東京五輪へ…バドミントン男子複の園田啓悟、嘉村健士組にインタビュー 中3初タッグで高校生撃破

3月のドイツオープン・男子ダブルスで奮闘する嘉村(左)と園田組(AP)
3月のドイツオープン・男子ダブルスで奮闘する嘉村(左)と園田組(AP)

 20年東京五輪でメダル量産が期待されるバドミントンは、29日から出場権争いのポイントレースが始まる。男子ダブルスで18年世界選手権銀メダルの園田啓悟(29)、嘉村健士(29)組=トナミ運輸=がインタビューに応じ、初の五輪切符と表彰台への思いを明かした。五輪代表枠は最大2の狭き門。激しい国内争いを制し、世界ランク1位の桃田賢斗(24)=NTT東日本=が引っ張るシングルスに負けじと注目をさらう。(取材・構成=細野 友司)

 世界選手権銀メダリスト。五輪の頂点に手が届く位置で迎えるポイントレースでも、2人に気負いはない。30歳で迎える集大成の初五輪で完全燃焼するため、静かに闘志を燃やしている。

 嘉村「前回のポイントレースとは立場が違う。日本の1番手としてツアーを回れて、(18年)全日本総合も優勝できて自信になっています。ただ、結果は出し続けないと認められない。常に上位を目指さないと。この結果で満足してしまったら先は目指せないし、もっともっとレベルアップしないといけない」

 リオ五輪のポイントレースでは早川賢一、遠藤大由組(7位)に次ぐ日本勢2番手の16位だった。全体の出場枠は16ペアだが、同一国・地域から2ペアが出場するには、ともに8位以内に入る必要があり、園田、嘉村組は切符を取れなかった。

 園田「リオの時はレース中に結果が出なくて、2人で本当に悔しい思いもしました。その悔しさを東京五輪にぶつける気持ちでやっていく。東京五輪は、レースが始まる前からしっかりやろう、という気持ちで臨んでいます」

 今回も出場争いの激しさは変わらない。国別の出場枠は最大2。園田、嘉村組は日本勢最高の世界ランク3位だが、最大のライバルが同9位の遠藤、渡辺勇大組だ。リオ五輪を経験し技術と戦術の引き出しにたけた遠藤と、フィジカル面に優れ、東野有紗との混合ダブルスでも世界ランク3位と躍進する渡辺勇大が融合。18年ワールドツアーファイナルで準優勝するなど成長を遂げている。18年世界選手権8強の井上拓斗、金子祐樹組、トナミ運輸で後輩の保木卓朗、小林優吾組も上位をうかがう。

 嘉村「遠藤さんに関しては、五輪も知っているしポイントレースの戦い方も分かっている。まずは切磋琢磨(せっさたくま)していきたいです。年下の井上、金子組やホキコバペアには負けられないですね。今、自分たちが結果を残して、1番手でいないといけないと思う」

 園田「実力は変わらないと思う。自分たちがトップの立場で引っ張っていけたら、皆もついてくる。結果を残して先頭に立っていけたらと思います」

 世界選手権で初めて表彰台に立ったのは、銅メダルに輝いた17年大会。ともに27歳の夏だった。遅咲きのペアは、身体能力や反射神経を生かしたスピード感あふれる低空戦が武器。連係に円熟味が増し、尻上がりに好結果を出している。

 嘉村「前衛での対処という意味では、すごく見えるようになっています。昔は全部が全部、焦って振ってアウトになっていた。今は打つ場所を考えて打てるようになりました」

 園田「自分は後衛のタイプ。もちろん一発で決められたらいいけど、健士にどうやってチャンスボールを決めてもらうか、というイメージを描いて、我慢して打つことを意識しています」

 2人が出会ったのは中学3年の夏。後に進学する八代東高(熊本)の練習に参加し、初めてダブルスを組んだ。面白いように息が合い、年上の高校生相手にも勝てた。楽しくて仕方がなかった。

 園田「もともとはシングルスをやっていたけど、低い展開でダブルスができて、すごく面白いなと思いました。健士は前衛で切り込んでいってくれるところがすごいな、と。コンビネーションで(コート上を)ぐるぐる回るのも面白かったです」

