フリーとは何より自由であること…上田まりえに教えられたフリーアナという生き方

文化放送の新番組でともにパーソナリティーを務める鈴木あきえと「バトンポーズ」でおどける上田まりえ(左)
文化放送の新番組でともにパーソナリティーを務める鈴木あきえと「バトンポーズ」でおどける上田まりえ(左)
19日のラジオ・パーソナリティー就任会見で自身のこれからを率直に語った上田まりえ
19日のラジオ・パーソナリティー就任会見で自身のこれからを率直に語った上田まりえ

 フリーという言葉には「自由であること」という意味がある。そんな当たり前のことをフリーアナウンサー・上田まりえ(32)の笑顔に教えられた。

 19日、東京・浜松町の文化放送で行われた定例社長会見。番組改編の目玉として4月1日からスタートする朝の新番組「なな→きゅう」(月~金曜・前7時)の月~木曜パーソナリティーを務めることが決まった上田が、金曜担当のタレント・鈴木あきえ(32)とともにゲストとして登場した。

 上田はこの1か月間、激動の日々を過ごしてきた。アシスタントを務めていたTOKYO MX「5時に夢中!」を2月18日の放送から体調不良で欠席。そのまま今月6日、降板が決まった。16年1月の日本テレビ退社以来所属していた松竹芸能も3月いっぱいで辞め、今後は個人として活動することも決まった。

 さらに17年に結婚した竹内大助氏が2月に慶大野球部の助監督に就任。結婚3年目にして都内での同居生活がスタートと、公私ともに日常生活が激変した。

 体調不良の原因も明かされないままの久しぶりの公の場が、この日の会見となったため、取材陣が殺到。会見室に春らしい黄色のワンピースで登場した上田は同局初の朝の番組の女性パーソナリティーという大役に「めっちゃ緊張してます!」と笑わせた後、「最初、お話をいただいた時、ドッキリだと思いました。このタイミングで夢だったラジオのパーソナリティーをやらしてもらえるとは」と張りのある声で続けた。

 さらに「ワキ汗が尋常じゃないんです」と本来のぶっちゃけキャラも全開にしたが、最初に投げかけられた質問は、やはり「現在の体調はどうなのか?」というものだった。

 「ご覧のように元気にしています。事務所とお医者様の判断で『5時に夢中!』は休養という形を取っていますが、個人的には『出たい。悔しい』と言う思いがあります。4月1日から万全の態勢で臨むためにお休みをいただいているということです」と、まず説明。

 「『5時に夢中!』は出たいんですよ! 何が悔しいかというと、視聴者の皆様になんの説明もできていないこと。何らかの形で自分の口で説明したい。『5時に夢中!』は自分にとって、本当に大切な1時間なんです」と大きな目を見開いて訴えた。

 改めて正式な病名を聞かれると、「お医者様によると、自律神経障害で『5時に夢中!』のスタジオに入った瞬間だけ、右手に震えがかなり激しく出てしまう。カメラにも映ってしまうので…。なんで、こうなっちゃうのか、自分でも悔しいところで。(同番組で頻発する)下ネタも大好きなんで。下ネタは、むしろ大好物で世界を平和にすると思ってるんで」と率直過ぎる答えまで飛び出した。

 自律神経障害発症の原因についても「4月から(早大)大学院に通ったりとか会社を立ち上げたりとか、いろいろなことが始まるけど、それは全く関係なくて。スケジュールがないとか、夫と別居婚していたからとかは全く関係なくて…。そこが原因じゃないというのは、きちんとお話したいです」と打ち明けた上で「基本的に動いてないと死んじゃうタイプなんで。ヒマが苦手なんですよ。何かしらやってたいというタイプなので。いろいろなことに挑戦したいと思ってますし、今回の『なな→きゅう』も自分にとって、人生の新しいチャンスであり、責任も感じながらやらせていただけるものと思ってます」と一気に続けた。

 その言葉通り、2月1日には自身の会社「ドゥ・ストレート」(「ど直球」の意味)も設立し、アスリートのマネジメント業務なども手掛ける。フリーアナ、タレント、大学院生、会社社長、そして主婦―。「動いてないと死んじゃう」という言葉通りの毎日を送る上田は「自分でどんどん動いていきたいんです。いろいろなことにトライしたい。人生、もう33になるんで。やばいな、あと50年生きられるかな、時間ないと思って生きているんですよ」と勢いよく続けた。

 その言葉を聞いた瞬間、私はどうしても聞きたくなった。「やはり、今のような自由な生き方をしたかったから3年前にフリーという道を選んだのか?」と―。

 卒業シーズンのこの3月、民放各局では女子アナの退社が相次いでいる。TBSでは1月末で電撃退社した吉田明世アナ(30)に続いて、ツンデレ・キャラで人気となった宇垣美里アナ(27)が退社する。

