【箱根への道】MGC進出30人のうち関東の大学出身者が26人 川内優輝「箱根駅伝は底上げにつながっている」

箱根駅伝を走り(右)社会人でも活躍する川内優輝は、男子マラソンのレベル底上げに箱根がつながっていると指摘する
箱根駅伝を走り(右)社会人でも活躍する川内優輝は、男子マラソンのレベル底上げに箱根がつながっていると指摘する
服部勇馬は東洋大での箱根出場経験(右)が実業団での「マラソンに生きている」と語った
服部勇馬は東洋大での箱根出場経験(右)が実業団での「マラソンに生きている」と語った

 20年東京五輪マラソン代表選考会(MGC、9月15日)の予選に当たるMGCシリーズが終了した。4月末までワイルドカードによる進出の可能性を残すが、現時点で男子は30人が出場権を獲得。そのうち実に26人が学生時代に箱根駅伝を走ったり、出場を目指した関東の大学出身。陸上界全般に豊富な知識と独特の分析力を持つ川内優輝(32)=埼玉県庁=らにMGCと箱根駅伝の関連性などを聞いた。

 地元の東京五輪でマラソン日本復活のために設けられた代表選考制度は一定の効果が表れている。男子は30人がMGCの出場権を獲得。16年リオ五輪時に今回の基準を当てはめた場合、出場権獲得は半数の15人。MGCの最終的な成否は東京五輪の結果で判断されるが、4年前に比べ選手層に厚みが増したことは確かだ。

 MGC進出30人のうち26人が学生時代に箱根を志した関東の大学出身だ。ドーハ世界陸上(10月5日)を重要視し、MGC出場権を持ちながら回避する方針の川内も学習院大時代に2度、関東学連選抜(現・関東学生連合)の一員として箱根路を駆けている。

 川内「以前、箱根駅伝が日本のマラソンを弱くしているという意見がありましたが、そんなことはない。底上げにつながっていることは“30分の26”という数字に表れていると思います」

 常連校に交じり、選抜(連合)出身の川内と河合代二(麗沢大、登録だけで出場はなし)の2人が名を連ねた事実も選抜(連合)チームの意義を証明している。

 陸上界全般の知識が豊富な川内は独特、かつ鋭い見解を示す。箱根駅伝の1区間の距離は20キロ超。

 川内「大学の年代にハーフマラソンの距離に取り組むことはプラス。女子のMGCが男子より少ない(14人)のは女子に箱根のように距離が長い駅伝がないからではないでしょうか」

 実業団名門の旭化成勢は現時点でMGC進出選手がゼロ。川内はニューイヤー(全日本実業団)駅伝との関連性を推察する。駅伝1区間の距離は中学が約3キロ。フルマラソンを7人でつなぐ高校が3~10キロで平均6キロ。そして箱根は20キロ超。一方、ニューイヤー駅伝は7区間100キロ(1区間平均14キロ)だ。

 川内「1区間距離は中学、高校、大学と年齢につれて長くなるが、実業団で短くなる。最近、旭化成はニューイヤーで強いですよね。その分、マラソンは苦しんでいるような気がします」

 旭化成は17年に18年ぶりにニューイヤー駅伝で優勝し、3連覇中。まさにMGCシリーズの時期と重なる。スピード駅伝への対応とマラソンの苦戦は全くの無関係ではないだろう。

 MGC進出30人の出身校別では東洋大の4人が最多。同校出身の服部勇馬(25)=トヨタ自動車=は落ち着いた表情で語る。

 服部「学生時代から酒井監督が『世界へ』という意識づけをしてくれたからだと思います」

 東洋大の酒井俊幸監督(42)は学生時代の成功体験と、卒業後のそれぞれの取り組みが成長につながったと指摘する。

 酒井監督「東洋大出身の4人は全員が箱根駅伝優勝を経験し、勝つ喜びを知っています。卒業後は箱根優勝に満足することなく、それぞれのチームの指導者の下、それぞれのやり方で努力を重ねています。4人全員が別のチームに所属していることに着目していただきたい」

 出走区間(延べ人数)では3区の16人が最多。2区13人、1区と5区がそれぞれ11人と続く。06~16年まで18・5キロと短かった4区は1人もいないが、往路は51人。復路15人の3倍以上だ。先手必勝の往路重視が近年の箱根駅伝の定石となっていることを示している。服部は2区を3度走り、うち2度、区間賞を獲得した。

 服部「2区は学生のトップクラスの選手が走る区間で、その中で勝ちたいという気持ちが今、マラソンに生きています」

 東洋大に続く“勢力”は駒大と青学大出身の3人。青学大出身選手として初めてMGC進出を決めた橋本崚(25)=GMOアスリーツ=は「3代目・山の神」と呼ばれた神野大地(25)=セルソース=の5区控え選手で一度も箱根駅伝に出場できなかったが、原晋監督(52)は、その実力と努力を高く評価する。

 原監督「5区を走っていれば区間3位にはなったでしょう。それくらいの力はあったし、陰で努力していた。箱根駅伝を目指した4年間が無駄ではなかったことを証明してくれました」

 1920年。箱根駅伝は「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げ創設された。2020年8月9日の五輪本番。箱根駅伝100年の真価が問われる。(竹内 達朗)

 ◆MGC マラソングランドチャンピオンシップ、20年東京五輪マラソン代表選考会。予選に当たるMGCシリーズとして男子は17年北海道から19年びわ湖毎日まで国内10大会、女子は17年北海道から19年名古屋まで国内8大会が行われ、設定された順位とタイムをクリアした選手がMGCに進出する。また、17年8月~19年4月まで国内外の公認大会で設定タイムを突破した選手がワイルドカードとしてMGC出場権を得る。ここまで男子は30人、女子14人が出場権を獲得した。

 ◆箱根未経験組も注目

 箱根駅伝を経由せずにMGC進出を決めた4選手も注目される。長崎・瓊浦高を卒業後、地元の三菱重工長崎(現MHPS)に入社した木滑良(28)は着実に成長し、MGC進出選手7番目の自己ベスト(2時間8分8秒)を持つ。64年東京五輪銅の円谷幸吉、68年メキシコ市五輪銀の君原健二、92年バルセロナ五輪銀の森下広一は、いずれも高校から実業団チームに入り、力を蓄えた選手だった。

箱根駅伝を走り(右)社会人でも活躍する川内優輝は、男子マラソンのレベル底上げに箱根がつながっていると指摘する
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