【ヒルマニア】イチロー、メジャーの常識覆した スピード+しなやかさ原動力

2回2死、打席に入るイチロー(カメラ・泉 貫太)
2回2死、打席に入るイチロー(カメラ・泉 貫太)

◆MLB日本開幕戦 アスレチックス5―4マリナーズ=延長12回=(21日・東京ドーム)

 「ヒルマニア」は、スポーツ報知でメジャーリーグを担当し続けて42年の蛭間豊章記者が、マニアックなメジャーネタをお送りします。

 「野球の塁間90フィート(約27・432メートル)は、人類の作品で最も完璧に近いものだ」と言ったのはニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストで、ピュリツァー賞を受賞したこともある野球記者のレッド・スミス氏だった。

 この距離が短ければ内野安打が増え、長ければ簡単にアウトになってしまう。つまり、野球のスリリングなプレーを演出しているのが、この塁間の距離なのだ。

 イチローは90フィートの塁間の距離でメジャーの常識を覆していった。内野安打はメジャー1年目の01年に56本を放つと、10年には最多の64本を放つなど、3089本の23%に当たる713本(ベースボール・リファレンスによる)。デビュー当時の相手チームの内野手は、イチローが打席に立つと、浮足立った。簡単なゴロでも、プレッシャーで慌てるという光景が見られた。メジャーにスピードという概念を植え付け、恐れられた。

 この脚力が史上初の10年連続シーズン200安打の礎になっているのは間違いない。もう一つは、オリックス時代に一時取り入れたウェートトレを「体からしなやかさが失われる」として、初動負荷理論を取り入れてマシンを購入。しなやかな体を保ち続けているのも、ここまでプレーできた要因だ。

 01年4月11日、この日と同じアスレチックス戦で見せたレーザービームは、メジャーの歴史にも残り“ザ・スロー”とも言われた。

 体調に関しては自らを律していただけに、11年を境に200安打&打率3割が途切れた理由は動体視力ではないかと思う。

 イチローが敬遠を除き、自ら選んだ四球はわずか466。それだけ早打ちによって高打率をキープしていた。第1ストライクを打った時の打率に関しては、最初の10年間で3割を切ったのは1度だけで、10年間の平均は3割8分3厘にも達していた。一方、11年以降の平均は3割7厘。ファウルも含めた、この打ち損じが必然的に2S(2ストライク)後の打席数を増やしていった。

 10年までの0ストライクと2ストライクの打席数比率は43対57だったが、11年以降は37対63と追い込まれてからの打席数が増えた。

 視力面から、第1ストライクを仕留められなくなったことが、成績ダウンにつながったと言えるだろう。(ベースボール・アナリスト)

蛭間 豊章
 (ひるま・とよあき)1954年3月8日、埼玉県生まれ。名門・大宮高野球部は1年で退部したが、野球への愛着が募り、73年報知新聞社入社。記録記者、MLB専門記者と野球一筋。野球知識検定3級。ウェブ報知内のブログ「ベースボール・インサイド」(https://weblog.hochi.co.jp/hiruma/)も好評連載中。愛称は「ヒルマニア」。

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