【イチロー会見〈1〉】えっ? 次の舞台は草野球?

スポーツ報知
試合後会見を終え、記者の拍手を受けながら引き揚げるイチロー

 現役引退を発表したマリナーズのイチロー外野手(45)が、21日のアスレチックス戦(東京D)後に引退会見を行った。1時間22分にも及んだイチロー節は、終わってみれば午前1時23分。その全文を紹介していく。

 ◆イチロー会見〈1〉

 「(報道陣を見て)こんなにいるの。びっくりするわ。こんな遅い時間にありがとうございます。日本で9年、アメリカで19年目に突入したところなんですけど、今日限りで現役生活にピリオドを打ち、引退することを決めました。28年を振り返るとあまりにも長い時間だったので、ここで1つ1つ振り返ることは難しいということもあって、ここでは今まで応援してくれた方々への思い、球団関係者、そしてチームメートに感謝を申し上げて、みなさまからの質問があれば答えたいと思います」。

 ―引退決断のタイミングと理由は?

 「タイミングはですね、キャンプ終盤ですね。日本に戻ってくる何日か前。終盤ですかね。もともと日本でプレーするところまでが契約上の予定だった。キャンプ終盤でも結果が出せずに、それを覆すことができなかった」

 ―後悔は。

 「今日の球場でのできごと、あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずはありません。人より頑張ったとは言えないですけど、自分なりに頑張ったとは言える」

 ―数多くの子供たちが見ている。子どもたちにメッセージを。

 「シンプルだなあ。メッセージは苦手だから、僕は。野球だけでなくてもいいですよね? 自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つけられれば、それに向かってエネルギーを注げるので、そういうものを早く見つけてほしいと思う。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁に向かっていける、向かうことができると思う。それが見つけられないと、壁が出てくると諦めてしまう。いろいろなことにトライして、自分が向くか向かないかよりも、自分が好きなものを見つけてほしいと思う」

 ―これまでを振り返り印象に残っているシーンは。

 「今日を除いてですよね? この後時間が経ったら、今日のことが一番、真っ先に浮かぶことは間違いない。それを除けば、いろいろな記録に立ち向かってきたけど、それは大したことではない。自分にとってそれを目指してやってきたんですけど、いずれそれは僕ら後輩が先輩の記録を抜いていくのはしないといけない。そのことにそれほど大きな意味はない。そんなふうに今日の瞬間を体験すると小さく見えてしまう。例えば、10年200本続けてきたこと、オールスターでMVPを取ったことは小さいことに過ぎない」

 ―どんな状況でも応援してくれたファンの存在とは?

 「ゲーム後にあんなことが起こるとは、とても想像していなかったが、実際にそれが起きた。19年目のシーズンを米国で迎えたが、なかなか日本のファンの方の熱量を普段感じることが難しい。久しぶりに東京ドームに来て、ゲームは静かに基本的には進んでいくのですが、何となく印象として、日本の方は表現することが苦手という印象があったが、完全に覆った。内側に持っている熱い思いが確実にそこにある。それを表現したときの迫力はとても今まで想像できなかった。最も特別な瞬間になった。ある時までは自分のためにプレーすることが、チームのためになるし、見てくれる人も喜んでくれると思っていたが、ニューヨークに行った後ぐらいから、人に喜んでもらうことが一番の喜びに変わってきた。その点で、ファンの方々の存在なくしては、自分のエネルギーが全く生まれないと言っていいと思う。おかしなことを言っています、僕?

 ―貫いたもの、貫けたものは。

 「野球のことを愛したことだと思いました。これは変わることはなかったですね。おかしなことを言っています、僕? 大丈夫?」

 ―グリフィー(元マリナーズ)が、肩の荷を下ろしたときに違う野球が見えて、また楽しくなるという話をした。そういう瞬間はあったか? 

 「プロ野球生活の中ですか? ない。これはない。ただ、子どもの頃からプロ野球選手になるのが夢で、それがかなって、最初の2年、18、19歳の頃は1軍に行ったり来たりで。あれ、行ったり来たりっておかしい? 行ったり行かなかったり? 行ったり来たりっていつもいるみたいだね。どう言ったらいいのだろう? 1軍に行ったり、2軍に行ったり。これが正しいか。そういう状態でやっている野球は結構楽しかった。94年、仰木監督と出会って、レギュラーで初めて使っていただいて、この年まででした、楽しかったのは。その頃から急に番付を一気に上げられて、それはしんどかった。やはり力以上の評価をされるのは、とても苦しい。そこから純粋に楽しいということは、もちろんやりがいがあって、達成感を味わうこと、満足感を味わうことはたくさんあった。しかし、楽しいかというと、それとは違う。そういう時間を過ごしてきて、将来はまた楽しい野球をやりたいなと、これは皮肉なもので、プロ野球選手になりたいという夢がかなった後に、またそうではない野球を夢見ている自分がある時から存在した。これは中途半端にプロ野球生活を過ごした人間には待っていないもの。趣味でたとえば草野球。草野球に対して、やはりプロ野球でそれなりに苦しんだ人間でないと、草野球を楽しむことはできないと思っていたので、これからはそんな野球をやってみたいと思う。おかしなことを言っています、僕? 大丈夫?

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