「nWo」創始者エリック・ビショフ氏が明かす新日本プロレスとの秘話〈終〉…これからのプロレス 

サニー・オノオ氏、マサ斎藤さん夫人の斎藤倫子さんとエリック・ビショフ氏(右)
サニー・オノオ氏、マサ斎藤さん夫人の斎藤倫子さんとエリック・ビショフ氏(右)

 1990年代に米国で「WWE」と並ぶプロレス団体「WCW」の現場責任者で副社長だったエリック・ビショフ氏(63)がこのほど、来日しスポーツ報知の取材に応じた。ビショフ氏は、90年代に新日本プロレスと提携し96年に日米のマット界を股にかけたユニット「nWo」で一大旋風を起こした。新日本との提携では、当時の渉外担当で昨年7月14日に75歳で亡くなったマサ斎藤さんと協力し、新日本のドームツアーの成功にも尽力した。「Web報知」では、ビショフ氏に当時の秘話とこれからのプロレス界の進む道を連載します。最終回は、これからのプロレス界。

 1990年代にWCWのトップとして日米のプロレス界に絶大な影響力を発揮したビショフ氏。現在は、自ら映像製作などの会社「エリック・ビショフエンターテインメント」を設立し、精力的に活動している。これからのプロレス界で生き残るポイントを明かした。

 「当然のことだが、流れにうまくのった団体が勝つ。ただ、一方で流れに乗れない団体も数多く出てくるだろう。だから、これからは、今まで以上にインディーがどんどん増えていく」

 流れとは、何を指すのか。

 「かつては、米国でも日本でもテレビが絶対的な力だった。テレビ中継を取り、視聴率を稼がなければ上には行けなかった。ただ、今の時代は、違う。例えば、ネットテレビがある。だから、テレビがなくても十分やっていける。インターネット、ウェブでの映像配信を工夫し乗っかっていけば、やっていけるだろう」

 ビショフ氏が指摘したウェブ展開は、やはり、世界最大の団体「WWE」が先行している。

 「今、WWEの戦略は、2つある。まずは、世界85か国で放送されているテレビでのネットワーク。そして、もうひとつが、ウエブでの映像配信だ。1か月9ドル99セントの料金でWWEのすべてのショーが見られるシステムだ。彼らは、すでに5年後はテレビを必要としない時代が来ると思っている。現在、登録者は200万人で1か月で2億ドルの収益を上げている」

 動画配信は、新日本プロレスも展開し成功を収めている。巨大団体は、新たな映像展開を実施しているが、一方、インディーが成功するポイントはどこにあるのだろうか。

 「それは、まずは財力、そして、才能あるタレント、最後はユニークなビジョン。この3つが必要になる。過去に誰かがやった二番煎じは通用しない」

 今年、米国では、新たな勢力の台頭が注目されている。5月25日に旗揚げ戦を行う「ALL ELITE WRESTLING(AEW)」だ。新日本の外国人トップだったケニー・オメガが副社長に就任し、クリス・ジェリコ、Codyらが参戦する。社長のトニー・カーン氏の父シャヒド・カーン氏は、NFLの「ジャクソンビル・ジャガーズ」を買収するなど数々のプロスポーツチームのオーナーで総資産は、87億ドルを保有していると伝えられる世界的大富豪だ。こうした背景からビショフ氏は、AEWの将来をこう予想する。

 「AEWの未来は、とても明るい。まず、10万ドルを超える資本金がある。そして、ケニー・オメガ、クリス・ジェリコら才能に溢れ豊富なタレントがいる。ケニーオメガ、ローズ、そして、社長のトニー・カーンは、父が様々なスポーツチームのオーナーを務めている経験からスポーツに対するアイデアがある。そういう意味では、ユニークなビジョンもある。今、WWEはいつもお決まりな展開でファンは、何をやっても飽きてきている。AEWに参加する選手は、日本のシリアスなスタイルも、米国のスタイルも両方できる選手が集まった。だから、ショーマンスタイルだけじゃないシリアスなレスリングも披露するだろう」

 長く続くWWEの一強時代にAEWが食い込んでいくことを期待するビショフ氏。こうした世界の潮流に新日本プロレスは、どんな成長を続けていけるのだろうか。4月6日に初めてニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)に進出した。

 「新日本にとって、MSGはかなりのチャレンジになったと思う。ニューヨークという場所は、いいものしか残らない。しかもMSGは敷居が高く成功するのは、生半可なことではできない。そういう意味で素晴らしいチャレンジになった。今回をきっかけに、米国市場で成功するためには、地道に続けていくことが重要だ」

 最後にビショフ氏自身のプロレスビジネスへ復帰する可能性を聞いた。

 「今、私は、自分のプロダクション会社を持っている。15年間、この会社のオーナーで今、映画を作っている。ただ、私の信念はネバー・セイ・ネバー。あり得ないということを絶対に言うな、という言葉です。可能性は低くない。誰か雇ってくれる人はいないか(笑)」

(取材・構成 福留 崇広)終わり

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