」と語った飯伏幸太
昨年2月「スポーツ報知」のインタビューに応え「プロレス界の歴史を変えていきたい」と語った飯伏幸太

 天性の自由奔放さで人気を呼んできたレスラーが、ついに日本最大のプロレス団体への復帰を決めた。

 20日の試合でIWGPインターコンチネンタル(IC)ヘビー級王座初防衛に成功。リング上で3年ぶりの新日本プロレス再入団を発表した「ゴールデン☆スター」飯伏幸太(36)が平成も残りわずかとなった28日、自身のツイッターを更新。「こうやって全国に今のプロレスを広められる喜び。裏切らないプロレス。体が滅びるまで使いきってくださいね。テレパシー」と、つぶやいた。

 最後の「テレパシー」にこそ、やや“不思議キャラ”の匂いが漂ったが、この「俺の気持ちを受け取ってくれ」と言わんばかりの熱い言葉にファンもすぐさま反応した。

 「新日に入団して、たくさん飯伏さんの試合が見られる幸せ、伝わってます」

 「死ぬまで飯伏くんのプロレスを見ていたいから。行ける&動ける限り生観戦したいと思います」

 「飯伏さんのプロレスを広めたい気持ち、本当に素晴らしい~」などなど、プ女子(プロレスファンの女性)中心のこちらも熱いコメントが殺到した。

 そう、「全国にプロレスを広める」「体が滅びるまで」という言葉こそ、このレスラーを語る時に欠かせないキーワードだ。

 昨年2月、「スポーツ報知」の女性向けページ「L」欄に登場してもらうため、都内で出演ミュージックビデオの撮影中だった飯伏のもとに押しかけ、70分間に渡って話を聞いた。リング上の“キレた”時の鬼の形相はどこへ。真っ白のベンツクーペで登場した「ゴールデン☆スター」は常に笑顔をたやさず穏やかに話し続けた。

 「小学校を卒業する頃には今、やっている技が全部できました。フェニックス・スプラッシュも小6で形としてはできた。やり始めてもう25年くらいですか。今や絶対、失敗しないですね」と「天才」と呼ばれる身体能力を誇ったかと思えば、インディー団体・DDTでデビューしたことについて、「体重が軽いから新日のプロレスラーにはなれないと思い、自分の中で挑戦もせずに挫折してます。挑戦するのを諦めたというより資格がないと思ってしまった」と、熱烈オファーを受け新日に再入団した現在から振り返ると、とても興味深い発言もしていた。

 飯伏と言えば、その自由奔放さこそが魅力。昨年1月に放送されたフジテレビ系「アウトデラックス」に「精神年齢14歳のプロレスラー」として出演。MCのマツコ・デラックスとナインティナイン・矢部浩之の2人を様々なエピソードで驚がくさせた。登場してソファに座るやいなや挨拶もそこそこにテーブルに置かれたポッキーに手を出し、マツコをあきれさせる場面もあった。

 DDT時代には路上プロレスの試合で、ショッピングモールのゴミ箱を破壊。無許可で会場に展示していた新車の上からケブラータを敢行し、スポンサーを激怒させた。対戦相手の顔をトイレの便器に突っ込んだり、車の上で全身に花火を浴びる「アブナイ」映像までネット上にはあふれている。

 さらにゲームのやり過ぎで腱鞘炎になり試合を欠場。外食では決まってチーズ系を頼む。満員電車が苦手で途中下車して試合に遅刻したなど、奔放すぎる逸話はとめどない。

 13年から新日とダブル所属となったが、16年に両団体を退団し、飯伏プロレス研究所を設立。フリーランスとして活動したが、“迷走”と呼ばれた期間が続き、“マスク”をかぶって試合。体の特徴から正体がバレバレという一幕まであった。

 そんな才能任せ、自由気ままな人気者が36歳にして、ついにレスラーとしての「終の棲み処」を定めた。22日の新日・後楽園ホール大会前に緊急会見すると、常に各会場を満員にする超人気団体への再入団を発表。「フル参戦を希望します。自分の最後の場所として、ここを選びました。死ぬまで。終わるまで」と“生涯・新日”を堂々と宣言した。

 1年前のインタビュー。米トップ団体・WWEからの誘いについて聞いた私に飯伏は「普通に契約をして欲しいと言われたけど、断りました。(すでに超人気の)中邑真輔さんがいるから、もう自分はいいやという感じ」と明かした。今年、DDT時代からの盟友で屈指の名タッグチーム「ゴールデン☆ラヴァーズ」を組んできたケニー・オメガ(35)が新日を退団して副社長に就任したAEW(オール・エリート・レスリング)入団という道も結局は選ばなかった。

 選択のすべては「プロレス界全体のプロモーションをしていきたい。プロレス界の歴史を変えていきたいと思っています」という思いから。芸能活動については大手芸能プロダクション・オスカープロモーションと契約しているのも、バラエティー番組で無防備な素顔をさらすのも、路上プロレスで全身に花火を浴びて話題となるのも、すべては「僕を入り口にしてプロレスに触れてくれればいい」という思いからなのだ。

 飯伏が「自分にとっての2人の神」と言う新日の「エース」棚橋弘至(42)は「飯伏がいれば、これからのプロレス界はずっと安泰」と言い、中邑は「飯伏は今までいなかった、ちょっと特別な存在」とつぶやいた。

 私自身、中邑の言葉を借りれば、その「ちょっと今まで見たことない」身体能力に圧倒され、会えば必ず、「僕には、もう後がないんです」とつぶやく切迫感にも引きつけられ、そのファイトをずっと追い続けてきた。

 だからこそ、御代代わりの今、日本最大の団体に再入団。ツイッターで「滾狂!!! これからもよろしくお願いいたします」と「滾(たぎ)る」と「狂」を合体させた“飯伏語”で燃える思いを表現した「ゴールデン☆スター」の姿勢を全面的に支持する。

 全国のプロレスファンの皆さん、令和という新時代、この男のプロレスこそが最先端、「イブシ」を中心に日本のプロレス界は展開していきます―。今、私は自信を持って、そう言いたいと思う。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆飯伏幸太(いぶし・こうた) 1982年5月21日、鹿児島・姶良(あいら)市生まれ。36歳。キックボクシングや新空手を修得し2004年7月、DDT東京・後楽園ホール大会でのKUDO戦でレスラーデビュー。09年からは新日本プロレスに参戦。ケニー・オメガとのタッグチーム「ゴールデン☆ラヴァーズ」で活躍。11年にはIWGPジュニアヘビー級王座を奪取。13年、DDTと新日のダブル所属を発表。15年にはAJスタイルズの持つIWGPヘビー級王座に挑戦するなどエース格に成長も16年2月、両団体からの退団を発表。個人事務所・飯伏プロレス研究所を設立。フリーランス選手として各団体のリングに立つ一方、路上プロレスなどの活動も。今年4月6日の新日・米ニューヨーク・マディソンスクエアガーデン大会で内藤哲也を下し、初めてIWGPインターコンチネンタル王座に就く。愛称は「ゴールデン☆スター」。181センチ、92キロ。

鍛え抜かれた身体から繰り出される身体能力抜群のファイトが魅力の飯伏幸太
昨年2月「スポーツ報知」のインタビューに応え「プロレス界の歴史を変えていきたい」と語った飯伏幸太
すべての写真を見る 2枚

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

格闘技

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請