「『池の水』は飽きられてきたのでは?」…失礼な質問へのテレ東社長の答えとは

テレビ東京が誇る「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」の「ロンドンブーツ1号2号」田村淳(左)と「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」の出川哲朗
テレビ東京が誇る「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」の「ロンドンブーツ1号2号」田村淳(左)と「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」の出川哲朗
常に“攻めの番組作り”で勝負するテレビ東京
常に“攻めの番組作り”で勝負するテレビ東京

 やはり、テレビ東京は常に元気いっぱいだ。そんなことを28日、東京・六本木の同局で開かれた小孫茂社長(67)の定例会見で思い知らされた。

 24日に放送された同局の人気番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」(日曜・後7時)の平均視聴率が6・7%にとどまり、話題となった。昨年4月の月1レギュラー化以来、今年1月2日の正月特番では11・1%を記録。「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」などとともに低予算、アイディア勝負のワンコンセプト番組として同局の顔的存在となったのが同番組だった。(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)

 時には同時間帯に放送のNHK大河ドラマを上回るなど絶好調だった「池の水」にも、ついに陰りが見えたか。会見冒頭、小孫社長は現在の同局の状況について「停滞感があります。前年より数字も低く推移しています。視聴者の期待に応える新しさを次から次へと追求していくしか手だてがない」と危機感を露わに。

 続けて「4月の改編をバネにもう1回巻き直していく。全社員でその決意を固めています。『テレビ東京、やるな!』という所を見せたいと思います」と固い決意まで明かした。

 さらに「過去3、4年、いろいろな番組に好評価をいただきました。視聴率に表れない、いろいろな評価を視聴者、クライアント、メディアからいただいていた」とした上で「中には放映を始めてから長い期間が経ってしまった番組、新しく出したが、期待したほどでなかった番組もあった。18年度からの期間は、そうしたすごくいい教訓をいただいた。テレビ東京は一つ一つ地道に仕上げていくことで、何かをつかめていく局なので、前を向いて突っ走っていきたいなと思っています」―。トップがそこまで率直に語るのならと、こちらもストレートに聞いてみた。

 「社長の停滞感という言葉の裏には視聴率低下が目立つ『池の水』などのワンコンセプト番組が飽きられてきたという思いがあるのか?」―。

 系列の日本経済新聞社の編集局長を務めただけに常に記者の思いを理解した上で懇切丁寧に答えてくれる同社長。この問いかけに一瞬、メガネの奥の目を光らせると、「どうしても関東の数字(視聴率)に目が行きますが、ローカル、系列局の数字は、決してそうなってはいない。番販(番組の販売)は、ものすごく売れています」と話した。

 その上で「視聴率は私どもにとって、一番大切な物差しではありますけれども、それだけで全てを判断してしまうのは非常に危険です」と、視聴率というあいまいな数字で大騒ぎする、こちらをチクリ。「例えば、『なんでも鑑定団』はすごく長い(放送期間の)上にフォーマットはずっと変わっていない。地方に行くと、ものすごい視聴率になります。再放送の視聴率も、ものすごく高いです」と、94年放送開始の長寿番組「開運!なんでも鑑定団」の名前を挙げた。

 「『池の水』でも同じ現象が出ています。どの池を選ぶのかと意表をつく。そこに発見があるけれども、その前にある池そのものの問題の発見というコンセプトでは飽きられているという範疇には入らないと思います」と小孫社長。

 冒頭に口にした「停滞感」という言葉の意味についても「申し上げているのは、社内に停滞感があるのではなく、視聴者の方にあるのではないか」とポツリ。

 ここ数年、ワンコンセプト番組でゲリラ的にヒット作を生み出してきた自局について、「“テレ東らしさ”というのを良く口にするようになってから、その言葉が一人歩きしてきた。皆さん(マスコミ)も多く取り上げて下さったように“テレ東らしさコンセプト”というのがあるのだと思う。『あぁ、またこれか』という“テレ東らしさ”を私たちが作ってしまったのではないか」と冷静に分析した。

 そう、小孫社長が危惧していたのは、「大手キー局が思いつかない発想勝負、低予算、ワンコンセプトの面白い番組を生み出すテレビ東京」という作られた虚像が一人歩きし、自由に番組を作ってきた制作陣を縛ってしまうことだった。

 「本当はそれを破っていくのが、テレ東なんで。破っていく番組が少なくなっちゃったという意味(での停滞感)です。“テレ東らしさ”を壊せばいいのではというのが、私が思っていることです。それがテレ東らしさを生むという循環をしていけば、必ず立ち直るという確信を持っています」とあくまで前向きに続けると、「悲観はしていません。人間って1回、成功すると、特定の“らしさ”にこだわってしまうけれども、そこをポンと破って、外に出て行くのが“テレ東らしさ”と思うので。とどまることがテレ東らしさではないと思う。そういう意味では『鑑定団』や『池の水』は破っていくポテンシャリティーを持っている番組なんだと思います。だから長く続くと思う」と自信を見せた。

 熱過ぎるトップがこの日、口にした「『池の水』や『充電』に続く番組を生み出そう」という目標のもと、この2月、社内に誕生させたのが、編成・制作をまたいで、スタッフを集めた新制作チームだ。

 社長肝いりの精鋭チームの結成が明かされたのは、2月28日の社長会見でのこと。そして、翌3月1日の4月改編会見で発表された改編率はゴールデンタイム(午後7時~10時)29・4%、プライムタイム(午後7時~11時)29・9%、全日25・1%(午前6時~午前0時)と中規模なもの。キャッチフレーズは「テレ東は変わらない、なんでもやる元年!」と定められた。

 席上、縄谷太郎編成部長は特別企画枠「火曜ゴールデン」を火曜午後6時55分からの1時間枠に編成した理由について、「この『火曜ゴールデン』枠で、この(新たな制作)チームで企画した番組を始めていきます。週末であったり、もっと遅い時間でという議論もありましたが、まずはこの時間で勝負、挑戦していきなす」と、この枠こそが新制作チームによる“勝負枠”であることを明かした。

 同枠は「家族みんなで楽しめる、さまざまな番組を毎回届ける」が狙い。その上で縄谷部長は「多少、これまでのテレ東の番組が飽きられてきているのかと思います。ワンコンセプトの番組が多いが、これと決めずに新たな番組を開発していこうと。風穴を開けていこうと思います」と、危機感を露わにしていた。

 そう、「新しいものを生み出す」という最大の目標のもと、トップは制作陣に全幅の信頼を寄せ、新チームとして集められた一線の制作者たちが危機感たっぷりに仕事をする。これこそがテレビ東京だ。

 「(4月末から5月の)10連休後には(新チームから)何かが出てくると思います。GW明けに向け、彼らも悩みながらも面白がってやっています。何か出てきますよ」―。私の問いかけに、最後にそう言ってニヤリと笑った小孫社長。やはり、「アイディアのテレ東」は一筋縄ではいかない生命力に満ちあふれていた。(記者コラム・中村 健吾)

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