雄星、イチローと抱き合い涙「幸せな時間でした」最初で最後の競演

スポーツ報知
8回の守備の途中で交代となったイチロー(右)に涙を流す菊池雄星(カメラ・竜田 卓)

◆MLB日本開幕戦 アスレチックス5―4マリナーズ=延長12回=(21日・東京ドーム)

 西武からマリナーズに移籍1年目の菊池雄星がアスレチック戦(東京D)で先発としてメジャーデビューし、4回2/3を4安打2失点(自責点1)、3三振1四球で勝敗は付かなかった。日本投手の日本での大リーグ初登板は史上初となった。

 夢舞台に立った菊池の表情はこわばっていた。初回先頭。一塁線にボテボテのゴロが転がった。自ら捕球し一塁ベースを踏むと、やっと笑みがこぼれた。「楽しかったというのが一番最初に出てくる言葉かな」。続くチャプマンにはスライダーでメジャー初三振を奪った。4回2/3を3安打1失点、3奪三振。日本人投手の開幕2戦目先発デビューは09年の上原(オリオールズ)と並んで最速。日本投手の日本でのメジャー初登板は初めてだ。4回まで無失点、初勝利まであと一歩だった。

 最初で最後の競演だった。初回2死と4回2死は右飛に仕留めイチローのグラブに打球が収まった。4回を抑えるとベンチ前でグータッチ。8回の守備でイチローが交代するとベンチ前で抱き合い涙した。試合後の会見でも涙を流し「幸せな時間でした。僕にとってイチローさんとプレーできたのが最高のギフトだと思います」と声を詰まらせた。

 転機の15年 岩手・花巻東高1年時、佐々木洋監督と「メジャーを目指そう」と約束してから12年。毎日のようにメジャーの試合をテレビで観戦。15年オフには初めて現地で生観戦し、憧れの世界最高の左腕カーショーを間近で見た。「やっぱりここに来たいという思いが強くなった」。その後の16年から3年連続2ケタ勝利で夢をかなえた。

 野球少年だった頃、テレビに映るイチローに影響された。次は自分の番だ。ある年、地元・岩手で開催した野球教室に参加した少年から手紙が届いた。「このままでは人が少なくて、野球チームがなくなってしまいます。菊池選手が、呼びかけてほしいです」。自分が出来ることは何なのか―。答えは、高みを目指すことだった。イチローのように有名な選手になるほど、偉大な記録を残すほどテレビに姿が映る。「僕のプレーを見て野球をやってくれる子が増えたらうれしい」。今も自宅に保管してある手紙は背中をいつも押してくれる。

 初白星はお預けとなったが、子どもたちが憧れるメジャーリーガーになった。「ここ東京ドームという場所から僕のメジャーのキャリアが始まる高ぶりを感じた」。新天地で、新たな伝説を刻む。(小林 圭太)

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