【巨人】杉内コーチ、どん底経験も生かした指導「全員1軍で活躍へ」

自身の経験を生かし、若手の指導にあたる杉内コーチ
自身の経験を生かし、若手の指導にあたる杉内コーチ

 昨季限りで現役を引退した杉内俊哉ファーム投手コーチ(38)のコーチングに対する熱い思いを紹介する。自身のリハビリ生活を踏まえ、苦しさを経験したからこそできる選手への接し方、目指すコーチ像とともに「育成を含め全員を1軍で活躍できるよう育てていきたい」と新たな目標を語った。

 見ているだけでもきついと分かるメニューをこなす3軍投手陣の横には、いつも杉内コーチがいる。次々と倒れ込む選手に対し「どこに効いた? 尻? いいじゃない」などと笑顔で話しかける。「突き放すのではなく、選手とちゃんと向き合っていけるような指導者になりたいなと。練習でもモチベーションを高く持ってやってほしいから」とコミュニケーションを大切にして、日々指導に当たっている。

 大切にするのは選手一人一人に合った指導だ。「その人に合ったトレーニングだったり、ピッチングフォームもそうですけど指導を変えながらですね。時には怒ることもありますけど、人前で怒っていいタイプなのか、もしくはマンツーマンで怒っていいタイプなのか。性格もちゃんと把握しながら指導はしていきたいと思ってます」

 昨年、17年の現役生活に終止符を打った。切れのある直球とスライダーを武器に通算142勝、2156奪三振。引退会見では涙交じりに「若い選手と過ごす時間が増え、心から後輩を応援するようになっていた」と話し、今季から新たに指導者の道を歩み始めた。

 現役終盤はけがとの闘い。15年10月、球界には前例のない右股関節形成手術を受け、17年には左肩痛を発症。思うように投げることすらままならなかった。ダイエー、ソフトバンク時代はエースとして活躍。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振など数々のタイトルを手にして、巨人にFA移籍。華々しい成績を残した一方で、どん底も経験した。だからこそ伝えられることがある。

 「リハビリしている選手は日によって調子のいい悪いが反映される。どうしてもウォーミングアップから気持ちが入らないみたいなのは結構ある。その日のベストを尽くしてほしいなと思って声をかけたりします。諦めたらそこで終わりだから、この世界」。負傷して思うようにプレーが出来ない選手の気持ちも理解し、親身に接している。「(リハビリをしていた)3年間の経験が生きていますよ」と苦労が指導者として糧になっていると強調した。

 現在は主に3軍投手の育成を任され、コーチとして選手からは絶大な信頼を得ている。ドラフト6位ルーキーの戸郷はイースタン・リーグで初登板初勝利を飾った後、こう言った。「杉内さんについていけば絶対大丈夫だって確信しているので。自分の筋力や力が上がってると実感している。きつい練習でも楽しくやれてますし」と感謝の言葉を口にした。

 コーチとしての新たな目標もできた。「育成の子も含め1軍に送り出す。今はそれしか考えてないです。今の育成の子から1人1軍ってわけじゃなくて、みんな1軍で活躍できる選手にしたいなって思いはあるかな。そんな都合良くないし、うまくいかないだろうけど。でも全員が(1軍に)上がれるように、支配下になって活躍できるように育てていきたい。そういう気持ちで僕はやってます」。新たな一歩を踏み出した杉内コーチ。先を見据えるその目は輝いていた。

 ◆杉内 俊哉(すぎうち・としや)1980年10月30日、福岡県生まれ。38歳。鹿児島実で2年夏と3年夏に甲子園出場。3年生だった98年夏の甲子園1回戦・八戸工大一(青森)戦で無安打無得点試合を達成。三菱重工長崎を経て01年ドラフト3巡目指名を受け、ダイエー(現ソフトバンク)入団。05年にはMVP、沢村賞などに輝いた。11年オフに巨人へFA移籍。12年5月30日の楽天戦(東京D)で無安打無得点試合を達成。00年シドニー、08年北京両五輪、06、09、13年WBC日本代表。175センチ、82キロ。左投左打。

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