【川崎】3連覇狙う王者の“心臓”を担当記者が読み解く

前半、鳥栖・クエンカとボールを競り合う川崎・大島(左)
前半、鳥栖・クエンカとボールを競り合う川崎・大島(左)

◆明治安田生命J1リーグ第7節 鳥栖0―1川崎(14日・駅スタ)

 川崎は、敵地で鳥栖に1―0で完封勝利を飾った。左太もも負傷から約1か月ぶりに復帰したMF大島僚太(26)が正確な技術で攻撃をけん引。後半6分にはFW知念慶(24)の3試合連続ゴールを演出した。3連覇を狙う王者の“心臓”を、田中雄己記者が「読み解く」。F東京はMF久保建英(17)が得点に絡み、3―1で鹿島を下した。

 芯が通った。ピッチには、中村も谷口もけがでいない。その中で、大島の復帰が、波に乗り切れない王者に復活の兆しを与えていたように見えた。

 3月10日の横浜M戦。大島はウォーミングアップ中に左太ももを負傷した。約1か月ぶりのピッチ。全体練習に合流したのも2日前。「実戦から遠ざかって、誰がどこにいるか分からない」。不安も漏らしていたが、いざ開始の笛が鳴ると小気味よいテンポで縦パスを供給。後半6分にはふわりと浮かせて、知念の決勝弾をお膳立てした。知念は「僚太君がいると、縦パスが入るし、攻撃のバリエーションが増える」と言った。ピッチ上空からふかんしているかのごとく、相手が嫌がるポイントを突き続けた。

 ピッチに立てば誰しもうなるプレーを見せる一方、どうしてもけがのイメージがつきまとう。プロ2年目の12年から主力に定着したが、全試合に出場したことはない。18年のロシアW杯では代表に選出も、開幕前に腰を打撲し、出番なしに終わった。

 細心の注意を払っても繰り返してしまう。ある日、そのやりきれない思いを独特の表現で明かしてくれたことがある。「筋力が脳に追いついていない。脳に筋力が足りていない」。頭で描くイメージに、体が反応しきれないという。その誤差を縮めようと筋力を蓄えたが、描く“絵”が大きすぎるがゆえか、今季も一時、戦列を離れてしまった。

 それでも、だ。ひとたび復帰すれば、彼のみが見える景色で、相手を翻弄する。この日も「けがなく終わってよかった。徐々に(感覚を)取り戻していきたい」と、まだイメージ通りではなく、さながら試運転といった様子で言った。

 中村「日本で一番うまい」

 小林「試合の映像を見返すと、恐ろしいほどうまい」

 家長「一番敵にしたくない」

 リーグMVPトリオがそろって称賛する26歳。それでも、いまだ見えない底力。背番号10が持つ壮大なイメージを100%具現化できるようになったら―。3連覇だけでなく、日本サッカーをさらなる次元に昇華させるのではないか。そんな想像をかき立たせてくれる唯一無二の選手だ。(川崎担当・田中 雄己)

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