社長も称賛「こういうセンスがテレ東を変えていく」…「きのう何食べた?」再生回数155万回超の秘密 

テレビ東京系ドラマ「きのう何食べた?」W主演の内野聖陽(左)と西島秀俊
テレビ東京系ドラマ「きのう何食べた?」W主演の内野聖陽(左)と西島秀俊
今度はドラマでヒット作を生んだテレビ東京
今度はドラマでヒット作を生んだテレビ東京

 久しぶりにテレビ東京トップの弾んだ声を聞いた。25日、東京・六本木の同局で行われた小孫茂社長(67)の定例会見。このところ、同局を牽引してきたワンコンセプトバラエティー「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」などの平均視聴率が、やや失速気味。前回の会見で「停滞感があります」と思わずこぼしていた同社長が、この4月クール最大の話題を呼んでいるドラマの名前を自ら口にし、笑顔を見せた。

 「大奥」などで知られるよしながふみさんの累計500万部突破の人気コミックを原作にした西島秀俊(48)と内野聖陽(50)のW主演ドラマ「きのう何食べた?」(金曜・深夜0時12分)が初回3・2%、第2話3・5%、第3話2・7%と、深夜帯ドラマとしては異例のヒット。北海道地区では6%超の回もあった人気ぶりとなっている(数字はビデオリサーチ調べ)。

 「私自身が個人的に放送前から大変期待していました。原作の段階で」と明かした小孫社長。07年の連載開始、現在、コミックスも15巻まで刊行中の原作に早くから注目していたことを明かした上で「主役2人の演技のうまさプラス原作の良さ。女性の視聴者が何の献立が出てくるか期待されているというか、参考にしているという話をいろいろな所で耳にします」と続けた。

 さらに「深夜のこの時間帯に3%台の好視聴率の上、ネット配信、見逃し配信でもすごい数字が出ています。初回の150万回の再生回数は過去のテレビ東京で例を見ない最高の数字となっています」と満足げに明かし、「あっ、こういう番組がテレビ東京に期待されているんだなという強い勇気をいただいた。あと(放送は)9回ですが、これからも西島さん、内野さんのなんともうまい演技に浸れると思うと、非常にうれしいです」と熱弁を振るった。

 社長の明かした初回の見逃し配信の再生回数は実は155万超。これまでの同局の記録「孤独のグルメ 大晦日SP」(18年12月31日放送)の95万回を大きく上回る史上最高記録となった。

 2LDKのマンションで月2万5000円の食費で暮らす弁護士のシロさんこと筧史郎(西島)と美容師のケンジこと矢吹賢二(内野)というアラフォーのゲイ・カップルの日常を描く原作コミックは、我が家でも大人気。コミックス1巻の発売時から家族で回し読み。まだ同性愛者であることを職場でカミングアウトしていないシロさんと、まさに中身は“乙女”そのもののケンジの悩み多き恋愛模様。さらにシロさんが毎回作るいかにもおいしそうな料理の数々をあれやこれやと話題にしてきた。

 昨年のドラマ化決定発表、4か月前の西島と内野というキャスト決定も、そのたびに大騒ぎ。特にケンジ役の内野の“なりきりぶり”には「ケンジそのもの!」と完全に圧倒され、リアルタイム視聴してきた。それだけに、第1話放送直後に「きのう何食べた?」がツイッターの世界トレンド1位になったというニュースにも「当然でしょう」と、納得だった。

 お世辞でなく「原作段階から期待していた」という小孫社長の言葉に「先見の明」を感じたから、思わず聞いてみた。

 「人気の原作だけに各局争奪戦となったと思うが、どの段階から映像化プランを進めていたのか」―

 マイクを持った長田隆編成局長は「人気原作でしたので様々なところから手が挙がったと聞いています。我々も獲得に向けて、それなりの期間をかけて、原作をお預かりして映像化に至ったのは事実です。ただ、詳細につきましては、出演者などの都合もあり、この場では割愛しますが、人気作で激しい争奪戦があった上で放送に至ったということです。非常に話題になっていますが、あと9話、これからもしっかり盛り上げるべくやっていきたいと思います」と映像権入手までの激しい戦いを明かした。

 私の重ねて聞いた「実際、制作に至るまでどのくらいの期間がかかったのか」という質問こそ「そうした詳細も…」と、はぐらかされてしまったが、今や引っ張りだこの西島の出演決定まで2年間かかったことは、すでに明かされている。

 さらに同じ原作の大ファンということで勝手に親近感を覚えた小孫社長にも「原作の段階から、どのあたりに魅力を感じていたのか」と聞いてみた。

 この質問に「私がどう感じたかは視聴者の参考にはなりませんが」と前置きした上で「単なるおじさんとして『これは当たるな』と瞬間的に思いました。随分、前でした。でも、私の方から『これ面白いから(ドラマ化を)やれ』と現場に下ろしたことはありません」と断言。「現場の感覚で、組織のセンスで預からせていただいたもの。こういうセンスがテレビ東京を支えていくんだなと思っています」と同社長は続けた。

 さらに「あっ、これを言わないと」と言うと、「番組内で使用しているマグカップが、あっという間に品切れ状態になってしまいまして…。大変、ご迷惑をおかけしております。一生懸命、追加製造中で予約販売を続けていますが、かなり大量に追加で皆さんの手元に届くようにします」と、いきなり“トップセールス”を始める一幕もあった。

 25日には、シロさんの作る料理のレシピを紹介する「公式ガイド&レシピ きのう何食べた?~シロさんの簡単レシピ~」が発売されるフィーバーぶり。「小松菜と厚揚げの煮びたし」「ホウレン草入りのラザニヤ」「鮭と卵とキュウリのおすし」といった私も見ていて、思わずゴクリとノドが鳴った料理のレシピが原作のエピソードとともに紹介されている。

 「池の水-」などでの一時の勢いも沈静化。どこか元気のなかったテレ東を一気に元気にした「きのう何食べた?」のスマッシュヒット。そう、独特の「センス」で、この春一番の話題作をゲットしたのがテレ東。このテレビ局は、本当にしぶとくて面白い。(記者コラム・中村 健吾)

テレビ東京系ドラマ「きのう何食べた?」W主演の内野聖陽(左)と西島秀俊
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