伊調馨が貫いているもの 競技から離れた2年間で再確認したレスリング愛

真剣な表情で練習をする伊調馨
真剣な表情で練習をする伊調馨

 人生を懸けて夢中になれるものとの出会いは幸せだ。そこに注ぐ愛情は、一流アスリートほど深い。五輪4連覇の伊調馨にとっての「平成」は「本当にレスリングにささげた」時代だった。

 求道者と呼ばれることが多い伊調は、3月に現役引退を表明した米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手が口にした野球への「愛」に共感した。引退会見で「貫いたこと」を問われたイチロー氏が「野球を愛したこと」と答えた場面が最も印象に残ったそうだ。「おこがましいけど『気持ちが分かるな』って」。2年間競技から離れたことで、レスリングへの愛を再確認した。伊調にとって必要な時間だった。

 23日に開幕するアジア選手権(中国・西安)で、リオデジャネイロ五輪以来2年8か月ぶりに国際大会に復帰する。「不安はないと言ったら、うそ。試したいこともあるけど、手堅くいきたい部分もある」というのが本音。これまで通り自分のレスリングを突き詰めながらも、勝ちを取りにいきたい。東京五輪を見据えた時に、大きな意味を持つ一戦であることを理解している。

 1秒でも長くレスリングをしていたい。「結んでいる時間がもったいない」と復帰後に髪の毛をばっさりと切った34歳は、1月に左足首、3月に右足首を痛めた。「ベテランって言われる年齢だけど練習量の調整が下手くそ。やっぱりそこが難しい。紙一重の練習をしないと勝てない世界だから」。ジレンマとも闘う日々だ。

 アジア選手権では57キロ級世界選手権女王で21歳の栄寧寧(中国)との対決に注目が集まる。日本レスリング協会の西口茂樹強化本部長は「格が違う。伊調の方が数段上」と背中を押した。愛してやまないレスリングがまたできる幸せを感じながら、平成最後の試合のマットに立つ。

 ◆高木 恵(たかぎ・めぐみ)北海道士別市出身。1998年報知新聞社入社。整理部、ゴルフ担当を経て、2015年から五輪競技を担当。16年リオ五輪、18年平昌五輪を取材。

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