包丁研ぎがルーチンのフェンシング・見延和靖、東京五輪へ研ぎ澄ます心身と故郷への思い

見延和靖
見延和靖

 試合前のルーチンは人それぞれだが、無心で包丁を研ぐという、ちょっぴり変わった手法を好むイケメン剣士がいる。フェンシングで五輪、世界選手権に次ぐ格を誇るグランプリ大会で、男子エペの日本勢初優勝を果たした見延和靖(31)だ。

 「スポーツって、波を作ることが大事。波を上げていくときに研ぐんです」。ここぞの遠征前には集中力を上げるため、地元福井の名産の包丁「越前打刃物」を手に取る。「気持ちが落ち着く。研ぎ澄まされている感覚がある」。長い時は1時間。気が済むまで研ぎまくる。

 越前市のふるさと大使に就任した縁で、世界的なシェフの間でも人気が高い「高村刃物製作所」の職人と知り合う機会に恵まれた。料理用の他に、研ぎ専用を2本譲り受けた。包丁には「見延和靖」の名前と、好きな言葉の「世界一」「継続は力なり」が刻まれている。

 その行為には故郷への思いも込められている。「日本代表である前に、福井の代表。原点に返る機会を作ること」。5月に代表選考レースがスタートする東京五輪まで500日を切った。「それまでに5、6本研ぐんじゃないですかね」。職人フェンサーはイメージをふくらませた。

 身長177センチで、広げた両腕の長さは197センチ。「まだ伸びている。2メートルを超えたら病院に行こうと思う」。トークも切れるベテランは長いリーチとスピードを武器にする。リオ五輪は6位入賞。頭からつま先まで全身が有効面となるエペは、日本勢の五輪でのメダルはまだない。「今回の僕の結果で、団体でも勝ちたいよねという声がチームから出てきた。一つにまとまった。僕も団体戦で勝ちたいという気持ちの方が強い」。東京で歴史を作るため、心身を研ぎ澄ませていく。(記者コラム・高木 恵)

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