父子2代に「卒業おめでとう」と言えた幸せ 柔道の小川雄勢が明大卒業

明大の卒業式を終えた小川雄勢(左)と父・直也氏
明大の卒業式を終えた小川雄勢(左)と父・直也氏

 柔道の男子重量級ホープ・小川雄勢が出席した3月26日の明大卒業式を取材した。日本武道館の正面に掲げられた「明治大学卒業式」の大きな文字をバックに写真撮影に応じた小川を見ながら、強烈な既視感に口元がゆるんでしまった。

 筆者は今から29年前のこの日、同じように武道館正面の「卒業式」の横文字を背に、193センチの大型アスリートの卒業写真を撮影した。父親の直也さんだ。柔道部員の仲間と一緒に写真に納まったが、29年の後、同じ武道館で、今度は自分の息子と一緒に筆者のカメラに笑顔を見せてくれた。

 午前中に取材予定がなかったことから“助っ人”として回ってきた取材機会。図らずも父子2代の卒業式を取材する“幸運”に恵まれたわけだが、雄勢君がガッツポーズを取ったり、照れ笑いをするしぐさは、直也さんそっくり。29年前の様子が何度もフラッシュバックしてきた。今、自分が直也さんを撮影しているのか、雄勢君を撮っているのか、なんて表現は大げさかもしれないが、そう思えてしまうほど、2人のシルエットは似ている。

 「卒業できたことに安心しています」。囲み取材の冒頭、笑顔で話した雄勢君。確か、父親も同じようなことを言っていたような…。「社会人になって? 自分に厳しく、これからも勝ち続けるんだという気持ちを持ってやっていく」という息子のような立派なコメントは記憶にないが…。

 せっかくの機会だから、29年前と同じ質問をしてみた。「大学の4年間で一番の思い出は?」。直也さんは当時、「昨年(1989年)の全日本学生優勝大会で、僕が引き分けて団体優勝を逃したことと、最後の試験で悪戦苦闘したこと」とやや自虐的に、ユーモアたっぷりに答えていた。雄勢君は「たくさんありますけど、広畑(兵庫県姫路市)の新日鉄の道場で行った合宿。すごく暑くて、きつかったです」。体つきだけではなく、ユーモアを交えた楽しい会見に「やっぱり父子だなぁ」と。

 「卒業、おめでとうございます」。29年前にそう伝えた相手に、意味合いの違う同じ言葉をかけることができた、うれしい1日となった。(谷口 隆俊)

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