 嘉村「なんて組みやすいんだろう、というのが最初の感想でした。組んですぐは普通(ポジションが)重なったりするけど、すぐにダブルスの形ができていて。性格的に真逆なのも良かったのかもしれないですね。自分は言いたいことをガンガン言うけど、啓悟はあまり言わない。思い切り好きなことをやれる安心感みたいなのもあります」

 代表活動は年間約250日もあり、遠征先での宿舎は基本的に同部屋。家族より長い時間を共有する2人が、行き着いた境地とは―。

 嘉村「付き合いが長すぎて、もう話すことはないです(笑い)。部屋でお互い好きなことをやっていても気にならないし、そこが一番いいかも。何かの時の対処法もありますし。例えば、隣でいびきをかかれたら寝られないじゃないですか。啓悟の場合、いびきの止め方も分かるので。僕が『ハーッ!』って叫ぶ。そうすると止まります」

 園田「…。やられているのは分からないですね」

 昨季男子シングルスでは、桃田がともに日本男子初の世界選手権制覇と世界ランク1位を達成。2人も刺激を受けている。

 園田「男子ダブルスではまだ取れていないので、(男子複)史上初というのを自分たちで成し得ていきたいですね。やっぱり2人で」

 嘉村「(初の)響きはいい。桃田はすごく上の方で結果を残すから『初』のインパクトも大きくなりますよね。自分たちはまだ力が足りない」

 今季の大目標は、最高峰の格付けでポイントレースでも重要となる世界選手権(8月19~25日、スイス・バーゼル)。17年大会銅メダル、18年大会銀メダル。表彰台を1段ずつステップアップしてきた2人が目指す場所は、あと1つだけだ。

 園田「前々回の銅メダルは喜んだ部分もあったけど、前回の銀メダルは正直めちゃくちゃ悔しかった。レース中の世界選手権になるので、今回はもう一回、金メダルを目指す気持ちでしっかりと取り組みたいです」

 嘉村「意味のある練習もできているし、考えながらやれていると思います。小さい部分で練習に対する質もしっかり意識して、あとは自分たちらしいプレーをするだけです」

 ◆バドミントンの東京五輪への道 19年4月29日から20年4月26日までの国際大会で得たポイントによるランキングで、出場枠が与えられる。ダブルスの出場チーム数は16。国別の最大出場枠は2だが、同一国・地域から2組が出場するには、ランキング上位8位以内に2組が入っている必要がある。シングルスの出場人数は38で、同一国・地域から2人が出るためには、ともにランキング16位以内に入ることが必要。

 ◆バドミントンの世界ランキング 92年バルセロナ五輪での正式競技採用に向け、80年代後半に創設された。大会の格付けと成績に応じてポイントを獲得し、過去52週間に出場した上位10大会の合計点で争う。格付けは優勝時に1万3000点を獲得できる五輪、世界選手権が筆頭。2番目にワールドツアーファイナルや、全英オープンなど「スーパー1000」の各大会。3番目にジャパンオープンを含む「スーパー750」の各大会が位置づけられている。

 ◆トップ10に4組…女子も熱い!

 男子同様に激しい切符争いとなるのが女子ダブルスだ。16年リオ五輪金メダルで世界ランク3位の高橋礼華(29)、松友美佐紀(27)組=日本ユニシス=、世界1位の福島由紀(25)、広田彩花(24)組=アメリカンベイプ岐阜=、18年世界選手権金メダルで世界2位の永原和可那(23)、松本麻佑(23)組=北都銀行=が三つどもえで2枠を争う。永原は「五輪レースが過酷だからこそ、より出たい思いもある。思い切りやりたい」と腕ぶした。

 最新の世界ランクでは6位の米元小春(28)、田中志穂(26)組=北都銀行=を含めてトップ10に4組が入る。ツアーを勝ち上がれば日本勢対決が日常茶飯事。ただ、日本勢ばかりに気を取られると思わぬ落とし穴になる。松本は「日本人対決が鍵になると思っていたけど、海外の選手にも研究されて勝ちづらくなっている。もっと食らいついていかないといけない」と気を引き締めた。

 世界選手権やワールドツアーファイナルなど、獲得ポイントの高い大会で上位に居続けることが必要なハイレベルな争い。厳しい戦いを勝ち抜けば、本大会での頂点もおのずと近づく。

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