高木美帆、1500で初の世界新V「この記録は自分が更新していく」

女子1500メートルの世界記録変遷
女子1500メートルの世界記録変遷

◆W杯スケート(10日、ソルトレークシティー)

 スピードスケートの最終戦最終日は10日、米ソルトレークシティーで行われ、女子1500メートルで平昌五輪銀メダルの高木美帆(24)=日体大助手=が1分49秒83の世界新記録で優勝した。従来のタイムを1秒02更新した。W杯の個人種目は通算10勝目で、うち8勝は1500メートル。W杯種目別総合では2位だった。中長距離での世界記録樹立は、日本女子では初めての快挙となった。

 高木美が異次元の領域に足を踏み入れた。「いつもはブレーキをかけていた部分で殻を破ろう」と序盤から攻めてトップスピードに乗ると、コーナーも滑らかな滑りで攻略した。電光掲示板に表示されたタイムは「1分49秒83」。従来の世界記録を1秒02も更新し、初めて1分50秒の壁を破った。「記録以上に、一つのレースに力を出し切れたことがうれしい」と両腕を突き上げ、充実感に浸った。

 手応えはあった。従来の世界記録を破り、日本記録を打ち立てた前日の1000メートルの試合後。ミーティングで1分49秒台を狙うレースプランを固めた。デビット・ヘッドコーチから「不可能はない」と背中を押され、「難しく考えずに強い気持ちで滑れた」と自信を胸にリンクに上がった。

 昨季、今回と同じように標高1000メートルを超えるカルガリーの高速リンクで味わった悔しさも糧にした。17年12月のW杯第3戦。高木美は1分51秒79の日本新をマークした。主戦場の種目で従来の記録を2秒31も塗り替えた会心のレースに喜びを爆発させたが、電光掲示板を見た瞬間、複雑な感情がこみ上げた。「あと1秒か。じゃあ、あと何ができるかな」。目に入ったのは、参考で表示されていた世界記録の1分50秒85。世界新が現実的な目標となってから、わずか1シーズンで快挙を成し遂げた。

 15歳で10年バンクーバー五輪に出場した天才も、14年ソチ五輪出場を逃すなど挫折を味わった。その後の4年間は「すべてをスケートにかける」と決意。平昌五輪に向け、トレーニングや食事などの自己管理まで周囲も驚くストイックさと高い志で、世界屈指のオールラウンダーに成長。2度目の五輪は金銀銅と全色のメダルを手にした。

 だが、濃密な4年間を送った反動から、平昌五輪後はモチベーションが上がらない時期が続いた。それでも、スプリント力を磨くなど短期的な目標を掲げ、着実にクリア。この日も「満足しているわけではない。もっとできることはある。この記録は自分が更新していく」と言い切った。飽くなき向上心で挑み続けた先に、22年北京五輪も見えてくるはずだ。

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