テレ朝幹部も絶賛の新日MSG大会の成功…それでも遠い地上波「ワールドプロレスリング」のゴールデン進出

新日本プロレス再入団を発表した「ゴールデン☆スター」飯伏幸太
新日本プロレス再入団を発表した「ゴールデン☆スター」飯伏幸太
米マット界も熱視線を送る新日本プロレス最大のスター「レインメーカー」ことオカダ・カズチカ
米マット界も熱視線を送る新日本プロレス最大のスター「レインメーカー」ことオカダ・カズチカ

 今年最大のプロレスイベントだったと誰もが認める新日本プロレスの米国マジソン・スクエア・ガーデン大会が6日(日本時間7日)、世界最大の格闘技の殿堂に1万6534人の大観衆を集めて行われた。

 メインイベントのIWGPヘビー級選手権では、挑戦者のオカダ・カズチカ(31)が王者・ジェイ・ホワイト(26)を必殺のレインメーカーで下し、昨年6月以来、約10か月ぶり5度目の同王座奪還を果たした。

 第8試合のIWGPインターコンチネンタル選手権でも飯伏幸太(36)が王者・内藤哲也(36)を必殺のカミゴェで撃破。同王座初戴冠を果たし、ベルトを抱きかかえて涙を流した。

 私も現地取材こそかなわなかったが、新日と提携しているテレビ朝日系「ワールドプロレスリング」(土曜・深夜2時)で13日放送のオカダ―ジェイ戦、20日放送の飯伏―内藤戦の録画放送を視聴。あくまでダイジェスト放送も、その熱い戦いを心から堪能した。

 日本プロレス界にとって、エポックになりそうなMSG大会の成功。23日、東京・六本木のテレビ朝日で行われた角南源五社長(62)の定例会見でも、総合ビジネス担当の武田徹専務が「当日の会場は大観衆であふれ、現地でも注目を集めました」と報告する一幕があった。

 同局は動画配信サービス「新日本プロレスワールド」でもMSG大会を世界に向け、生配信。武田専務は「同時視聴者数は5万人を数えました」と続けた。

 誇らしげな同専務の表情を見て、私の胸の奥の“プロレス愛”が震えたから、前のめり気味に聞いた。「この数字は期待以上の数字と言えるのか?」―

 「観客動員については事前にチケットが即完売の勢いで売れましたので、予想通りです。5万人という数字は我々の予想していた以上の好成績だったと思います」と冷静に答えた同専務に、さらに聞いてみた。「MSG大会を2週に分けて放送した『ワールドプロレスリング』は13日が1・0%、20日が1・4%と視聴率は伸び悩んだ。地上波と配信の、この数字の乖離(かいり)を、どう捉えているのか?」

 これに対し、同専務は「その数字を最初に聞くと、ものすごく低いように感じますけど、放送時間帯が相当深夜なので、それを考慮すれば十分な数字かなと思います。コアなファンの方が見て下さってますので、1・4%の濃度は相当、濃いのではないかと思います」と答えた(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 そう、この「濃度」という言葉こそキーワード。この記事を読んで下さっているプロレスファンの皆さんも金曜夜8時の、あの興奮を覚えているはずだ。

 テレ朝は前身のNET時代の1969年、プロレス中継を開始。2013年4月には放送40周年を祝った老舗中の老舗だ。70年代にはアントニオ猪木、80年代には初代タイガーマスク(佐山聡)というドル箱を擁し、視聴率20%超えが当たり前。実況アナウンサーから古舘伊知郎氏というスターまで生み出した。

 しかし、87年3月に生中継を終了。93年4月からは毎週土曜の午前2時からの30分間、それも録画放送という形に落ち着いている。同番組の平均視聴率は武田専務が指摘した通り、午前2時という放送時間から1~2%で推移しているのが現実だ。

 それでも「ゴールデン帯(午後7時から10時)での生中継が見たい」―。そんな一ファンとしての思いから、昨年3月の定例会見で、私は半年に1回出席の“テレ朝のドン”早河洋会長兼CEO(最高経営責任者、75)に聞いてしまった。

 「『新日本プロレスワールド』の会員数激増が証明するように新日人気は本物です。土曜深夜の『ワールドプロレスリング』の放送時間繰り上げの考えはありませんか?」

 どんな質問にも常に真摯に答えてくれるテレ朝最大の実力者は「伸びている理由の一つはアメリカでの展開です。アメリカ進出が奏功しているとは思う」。そう冷静に分析した上で「新日の(東京ドームでの)正月興行は3万人以上集めるほど、コアなファンがいる。そういう人たちが確認視聴したりするし、今、(オカダら)それなりのスターも生まれている。そういう人への関心もあると思う。力道山、ルー・テーズの頃(の人気)までは行っていないが、コアなファンに支えられているだけに今後、新たな展開も考えられると思います」と、ほほ笑みながら答えてくれた。

 1年前の早河会長の「新たな展開」という言葉は今も心に根強く残っている。当時も「おっ、これはさらなる人気上昇さえあれば、ゴールデン復活もあるかも」―。そんな思いがこみ上げたから、すぐに速報記事を書いて、報知webにアップした。すると、多くのプロレスファンからの熱いコメントが殺到した。

 「放送時間の早急な繰り上げは臨めないだろうけど、まずは(現在の)30分間の放送枠を1時間にして欲しい。そうしたら、1試合堪能できる」

 「つまらないバラエティー番組を放送するより、今の新日の方が視聴率が取れると思う」

 「今の放送を録画して見ているけど、生放送でハラハラしながら見られたら最高」

 「生中継の放送終了ぎりぎりにオカダの(必殺技)レインメーカーが決まったりしたら、胸が熱くなり過ぎる」

 届いたのはファンのゴールデン復活待望論の数々。深夜2時とは言え、1~2%で推移する平均視聴率の現状からは地上波で即ゴールデンというのは夢物語かも知れない。しかし、今の新日には“奇跡”を起こしかねない勢いがある。

 10か月ぶりに最高峰のベルトを巻いた「レインメーカー」オカダに、Tシャツ始めグッズがバカ売れの超人気ユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」率いる「制御不能のカリスマ」内藤、3年ぶりに新日再入団を果たした「ゴールデン☆スター」飯伏、現在は故障のため欠場中だが、プ女子(プロレスファンの女性)人気NO1の「100年に1人の逸材」棚橋弘至(42)も健在だ。

 紙面ではプロレスの記事を掲載していない「スポーツ報知」だが、自社webでは新日中心にビッグマッチを取り上げている。90年代、WAR時代の天龍源一郎の新日殴り込み、高田延彦のUインター、前田日明のリングスなど中心に取材していた私も“昔取った杵柄(きねづか)”と言ったらいいのか、今、新日の試合中心に取材している。

 今の新日リングは本当に熱い。日本の団体で唯一、東京・後楽園ホールに両国国技館、そして東京ドームと常に満員札止めが続く人気ぶりを日々、肌で感じていただけにMSG大会の大成功で、その世界に通用するポテンシャルが証明されたことが本当にうれしい。

 後はテレビ朝日にこの場を借りてお願いしたい。いきなりゴールデン放送とは言わない。せめて、「ワールドプロレスリング」を午前0時放送開始の1時間枠にしてみませんか。その先に完全復活を遂げた新日人気の今があり、東京五輪後のスポーツ放送の未来があると思うから。(記者コラム・中村 健吾)

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