上達の秘訣は「野球で遊んだこと」…石岡一・岩本大地の熱投を忘れない

延長11回を力投した石岡一・岩本 (カメラ・豊田 秀一)
延長11回を力投した石岡一・岩本 (カメラ・豊田 秀一)

 大善戦だった。ゲームセット後、甲子園の空に温かい拍手が鳴り響いた。21世紀枠で選出され、春夏通じて甲子園に初出場となった石岡一(茨城)が、聖地に爽やかな風を吹かせた。みちのくの強豪・盛岡大付(岩手)に延長11回、サヨナラで敗れはしたが、下馬評を覆す健闘ぶりだった。

 原動力となったのはエース右腕の岩本大地だ。初回先頭から4者連続空振り三振斬り。この日の最速144キロのストレートとスライダー、チェンジアップなどを操り緩急も駆使して、8回まで2安打無失点、11Kと場を支配した。2点リードの9回2死二、三塁、勝利まで相手を「あと1球」まで追い込んだが、盛岡大付の底力も見事だった。両校の必死さに引き込まれてしまう、好ゲームだった。

 岩本は中学まで軟式。県大会では準優勝し、県の選抜メンバーにも選ばれた。強豪私学からの誘いを断り、八郷中の先輩でもある川井政平監督(44)が率いる石岡一への進学を決めた。

 子供の頃はどんな日々を送っていたのだろう。試合前、父・紳さん(48)に聞いた。

 「ゲームとかは一切、やりませんでしたね。普段から、遊びが野球なんですよ。小学校、中学校と部活のない日でも、仲間と野球で遊んでいました。その中で上達していったんです」

 「遊びが野球」-。その言葉が印象に残った。最近の子供たちにとって、野球が遊びではなくなりつつあると感じていたからだ。近所の公園に行けば「キャッチボール禁止」の看板が立つ。野球のルールを知らない子供たちも多いと聞く。野球がどちらかというと「習い事」になっている現状を、少し寂しく思う。

 球審が「プレーボール」を宣告する。「白球で遊ぼう」としては、意訳しすぎだろうか。石岡一対盛岡大付の2時間26分からは、両校の「甲子園で闘える喜び」が存分に伝わってきた。

 岩本の「大地」という名前には「みんなを支えられるような、大きな人間になってほしい」という想いが込められているという。身長175センチは決して大柄ではないが、マウンド上から積極的にナインに声を掛け、強力打線と対峙する姿は、大きく見えた。

 「小さい頃から甲子園でやるのは夢でした。成長して、また夏に戻ってきます」

 試合後の会見をそう結んだエース。茨城の子供たちの目にも、その雄姿はとても眩しく映ったに違いない。(野球デスク・加藤 弘士)

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