日本勢初個人総合Vの小林陵侑、“パブロフの陵侑”で覚醒…新たに導入した脳波トレ

 スキー・ジャンプ男子のW杯で小林陵侑(22)=土屋ホーム=が、日本勢初の個人総合優勝を決めた。昨季のW杯個人戦では6位が最高だったが、今季は23戦11勝と大ブレイク。5戦を残して快挙を達成した。その覚醒の裏には、新たに導入した脳波トレーニングによる“パブロフの陵侑”化があった。

 開幕前、誰がこれほどの覚醒を予想できただろう。小林陵が5戦を残して早々とW杯個人総合優勝を決めた。昨季は個人戦で6位が最高だった。何が大きく変わったのか。

 その背景には今季から取り入れた脳波トレーニングがある。「メンタルの課題を明確にできた。自分と向き合った結果、自信を持って臨めていると感じます」。そう指摘するのは日本脳波トレーニング協会理事の林愛理さん。所属先の葛西紀明兼任監督(46)と知り合い、昨年5月の宮古島合宿から脳トレを導入した。

 脳波はパソコンとつないだ帽子で測定。様々なシーンを思い浮かべ、緊張状態で活発になる脳の部分が一定以下の周波数を保てると音が鳴る仕組みだ。

 目指したのは“パブロフの陵侑”だった。パブロフの犬(※メモ参照)は「条件反射」によって最後はベルを聞くだけでよだれを垂らすようになった。林さんは言う。「例えば、子供にお菓子をあげるから手伝ってと繰り返せば、習慣化されてお菓子がなくても手伝うようになります」。陵侑には音こそが最高のご褒美。鳴る回数が増えることで、経験則として正しい気持ちの持ち方を体得した。

 元々、ずぬけた感性の持ち主。土屋ホームの千田侑也部長(33)も「感覚の人」と称する感性の鋭さゆえ、これまで緊張や弱気な心が力を半減させたこともあったが、効果はてきめんだった。「(昨夏の)サマーGPの頃から『緊張しなくなった』と。夏以降、脳波にも緊張しづらくなったのが(数値に)出ていた」と林さん。新たな武器を手に飛躍のシーズンを迎え、導入初年度で最高の結果が出た。

 林さんは「ここまでやれているのは驚き。次はこういう形で―というテーマは考えています」とさらなる伸びしろに期待を寄せる。陵侑の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。(川上 大志)

 ◆パブロフの犬 19世紀に旧ソ連の生理学者イワン・パブロフが、条件反射と無条件反射に代表される「古典的条件付け」の実験に用いた犬の総称。パブロフは唾液の分泌量を測定する管を数百匹の犬に装着。ベルを聞かせてからエサを与える動作を繰り返すことで、音を聞くだけでも唾液の分泌量が増えることを証明した。1904年にはノーベル生理学医学賞をロシア人で初受賞。

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