 テレビ朝日でも朝の情報番組などでエース級の活躍をしてきた宇賀なつみアナ(32)が退社。11年4月から昨年9月まで看板番組「報道ステーション」のサブキャスターを務めた小川彩佳アナ(33)もまもなく退社する。

 吉田アナはフリーとして大手芸能事務所・アミューズと契約。宇垣アナもオスカープロモーション入りが濃厚だ。小川アナに至っては退社直後の6月にはライバル局・TBSの看板ニュース番組「NEWS23」のキャスターに就任すると報じられている。

 いまだ「女子アナ30歳定年説」がささやかれるほど、旬の時期が短い女子アナという存在。それにしても入社数年での退社と直後の大手事務所入り。そのさらに上を行くライバル番組への“移籍”と、仁義も何もなく激し過ぎる動きにやや疑問を持っていたからこそ、入社7年目でフリーに転身した経験を持つ上田に聞いてみたかった。

 私の「会社員という頸城(くびき=自由を束縛するもの)を離れることで、フリーという立場を求めたのか?」という問いかけへの答えは明快そのものだった。

 「アナウンサーを辞めたのも、アナウンサーじゃない仕事をしたいと言うのがあって。もっと、いろいろな表現の仕事がしたいと思った時に、アナウンサーという枠を超えてやりたいと思って、タレント(転向)と言う形になったんです」。こちらをじっと見つめてそう答えると、「退社する時に『やりたいことリスト』を書いていたんです。『ラジオをやりたい』と書いていたのを今回、かなえられたなって」と続けた。

 さらに「あまりやることを1個に限定したくなくて自分で営業もしたいし、人を応援することも好きなので、自分が裏方に回って、表に出る方のお手伝いをしたいと思って、アスリートの方のセルフプロデユースの講師の仕事も始めて。ただ単に芸能活動だけでなく、いろいろな事をできたらいいかなと。いずれ、大学院も通えるチャンスがあったら行きたいですし、取りあえず、やりたいことを全部やるというスタンスですね」

 止まらない勢いで夢を語り続ける上田にやや圧倒されながら、重ねて聞いた。

 「日テレの局アナという立場で大企業の中で守られているより、今はよほど自分のやりたいことができているということか?」―

 「退社した時に、やりたいことがたくさんあったので。あと50年生きられるか分からないんで、とにかく、いろいろなことをどんどんやっていきたいという気持ちが一番です。その気持ちに私は素直に動いているだけで…。こう思ったら、ポンと決めるタイプなので」

 熱く語る姿を隣で見ていた鈴木も「今回初めてお会いしたんですけど、本当に『歩くバイタリティー』という感じで…。いろいろな顔も持っていらっしゃる。元アナウンサーで大学院生で会社社長でもある」と感心しきりだった。

 私も目を輝かせながら話し続ける表情を見ながら、つくづく「エネルギッシュな人だなあ」と感じ入った。その上で文字通りの「フリー」と呼んでいい現在の立場こそが、あふれ出てくるやりたいことが全部できる、上田が自身の責任で選んだ人生なのだと分かった。

 女子アナの人生も様々だ。ある人は社内での自身の待遇に不満を持ち、退社を選んだのかも知れない。ある人は年収アップを目論んでフリーとなったのかも知れない。もともとタレントになりたくて、その手段として、約1000倍の倍率をくぐり抜けてキー局アナとなった人だっているだろう。

 ただの取材者である私にその選択を責めたり、否定したりする資格などない。全ては、その人の選択。そこには、ただ彼女たちのこれからの人生があるだけだ。病も克服しつつある上田の底抜けの笑顔が、そんな、ごく当たり前の真実を教えてくれた。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆上田 まりえ(うえだ・まりえ) 1986年9月29日、鳥取県境港市生まれ。32歳。専修大文学部卒業後、09年に日本テレビにアナウンサーとして入社。14年には「とっとりふるさと大使」に就任。16年2月、同局を退社し、フリーアナウンサーとして松竹芸能に所属。TOKYO MX「5時に夢中!」の月~木曜アシスタントとして人気者に。今年3月末で松竹芸能を退社し、4月からは個人として活動開始の予定。「5時に夢中!」の降板も決まった。17年に結婚した夫は現在、慶大野球部助監督を務める竹内大助氏。血液型A。

文化放送の新番組でともにパーソナリティーを務める鈴木あきえと「バトンポーズ」でおどける上田まりえ(左)
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